第43話
「........暑い」
目の前には、冷たいプールが待っているが、僕は二人を待たなくてはいけない。
夏休みに入り、数日が経過したある日。
桜木さんから『プールに行ってみない?』と誘われたので行くことになったので、花蓮も誘って三人で行くこととなった。
「兄さん、お待たせしました。すみません」
「ごめんね、夕顔君。待たせちゃって」
「いいよ、だいじょ........うぶ」
振り返って二人の姿を見ると、僕は固まってしまった。
花蓮の水着は、真っ白なフリル付きの水着でいつもの可愛さとは違う大人っぽい綺麗という方が似合っている。
桜木さんの方は、真っ赤なビキニ、そしてT-バッグタイプのものでで桜木さんの美しいスタイルがもろに出ていている。
そんな綺麗な二人が出てきてしまったので、僕は何も言えず呆然と立ち尽くしてしまう。気の利いた誉め言葉も言えそうにないけれど。
「二人とも、その.............」
「なんですか?」
「なにかな?」
「凄く綺麗で似合っています」
「そうですか。ありがとうございます」
「ありがとう。夕顔君」
僕が精一杯褒めると、嬉しそうに微笑んでくれたので良かった。
「あ、そう言えば兄さん」
「なんですか?」
「日焼け止めは塗りましたか?」
「あ、塗ってない」
「そうですか。では、そこに座ってください」
「え?」
花蓮達が準備していたのか、パラソルやらいろいろ準備された休憩場所が用意されていた。
「こうでいいかな?」
「いえ、寝そべってください」
「うん」
僕が寝そべると、背中にペタッと液体を塗られる。
「花蓮?いいのに、自分でするから」
「兄さんはじっとしていてください。楓もほら」
「う、うん」
その後は、桜木さんと花蓮にあらゆるところをヌリヌリされた。
流石に水着の下まではされてはいないけれど。
「さて、では兄さん。私にも塗ってくださいませんか?」
「え、塗っていないの?」
「はい。忘れてしまっていて」
「そ、そうなんだ。でも、触っていいの?」
「いいですよ」
「あ、そういえば私も、塗るの忘れちゃったんだよね。塗ってくれるかな?」
「え、桜木さんも!?で、でも」
「私は全然嫌じゃないから、塗って欲しいな」
二人からそんなにまっすぐに見つめられると、断れるはずもなくこくりと頷いてしまうけれど、僕だけ少し邪な感情を抱いていて恥ずかしい。
しっかりするんだ。桜!
ただ、日焼け止めを塗るだけなんだから。
日焼け止めを手に付着させて、花蓮の背中に手で伸ばしていく。
「んっ」
「だ、大丈夫?」
「はい。続けてください」
途中、息切れのような切羽詰まった声が発せられた気がするけれど多分、気のせいだ。
「次は桜木さんね」
「う、うん」
無心だ。
何も考えちゃいけない。
「んっ、やっ」
「ごめん、桜木さん」
「いや、いいの。そのまま続けて」
「うん」
桜木さんと花蓮に胸とかあそこに近い部分以外は全部やり遂げ一息をつく。
「兄さん、ここは、しないんですか?」
「そうだよ、してくれないのかな?」
そういって、少しだけブラの位置をずらした二人。
僕の頭はショート寸前で、そこから勢いよく逃げ出した。
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