第45話

 僕が恥ずかしくて逃げたばっかりに二人が面倒臭い人たちに絡まれてしまった罪悪感がある。


 それに楽しい時間を台無しにしてしまった気分で少し心苦しい。


「どうしました?浮かない顔して」

「えっと.......」

「なんでも言って?夕顔君」


 僕が訳をぽつぽつと話すと、二人が何かをぼそっと呟いて視線を見つめ合わせ僕を見る。


「兄さんは、自分が離れてしまったばっかりに、とお思いなんですよね?」

「じゃあ、夕顔君が私達から離れなければすべては解決するんじゃないかな?」

「そうすれば、もうあんなことは起きませんよ?兄さん?ですから.......」

「こうしよう?ね?夕顔君」


 二人が両脇から、僕の腕を取って自分の腕に絡ませる。


「ちょ、ふたりとも?」

「これなら、離れませんよね?兄さん」

「これなら、安心、だね?」


 そう言ってより一層僕の腕に胸を密着させてきていて、僕の罪悪感を恥ずかしさが上回ってしまって、慌てて動揺してしまう。


「兄さん、逃げちゃダメ、ですよ?」

「そうだよ、夕顔君」

「.......はい」


 ここで、また逃げてしまったらまた二人が危ない目に合ってしまうかもしれないから、この柔らかい幸せな感覚から逃げられない。


「夕顔君、楽しいね?」

「う、うん」

「幸せですね。兄さん」

「う、うん」


 花蓮と桜木さんの綺麗な瞳がじぃっと僕の方へと向いている。


 見つめ返すことが出来ず、視線を彷徨わせているとかなり大きいウォータースライダーがあったので、気を紛らわすためにあれに乗らないかと提案すると快く頷いてくれる。


 移動する間もずっと僕の腕に密着していて、男からの視線がすごい。


 それもそうだよな。


 こんな綺麗な銀髪で顔も抜群に良い僕の妹とは思えない花蓮と、スタイル良し、愛嬌良し、そしてモデル並みの顔の桜木さんがいるんだ。


 僕だって、そんな奴がいたら嫉妬の眼を送ってしまうだろう。


 そんな大量の嫉妬の眼の中、僕らの番がやっと回ってきたが、どうやって滑るかが問題となる。


「兄さん、私を抱きしめてください」

「う、うん」


 花蓮が先に座って、後ろから抱きしめてくださいという。


 だけれど、桜木さんは.............そう思っていると「私が後ろから抱きしめるね?」と耳元で呟かれる。


 他に方法はないし、あんまり遅いと後ろの人たちに迷惑だから行くしかない。


 花蓮と抱きしめると後ろからものすごく柔らかいものが背中に当たり腕が僕の正面へと回る。


 そして、やっと滑る出す直前僕が花蓮を抱きしめていた腕がそっと緩められ、上の方へと持って行かれ、柔らかい物を触る。

 

「兄さんのえっち」

「え、で、でも.............」


 僕が反応する前に、滑り始めてしまった。


 

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