第51話

 兄さんが眠りについたのを見てから頭を撫でて部屋から出る。


 楓は兄さんのあどけない可愛らしい寝顔が名残惜しいのかじぃっと最後に見つめてから部屋を出ました。


 兄さんは本当に可愛いですね。食べてしまいたいくらいです。


 ですけれど、家事を勝手にしてしまうのは許せませんけれど。まぁ、可愛い理由だったので内心は許していましたけれど、どうせなら兄さんを依存させるべくすべてのことを私たちがしてしまおうとなったわけです。

 

 兄さんは不満そうな顔をしていましたけれど、でもやはり兄さんに何かさせるということは私自身が許せそうにないのです。

 

 兄さんがもし怪我をしてしまったら?もし兄さんが私の事を見放してしまったら?


 色々な不安なことが次から次へと出て、頭がおかしくなってしまい、震えてしまう。


「どうしたの、花蓮」

「いえ、何でもないです。ただ兄さんに見捨てられてしまった時の事を考えてしまっただけです」

「それは.............」


 私がそう言うと隣にいた楓も想像したのか、顔が青ざめがたがたと震えて、カチカチと歯を鳴らしてしまいます。


「そ、そんなことありえないから。大丈夫、大丈夫」

「まぁ、大丈夫でしょう。兄さんは私達に溺れかけています」

「そ、そうね」


 兄さんは、段々と私たちがいないとダメになってしまってきている。


 夏に入ってから徐々にアプローチを強めて行っている。


 でも、まだ駄目。


 今はまだ、兄さんは妹である私を完全には受け入れてくれないだろう。


 強引に迫れば、兄さんも私の事は嫌いではないし、好きという感情の方が強いでしょうから。


 でも、ダメ。兄さんには私を求めてもらわなくてはいけないから。


 私ばかり求めては嫌です。兄さんにはもっともっと、私を求めて狂って欲しいのです。


 求めて、求められる。それが愛というものでしょう?一方通行の愛なんて虚しすぎるだけです。私は兄さんから心から求められたいのです。


「私達もそろそろ寝ましょうか」

「そうね」


 私達も私の部屋に戻って、寝る準備を始める。


 明日の朝だって早いのですから。それに夜更かしは肌に悪いですしね。


 .............まぁ、いつも兄さんのお箸とか、その他の物のせいで少しだけ眠りが遅くなってしまうのは仕方のないことですが。


 いいのです。別に。翌朝すっきりとした目覚めが約束されるのですから。


 兄さんも健康的な私を見たいでしょうから。


「では、おやすみなさい、楓」


 この夏も終わるころには、兄さんと一緒に寝る生活になっているでしょう。


 毎日エッチをして幸せな生活に違いありません。


 私は、そんな未来を創造して眠りについた

 


 

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