ビッチで有名なギャルを助けたら、初心でヤンデレで逃げられない。
かにくい
第1話 ギャル?との邂逅
「あの........」
「あ!?なんだよお前」
がたいが良い如何にもヤンキーをしていますという風貌の男が、女の人の手首を乱暴に掴んでどこかへ連れて行こうとしているのを止める。
最初に見たときには、女の人もそういうチャラいという感じの雰囲気だったので付き合っているのかと思ったけれど、見ていると段々と険悪になっていき女の人が嫌がっているのを見て止めさせてもらった。
「離した方がいいと思います」
「は?お前に言われる筋合いなくない?」
「いや、見るからに嫌がっているから」
「俺たち付き合ってるから、他人がなんかいうの腹立つんだが」
付き合っていたのか、そういうプレイとか?
そう思ってもう一度女性の方を見ると、首を横に振って、心底嫌そうな顔をしていた。
「付き合っているからと言ってやっていいことと悪いことの区別もつかないんですか?」
「……お前、うっざ。殴るぞ?」
「どうぞ、ご勝手に。あと少しで警察が来るので。僕はその時間が稼げればなんでもいいですから」
「は!?警察ってお前、馬鹿なのか?どうせ嘘だろ?」
「いえ、ほんとですよ。傍から見ていたらあなたが強姦しようとしている風に見えたので、強姦魔がいますって言いました」
「........おい、行くぞ、楓」
「嫌!!」
「いいから、行くぞ!!」
もう一度、男が引っ張っているので止める。
「おい、お前。離せって!!ぶっ飛ばすぞ」
「どうぞ、あなたの罪が増えるだけですから」
「っち。くそ!!」
男は、僕が折れないことが分かると最後に舌打ちをして恨みがましそうにどこかへ消えていった。
「大丈夫ですか?」
「.......え、あ、はい」
「そうですか。お節介ですが、男を見る目はちゃんとしたほうがいいですよ。あと、警察が来るとかは全部嘘なんで大丈夫です。それでは」
ああいうチンピラって、警察が怖いからな。
「あ、あの.......ちょっと、待ってください」
「.......なんですか?」
「な、名前を、教えてください」
「名前ですか。田中太郎です」
「.......田中太郎さん」
そう意味深につぶやくと、その言葉をごくりと飲み込んだ。
「それでは」
「は、はい」
僕は、そこから逃げるようにして去った。
…………はぁ。疲れた。
あっちが僕の事を知っていなくて良かった。
もちろん、僕の名前は田中太郎なんて名前ではない。
女っぽい名前だけれど。男だ。
なんで、名前を偽装したのかというと、あの人は僕と同じ学校でそれも、悪い意味で有名人だから。
桜木楓。
僕も、詳しくは知らないけれど名前と噂は知っている。
金髪のロングで、ピアスを開けている。スカートは短くて胸は信じられないくらい大きい。そして、ビッチと呼ばれている。
最初、あの男と一緒にいてあぁ、噂は本当だったんだな。火のないところに煙は立たない。そんなことを思っていたが、実際に喋ってみると意外と普通というか初心だった。
まぁ、少ししか喋っていないから詳しいことはどうなのか分からないけれど。
まぁ、いっか。それより家に帰らないと。
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