第35話
「桜木さん、お待たせ」
「大丈夫だよ。そんなに待っていないから」
日課になりつつある桜木さんと一緒に帰る事。
だが最近では少し変わってきた。
「花蓮、ごめんね。いつも待たせてしまって」
「いえ、私が待ちたいだけですから」
桜木さんとの待ち合わせ場所から少しは歩き、学校から完全に離れたところで花蓮と合流する。これが最近の日課である。
花蓮と桜木さんと僕の三人で帰り道を歩く。
この時間が僕は楽しくて居心地が良い。もちろん如月のような友達と帰ることも楽しいけれど。
合流してから数十分。他愛のない話を続けていると桜木さんと僕の家へ行く分かれ道まで来た。
「じゃあ、今日はここまでだね。また明日」
「う、うん。またね。夕顔君」
桜木さんと挨拶済ませて、歩き出そうとしたとき
「あ、兄さん、そう言えば私、楓と喋りたいことがあったんです」
そう唐突に言いだす花蓮。
前にもこんなことがあったような気がするけれど、女の子同士でしたい話もあるんだろうな。
「分かった。でもあんまり遅くなりすぎないようにな。心配するから」
「はい、分かりました。あ、ですが絶対に家事をしないでくださいね?話が終わったらすぐに帰りますから」
「う、うん」
流石に前に家事をして花蓮に泣かれそうになったからしないけれど。
不味いな、桜木さんに妹に家事を押し付けている最低な奴って思われていないかな?
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「いいよね。夕顔君に夕ご飯も作ってあげられるし、お世話ができて」
「それが妹の特権ですから」
私と対峙するこの女。
夕顔君の妹を名乗るこの女。
「で、今日は何の話?あの男の末路?それとも夕顔君を負かしたあの透かしたサッカー部のイケメン(笑)君の事?」
「まぁ、それもありますけれど、違います。これはお互いの将来、さらには兄さんも関わってくるだろうお話です」
夕顔君が関わってくる重要な話?
まさか、こいつは私と本気で矛を交えようっていうの?
もしそうなら...普通に殺すけれど?
「ふふっ、違います。あなたが考えているような物騒なことではありません。そうするのなら私は宣戦布告何てバカなことをせず静かに始末しますし」
「...それもそうね」
「まぁ、それはこんなところで話せませんし、改めて日を設けさせてさせてください。そうですね、今週の日曜日はどうでしょうか?」
「何もないから、いいけれど」
「ふふっ、大丈夫です。あなたにとっても決して悪い話ではありませんから。それにもうすぐ夏休みですね」
「...そうね?」
「では、また明日」
そう言って、あいつはあの家に帰っていく。
今週の日曜日、私の人生の何かが動き出すような気がする。
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