第57話

 お風呂から帰り、部屋を見てみると夕食が準備されていた。


 どれも凄く美味しそうで、見ているだけで涎が垂れそうだ。


「じゃあ、早速席に着いて、食べようか」

「そうだね」

「うん」

「いただきます」


 すごいな、このお刺身。美味しさがスーパーとかに売っているものとはわけが違う。


「兄さん、あーん」

「あ、あーん」


 花蓮が僕にあーんをしてくるので受け入れる。


 最近、家で食事している時もあーんをしてくるようになった。最初は断っていたけれど強引にされるうちに受け入れるようになってしまった。


 だからか、最近お箸を持つとかフォークを持つ機会が段々と失われつつある。


「桜君、こっちも。はいあーん」

「あ、あーん」


 花蓮だけじゃなくて、楓もそうだ。


 僕にすごく世話を焼いてくる。二人が最近、本当に何もさせてくれなくて若干困っているし、将来が不安になって来る。


 この二人無しで生きられなくなるんじゃないかって。


 その後も、流されるままに二人に食べさせてもらい、食事は終わった。


 その後、ゆっくりとしてから一度この旅館にある庭園のような場所を見に行こうという話になり、二人と一緒に行く。


「綺麗だね、ここ」

「うん、そうだね。凄く綺麗だ」


 夜ということもあり、ライトアップされていて昼間に見ても綺麗なんだろうけれど、夜だとこう違った感じがするというか。


 一通り、二人と一緒に見てから部屋に戻ると布団が敷かれていた。


 三人分敷かれていたので、どこにどう寝るのかという話になるだろうと思っていたが、二人は当然のように僕が真ん中だと言う。


 花蓮は妹だからいいとしても、楓は僕の隣で良いのだろうか?花蓮が隣にいたほうがいいと思うんだけれど。


 そう話すと、楓は首を振って、僕が真ん中だと言ってくる。


 楓がそれでいいならいいけれど。


 電気を消して、三人で横に並んで寝るが..........


「あの..........二人とも?」

「何?」

「なんですか?」

「近くない?」


 二人は自分の布団から抜け出し、僕の布団に入ってきているんじゃないかってほどだ。


「兄さん、気にしすぎです。私、兄さんの布団と私の布団の丁度間くらいにいますから、完全には入っていませんよ?」

「そうだよ。また全然そっちに入れてないし」


 さらに距離を近づけてくる二人。


 体は密着するくらいには近くなる。


「兄さん、仲良く三人で寝ましょうね?」

「そうだよ、仲良くね?」


 二人の甘い匂い、甘い言葉に僕はコクコクと頷くしかなくなる。


 その後、完全に密着されて僕はあまり寝れなかった。


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kanikuiです


「人間不信のクラスメイトの女子を甘やかしたら、逆に溺愛してくるんだけれど」と「自殺しようとしている女の子を助けて溺愛してみたら........... 」を出します。


 この作品も相変わらずよろしくお願いします。

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ビッチで有名なギャルを助けたら、初心でヤンデレで逃げられない。 かにくい @kanikui

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