第7話 お昼寝中の王子様

「次の授業体育だぜ?めんどいな」

「別に走るだけだからいいだろ」

「その走るってことがつまらないだろ?」

「まぁ、それはそうだけれど」


 如月がうだうだと文句を言いつつも、制服から体操着に着替える。


 二人で外へ向かい外のグラウンドへ行く。


 授業が開始され、準備運動をしてからスタート位置に着く。


「なぁ、一緒に走ろうぜ?桜」

「ムリ」

「そんな殺生な」


 だって、早く終わらせたいし。

 

 グラウンド六周は面倒臭いし、それに終わったら何をしていてもいいから早めに終わらせたい。


 スタートしてから、十一分程度でゴールしてそのまま誰もいない日陰へ。


「あつい」


 日陰に行っても暑いのは変わらないが、幾分かはましだ。

 

 数分経ってから、段々と熱も冷め運がいいことに、そよ風も吹き始め、気持ちがいい。


 そのまま、段々とこくりこくりと船をこぎ始めてしまい、寝てしまった。


 ---------------------------------------------------


「何処にいるのかな、夕顔君」


 体育は私のクラスと合同でするから、助かった。


 愛しの彼を探すけれど、いつも隣にいる男子は未だに走っているし。


 もうちょっと私の足が速ければ、夕顔君に追いつけたんだけれどなぁ。それにしても夕顔君は運動もできるんだ。格好いいな。


 益々惚れてしまう。


 私に悪い噂が流れていることを知っていても、知らないふりをせず助けてくれた男の子。


 どうしようもなく心が惹かれた。

 

 私は、本来根暗だから、運命の王子様というものに憧れていた。


 颯爽と現れて、私を助けてくれた王子様。


 それが、夕顔桜君。

 

 桜と桜木、とっても似てる。


 私たちは、生まれた時から出会うべき二人だったっていうことだね。


 ......あっ、見つけた。


 夕顔君は、誰もいない日陰で目を瞑っていた。


 ......寝てる、のかな?


 ゆっくり近づいて顔を覗き込むと、小さくと寝息を立てていた。


 瑞々しい唇、汗をかいているからか、髪がペタッとしている。そして、仄かに香る夕顔君の汗のにおい。格好いい顔。


 どうしようもなく心臓の鼓動が速くなった。


 どくん、どくんと自分でも分かるくらいに鼓動が大きい。


 正常な思考ができず、私は、そっと......夕顔君の胸板に手を持って行こうとする。


 起きて、いや、起きないで。


 そんなどっちつかずの思考で......ついに触れてしまった。


「っ......」


 あはっ。あはは。


 触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった、触れちゃった!!

 

 まずいくらいにドーパミンが分泌されて、脳が快楽で染め上げられる。

 

 私は、なにも考えられないまま、夕顔君の胸板を触った手を、おもむろに口に運んだ。

 

 慈しむように、味を確かめるようにゆっくりじっくり舐める。


 に、妊娠しちゃう。こんな濃い夕顔君成分を含んだら。


 興奮が最高潮に達して、膝ががくがくと震えてしまい達してしまう。


 股の下に小さな水溜りを作ってしまう。股を触ると、快楽とともにニチャっとぬめり気のあるものが手に触れた。


 はしたないなぁ、私。ごめんね?夕顔君。

 

 今度は起きている時にしようね?


 私、いろいろ言われてるけれど、処女、だから。


 あなたに奪って欲しいの。


 約束、だよ?


 私はそっと彼の小指と自分の小指で指切りをして、重い足をどうにか動かし、名残り惜しいけれどその場から離れる。


 この指は洗わないで、この成分はお昼ご飯にしようかな?


---------------------------------------------------


 ………んっ、んぅ。んぁ?


 遠くから、声が聞こえる。


 まずい、寝すぎた。


 そう思い急いで立つと、ぴちゃっと水を踏んだような音が聞こえる?


 どうしてこんなところに水たまりが?


 それに......


「なんだ?これ」


 小指と親指を合わせて、離す動作をすると粘り気があるのかねちゃっとした橋がかかる。


 汗にしては、なんかねちょねちょしてるし


 疑問に思っていると、先生が号令をかけ始めていたので急いで戻る。


 まぁ、いっか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る