第42話

「兄さん、楓を送ってきますね」

「え、僕も送りに行ったほうが.............」

「ダメです。女の子だけで話したいこともあるんですから」

「あー、分かった。遅くなる?なるなら..........」

「家事はしないでくださいね?」

「はい」


 兄さんもやっと、家事なんてしなくてもいいと分かってきてくれたみたいです。


 さて、今日はたくさん有意義な時間を過ごせました。


 兄さんのお部屋でゲームをするなんて、四か月ぶりでした。はしゃいでいる兄さんが尊すぎて目がつぶれてしまうかと思いましたけれど。


「じゃあ、行ってきますね。兄さん」

「うん、行ってらっしゃい。桜木さんも気を付けてね」

「うん。またね、夕顔君」

「またね」


 兄さんに送り出され、私たちは家を出る。

 

 家から出て、数十歩で楓は胸を抑えてその場に蹲り、不気味な笑い声をあげる。


「私、すっごく幸せ。夕顔君がまたねって言ってくれて見送ってくれた。ふふっ。最高」


 気持ちは凄く分かります。


 私も兄さんに心配してもらって、凄く股が緩くちょっとした洪水になっていますから。


「そうですね、兄さんと一緒になれることがあれば毎日これが続くでしょうね」

「ま、毎日.............っ!!」


 想像してしまい、蹲った体にゾクゾクッっとした快感が来たのか震えている。


「将来的には、兄さんがいってらっしゃいそれに加えておかえりなさいも言ってくれるでしょうね」

「うっ.............!!」

「さらには、仕事で疲れた私たちを労ってくれるでしょうね」

「.............はぁはぁ」

「そして、最後はベッドで.............」

「んっ.............ィㇰ!!」


 最高の未来を想像しただけで達してしまったのか、その場でへなへなと倒れ込んでしまう。


 丁度そこに人が通り、私たちに近づいてくる。


「なぁ、お嬢さんたち?だいじょうぶ.............」

「近寄るな、殺すぞ」


 さっきまで快楽に浸っていたとは思えないほどの、増悪を相手にぶつける。目だけで人が殺せそうだ。


 男はヒッという言葉を残してその場から急いで立ち去って行った。


「さぁ、さて。答えを聞かせてもらいましょうか。そのために今日、家に呼んで先の未来がこういうものだとほんの少しだけ疑似体験をさせてあげたのですから。まぁ、返答次第ではよりよい日々になるでしょうけれど」


 私が、そう言うと顔を俯かせて数秒の間の後に.............。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る