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すべてのエピソードへの応援コメント

  • 遅ればせながら、お疲れ様でした!

    モンゴルが世界帝国となった大きな要因であろうホラズム遠征。
    当たり前ですが、ホラズムにも武将がいて、兵士がいて、商人も民間人もいるんですよね。
    双方、様々な人物の視点から描くことで、物語の厚みが積み重なって。
    最初はモンゴル側に感情移入していたのが、おかげさまで、ホラズム側の各人にもずいぶんと感情移入することになりました^^

    そして最後は、軍を率い雄大な草原を征くジョチとクナン翁。草原を吹き渡る風と、草の匂いが感じられるようで震えました。

    この壮大な歴史物語と出会えたのは大きな喜びです。個人的な入り口となった『ウイグル雲景』とあわせ、本当にありがとうございましたm(_ _)m

    作者からの返信

     最終話まで読んでいただき、ありがとうございます。

     そのように言っていただけると、とても嬉しいです。特に本作は、多年に渡り精魂を傾けた作品だけに、感慨もひとしおです。書いて良かったと、心底、想いました。

  • アルプ・エル・カン。
    忠誠を誓った主に捨てられ、己は誰かに必要とされたがっておるという思いを抱えて戦うことを選んだ彼は、敗れたとはいえ満足して逝くことができたのでしょうか……。
    合掌。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そこのところは、読まれる方によって、濃淡があって良いのかな、とは想います。ある意味、人それぞれの美意識が最も反映されるところかもしれませんね。散る桜を美しいと想うのもあり、椿の花の落ち方を嫌うのもあり、なんでしょうね。

  • クナンさん、ジョチとカンの親子関係の崩壊を防ぐため、またジョチとカン自身のために文字通り命を懸けて……。
    でもついつい、「全部とは言わんけど大半チャアダイのせいやん……?」と思ってしまいます(汗)

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そう。全部、チャアダイが悪いのです。そう想っていただけるほどに、物語に入っていただいて嬉しいです。

  • 第31話 死地6への応援コメント

    カラチャルさん、指揮官としていろいろ想定して動いてますね。
    上司(チャアダイ)が脳筋なんだからこうもなるわい、と言われそうですが^^;
    チャアダイの下にいると、指揮官として育ちそうです(それもどうなのさ・汗)

    職業選択の自由、ならぬ上司選択の自由がないのは辛いですね……

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     戦場というのは、ブラック職場の極まりかもしれませんね。史料は伝えておりませんが、逃亡した者も多かったと想います。

     ちなみに、どういう基準で4子に与える将を選んだかというのは、はっきりしていません。チンギスにとっての左右の筆頭であるムカリもボオルチュも与えていませんしね。ただ、有力な武将の中からは選んだようです。そして、まさにそこが運命の分かれ道であったりします。

     実際、それが機縁となり、カラチャルの一族は、後のチャアダイ家の中で筆頭に近い有力武将となります。果たして、苦労した甲斐があったと想ったでしょうかね。『隣の芝は…』と言われる如く、寛容なオゴデイに仕える僚将を羨んだかもしれませんね。

  • 為政者目線で和平を結ぼうとするジョチも、彼の成長を喜びつつ将兵の立場に立って反対するボオルチュも。どちらも間違っていないのが胸に痛いですね……。
    チャアダイが血気に逸って余計なことをしなければ……と思うと、世の中うまくいかないものだと感じます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ジョチとチャアダイ、もともと仲が悪いことに加え、後継者争いも視野に入り、ますますとなってますね。そして、各々、一人ではなく、支える家臣団(各子に4人の千人隊長――クナンもその一人――を千人隊ともども授けたとされる)もおれば、引くに引けないという感じでしょうか。

     そして、チンギスがお目付け役としてボオルチュを授けたは明らかですが、王子たちも40才くらいと相応の年齢となっていますので、抑えが効かなくなってますね。チンギスも読みが甘かったということでしょうね。

     これ以前のことですが、金国の中都を攻めたとき、ある程度交戦した後でも、チンギスは犠牲が増えるのを嫌って、金国の降伏を受け入れました。和平か戦かというのは、現場の指揮官の判断次第となるのでしょうね。まあ、ウルゲンチ戦の場合、そもそも、この指揮がまとまっていないことが問題なのですが。 

  • 完結まで拝読させていただきましてありがとうございます。
    前話からとう結ぶのかと考えて、お話の最終回が勿体なく、しばらく前から残念で仕方ない状態でずっと読ませていただいておりました。
    最後の結びに至って、こちらがモンゴルの物語であることを改めて思い出しました。
    広大で過酷でもある地域を支配することの困難さと意義のために合議が敷かれ、戦いがあって、その途中でホラズムを滅びの道へと導いた、その過程を追いかけてきて感じるのは、どこまでも一人ひとりの個人が懸命に生きていた事実でした。
    その足跡をこれほど心に迫る筆致で示してくださったことへ感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。

    作者からの返信

     最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。また、過分なお褒めの言葉をいただき、とても嬉しいです。

     何より、コメントをたくさんいただいたことに感謝しております。私自身も本作を見つめ直す良い機会となりました。あらためて読み返すと、自分の印象より、面白くなるように色々工夫していたんだなと、なつかしさとともに想い出しました。本作を書き終えたときは、結構、疲れ切っていたのですが、再びチンギスの話を書く勇気と元気をいただいたと、想っております。

     

  • 総大将となった事実が示されれば正当性は充分だろうなと素直に納得しました。そういったナラティブの必要性はあっただろうなと感じます。
    逆説的に、それが求められる程度には盤石ではなかったということもあるのかな、と少し思いましたが、歴史の改竄は勝者の常ですね。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     実はオゴデイからフラグに至るまで、2度ほどクーデターが起きてます。まずは、オゴデイ家からトゥルイ家への移行、次にトゥルイ家内での抗争。

     ここで改竄されているのは、前者の弁明としてですね。オゴデイの死後、その息子のグユクが継ぎますが、急死します。(トゥルイの長子モンケによる)暗殺説もありますが、はっきりしません。ただ、いずれにしろ、ジョチ家の当主にして第2次征西の総大将を務めたバトゥーーその支持を得たモンケが次のカンに即位します。ここで、モンケは血の粛清を行います。グユクの正妻オグル・ガイミシュ、オゴデイの孫シレムン、チャアダイの孫ブリ、その他オゴデイ家の家臣の多くは処刑されます。

     オゴデイ家からトゥルイ家への政権移譲に賛同した者たちも、これはやり過ぎだろうと批判したのでしょうね。何せ、親族内、仲間内で殺し合いしているようなものですからね。

     そして度々紹介していた『秘史』の内でも改竄はあるのです。トゥルイは金国遠征からの帰還途上で亡くなりますが、これはオゴデイへの(土地神による)祟りの身代わりとしてとされます。現代人たる我々からすれば、祟りなどありえないということで、この死因が嘘八百は明らかなのですが。つまり、身代わりで死んだから、トゥルイ家への政権移譲は当然だと。裏を返せば、往時のモンゴル人の感覚では当然ではないとなるのでしょう。

     ちなみにイル・カン国の始祖となったフラグも、元朝の始祖となったクビライも、第4代カンとなったモンケが発した遠征軍を基盤とします。そのモンケの死後、この両者はモンゴル本土への帰還命令を無視し、現地で即位します。彼らもまた反乱者なんですね。

     

     
     

  • さすがに祝杯と回想もしたくなるでしょうね。この三兄弟をして、よくもなんとか保ってここまできましました。この凸凹ぶりが物語としてはハラハラの連続で見どころでしたが、当人はしんどかったことでしょうね。
    このオゴデイの政権、確かに気になります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     オゴデイの政権は実質的には、次兄のチャアダイとの連合政権のようなものですね。史料『秘史』の中で、カンへの即位後も、チャアダイを『アカ(兄上)』と呼び続けていますしね。よほどに仲が良かったんでしょうね。

     ただ、チンギスのような強力な指導者――まさにほぼほぼ一代でモンゴルを作り上げた――の次が、「和をもって貴しと為す」の典型の如くのオゴデイというのも――歴史の綾というか――面白いなとは想います。

     まさに、寛大を絵に描いたような人物であり、粛清などもほとんどなかったようです。

    編集済

  • 編集済

    大作の完結、お疲れ様でした。

    ブジルさん、結果だけを見れば仇を討つことはできませんでした。
    しかしそれは単に逃げられたのではなく、自身もまた父親となったから……。

    アリーくんのエピソードも、父親になったことが判るところで締められていましたね。
    こういうところに、戦記物ではあるけれどもマクロ視点のみではない、御作のテーマ性のひとつがあったのかなと感じました。

    番外編も楽しみに読ませていただきます!

    作者からの返信

     吾妻藤四郎様

     本作のテーマを深く汲んでいただき、とても嬉しいです。

     私自身も歴史上有名とはいいがたいブジルの場面で、完結を迎えることは想定していませんでした。ブジルを作品の中で成長させ、それに値する人物になりえていたらいいなと願うところではあります。

     番外編も読んでいただけるとのことで、とてもありがたいです。何より、本編だけでも長すぎる小説を、ここまで読んでいただき、感に堪えません。

  • 舞台を降りて去った者、新たに命と生きる道を得た者、こうして次の世代へ歴史が手渡されていくのかな、と前話と合わせて感慨を抱きます。トルンさんの胸の内が行動によく表れていて、切なさと希望とを感じました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     トルンの心情に心を寄せていただき、とても嬉しいです。

  • 弓の射合のシーンは映像が浮かびとてもドラマチックでした。
    この決着にはホッとしたというか、命を落とす結末でなかったのが救われました。
    そして、そこで母親に対して自分の行動を誇るところ。結局、身近だったり大切な自分の核となる人の元に帰っていくのだな、という感慨がとても共感できました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     共感していただいて、とても嬉しいです。歴史時代とはいえ、人が考え感じるところは、それほど変わらないかなと想い、それでオグルの述懐となりました。

     少し裏話のところを話しますと、史料上でこの2人はウルゲンチ戦後も存命してたりします。なので、オグルを生かして逃がすことは確定だったのです。夜陰に乗じて逃げたとすれば簡単なのですが、作者としては、やはりこの2人の見せ場を作りたいと考えました。

     ただ、問題が一つ。本作では、超人的な人物――三国志演義に見られる武将たち――は作らないようにしていたのですが、イェスンゲのみはそのタガを少し緩めていました。そもそも包囲されているところから逃げるということは、逃げる方が不利であり、それに、上のイェスンゲの強さが加われば、これはオグルさん、どう転んでも負けるなとなった訳ですが。

     それで、いろいろ苦心し、また最終的にはタガが外れた人物なら、少しばかりその精神性もタガがはずれていてもいいかなと想い、本話の構成となりました。

  • モンゴルへの復讐のみがこの世に命を繋いでいる、そして、痩せ細った身体、命を燃やす姿に胸が熱くなります。そんな時にアミーンさんのような人がいたらどんなにか心強いだろうと思います。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     確かに、アミーンがおらなければ、一矢報いることさえ困難な状況と想います。

     父親とはまったく正反対で、むしろモンゴルとの決戦を望むジャラール。それを支えるアミーン。ただ、その2人が拠って立つ地は、ホラズム本土――ウルゲンチを中心とする地方――から遠く離れたところ。かつて激しく争ったところのグール勢の故地であったりします。ここら辺は、まさに大陸ゆえかなとも想います。

     と同時に京都から遠く離れたところで立った2人の源氏の将――頼朝と義経――に、何となく重なる部分を感じます。頼朝の拠る坂東はあまりはっきりしませんが、義経の奥州は明らかに蝦夷(えみし)の故地であった訳で。

  • アミーンさん、ここで気概を見せてくれるたのは救いです。この期に及んで揉めるのは本当に忍びない。ホラズムの再興、ほんとにそれだけを見据えなければこの状況を乗り切ることはできないですよね。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     アミーンさん。本作では、そこまで描きませんが、ジャラールの対モンゴル戦にては、その補佐役に留まらず、まさに主役級の活躍をする人物です。実際、モンゴル史料の『秘史』が伝えるのは、ジャラールとアミーンの2人のみです。

     まさに、スルターン・ムハンマドはどこに行った?という話ですが。そもそも一度としてモンゴル軍と矢をかわさなかったですからね。

    編集済
  • うわ、寸前で争いが止められると思っていたら、まさかの事態に…。
    クナンさん、色々思うところはあるでしょうに、冷静な俯瞰の眼差しでしたね。それにしてもこんなところで犠牲になるとは。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     たかが兄弟げんかではありますが、それなりに年齢を重ねると、それにとどまらぬものになってしまいますね。

  • ブジルさん、子供にかけた情けが仇……にならなくてよかったです(´∀`)
    状況的に、まだまだ安心はできませんが。
    戦記物とはいえ、彼のような人情味ある好漢には死んでほしくないものですね。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ブジルに感情移入していただいて嬉しいです。彼は、アリーとともに本作のテーマである『仇』に深く関わる人物です。関わり方はまったく異なりますが。

     そして、ともに若いということもあり、作品中にて変化というか成長というか、そこのところを描ければと考えた2人でもあります。ブジルさんの今後をお楽しみに!

  • 第34話 死地9への応援コメント

    怒涛の述懐が凄まじかったです。「あんな者のために。そのバカ息子のために」ここまで思ってしまう程の辛苦があるという事と、それを背負うべきてある上に立つものの姿や姿勢への不満足。この乖離が埋まらないのだとすると、犠牲がどれほど過酷なものなのか、その恐ろしさを改めて感じました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     少し史書の話をしましょう。トルンの父はモンゴル語史書である『秘史』の中でモンリク・エチゲと呼ばれます。このエチゲというのは父(この語の含むニュアンスを込めれば父上となりましょうか)を意味します。ただ、重要なのは『秘史』における敬称の基準というのは、チンギスということです。つまり、モンリクというのは、チンギスにとって父上と敬称すべき存在であったのです。(実際の父であるイエスゲイはチンギスの幼いときに亡くなっております)そして、その息子のココチョスはテンゲリ(シャマン)としてチンギスというカン号を与えます。

     これほど、重要な地位(筆頭の家臣と言っても良い)にありながら、『秘史』に従えば、チンギスの弟たちと揉め、ココチョスは殺されることになります。(正直、『秘史』の記述は神話的といいますか、具体的なところは分かりにくかったりしますが)

     トルンの人物設定というのは、一方でこうした背景に基づいたものです。他方で、この人物はチンギスの最後の遠征である西夏遠征へ同道します。のちには、そこら辺も描きたいなという想いもあり、このチンギスと対立する思想を持つ人物として、トルンを描いたりしてます。

  • スルターン、頭がまわりますねえ。
    モンゴル軍の矛先を逸らし、そしてそれがアッバース朝に刃を突きつけるまさに一石二鳥。
    親子二代の英傑は錆び付いていなかった、というところでしょうか。

    モンゴル軍の陣へタレコミに行った「裏切り者」、噂は本当だったんだと思わせるための「カールーン城主による仕込み」だったら格好いいなー、なんて思いました(´∀`)

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     なるほど。「カールーン城主による仕込み」ということもあるかもしれませんね。

     というのは、史料を読んでいて想ったのは、逃げ回るスルターンですが、落ち武者狩りという憂き目に会うこともないなと。つまり、血の権威としては、この時点ではホラズム王家の方がチンギスを明らかに上回っていると。なので、カールーン城主の忠誠を期待できる状況ではあったと想います。

  • 主の意図を必要以上に汲んでしまう兵、この状況ではそんなことが起きても仕方がないような気もします。心の中では「ジョチ〜頼むよ〜」とツッコんでしまいますが笑
    そしてこれは水攻めなのでしょうか。夜の中では恐慌状態になりかねませんが、恐ろしいことです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     実は、ここのところ、史料に従えば、水攻めをしたのは、モンゴル側となります。ただ、戦局はまさに地獄に道連れてきなものとなり、それはないだろうと考え、ホラズム側によるものと読み替えました。
     
     この戦を離れれば、モンゴルは西夏の都を攻めるに際し、水攻めをしています。他方で、ホラズムはセルジュークが攻め来ったとき、やはり、水浸しにして、ウルゲンチを守りました。

     どちらでも、ありえるんですけどね。ここら辺は歴史小説を書く側の醍醐味というか、喜びと言うか、そうしたものかとは想います。まあ、ジュワイニーであれ、ラシードであれ――一応、その英訳はあるんですが――誰も読んでないというのは、あからさまなんですけどね。

  • チャアダイとオゴデイを夫婦に見立てる所、思わずちょっと笑ってしまいました(*^^*)
    その場合ジョチは何でしょうね笑
    チャアダイの兵に対する扱いの意図が透けて見えるのは、上に立つものとして信頼が得られるものではないでしょう。それに追従してしまうオゴデイに対しても頼りがいは見いだせませんね。といって我道を行くばかりで弟たちをまとめることもできないジョチも、うーん、このバラバラ感、傍目には興味深いですが、彼らの下でキリキリ舞いさせられる側からしたらたまりませんね。どうなることか。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     私としても、夫婦と見立てのは、気に入っているところなので、少しでも笑っていただければ、嬉しいです。

     そうですね。ここら辺は現代的な視点と言いますか――仕える将兵側の視点を入れてますね。お前ら、阿呆だろう、という上役に対する感情を、この時代も当然持ったと想います。良くも悪くも、史料はそこのところを伝えませんが。

  • チャアダイとオゴデイの性質の差が、顔色というか血色と、そうなる心の行動で表現されているのがとても興味深いです。
    オゴデイは人がいいだけなのか、王子たちの三すくみは拮抗するのか、気になります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そうですね。突き放した言い方をすれば、オゴデイはそうだと想いますし、チャアダイは厳しいだけの人だと想います。
     
     ただ、才能――これはどんな才能にも言えることですが――ここでいえばチンギスに比すに足る軍事的な才能が無いのは、本人の罪では無いのです。

     とはいえ、歴史時代においては血筋というものは重要です。この帝国を継ぐのは正妻ボルテの4子のいずれかとなります。この征西というのは、他面、後継者選びでもあるのです。
     
     モンゴルも文化としてはアジアに属するので、長幼の序というのはあります。ある意味、日本より厳しくあるのかなとも想います。(下剋上の名の下に、戦国以降、ここのところは明確に崩壊しますが、ただ、そもそも、日本ってどこまで長幼の序を重んじたの?とは想います)

     チャアダイやオゴデイが年齢を重ね、チンギス筆頭の臣のボオルチュをようやく――まさにようやくです――臣下として扱うを得るのが、この征西の時期であったりします。何気にそこら辺を汲んでいただければと想います。

     この歴史時代、モンゴルでは臣下をノコルと呼びました。これは僚友と訳されます。分かりやすい例を探すと、劉備に仕えた関羽・張飛となると想います。いわゆる義兄弟ですね。つまり、序列というのは明確にあるのです。ただ、互いを結びつけるものはといえば、そこに収まらぬという訳です。

     

     
     
     

  • 第80話 生存者 終話への応援コメント

    家族が誰も欠けることなく、自分の子供も生まれていて。
    殺された隊商の人たちはただただ気の毒ですが、アリーだけでも幸せになってくれて良かったです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     アリーに感情移入していただいて嬉しいです。私にとっても、アリーは一際想い入れ深い登場人物です。最初にアリーが出て来る場面(第1部第8話)を書いたときが、懐かしく感じられさえします。

  • 状況が次々と変化していって怒涛の勢いだったのですね。読み応えたっぷりです。
    投石を木で!スゴいやり方してたんですね。水に濡らすのも。加工というのはぶつ切り位にしてたのでしょうか?

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。読み応えありと言っていただいて嬉しいです。

     ところで、弾の大きさの件ですが。ウルゲンチ戦を伝える歴史家ジュワイニーは、桑の木から作ったと伝えるだけで、弾の大きさは伝えていません。

     一応、重ければ重いほど弾の破壊力は増します。しかし、これを飛ばす投石機も木製のため、あまりに重いと投石機の方が壊れてしまいます。なので、弾の大きさにはおのずと限界があります。

     ただ、後年、チンギスの孫(でトルイの子)のフラグ(イル・カン国の初代)がイスマイール派の山城ゲルド・クーフ(クーフは山の意味)を攻めました。その際に用いたと想われる弾が今でも残っており、直径40センチほどの丸い石とのこと。なので、かなり大きく重いですね。

    編集済
  • 第4話 兄弟ゲンカ 1への応援コメント

    そんな確執と理由があったのですね。
    事実はどうなのでしょうか。
    チンギスは度量が広いのか、社会的にありがちなことで蓋をするのがスマートだったとかなのか、気になります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     チンギスについては特に度量が広いとは史料は伝えていませんね。伝えられているのは、オゴデイですね。ただ、そのオゴデイが次のカンに選ばれることからも分かる通り、王族にしろ臣下にしろ、カンに求める資質として、度量の広さ――寛容である――というのは、重要だったのでしょうね。誰しも、その怒気に当てられ、殺されたくはありませんから。



     そして、この件について言いますと、モンゴルでは高貴な血筋を求める略奪婚が行われていました。略奪して来た女性を正妻とし、その子に国を継がせるのですから、そうした伝統が無い日本からみると、随分、危ういことのように想えますが。

     なので、ジョチのような状況はありがちだったと想います。また、チンギスのなした判断もありがちで、凡庸なものだったと想います。ただ、この凡庸さというのは重要で、他の者からすれば、理解できる行動ということになります。

     他の者から理解できない場合、やはり織田信長のような末路が待ち受けるのかなと。最も信頼を置く武将の一人光秀から、まさにあのような仕打ちを受けることに。このとき嫡男の信忠も一緒にいるときを狙って襲撃したと想われ、それだけ恨みが深く、また、計画的だったのかなと想います。

     ただ、チャアダイが騒いでいるというのは、そうではない判断をくだすこともありえたということでしょう。

     このときのチンギスの状況について言いますと、オン・カンに仕える一武将程度の弱小勢力です。そうしたチンギスにとって、姻族たるボルテの実家は、連合相手として重要なものです。やはり、ボルテにとっては初めての子であり、ボルテの両親にとっては孫ですからね。その気持ちを重んじたのだと想います。場合によっては、(チンギスの)母ホエルンも交えて、両家で相談したのかもしれませんね。しばしば、チンギスに対する文句を史料が伝えるホエルンも、この件については何も言ってませんしね。
     

     

  • アルプ・エル・カンの、ひりつくような緊張感が伝わってきます
    (もちろん、これまでの戦の描写もです)

    こうしてクローズアップされると、死んでほしくないと思ってしまいますね。
    最後、チャガン視点で夕陽の中に消えていくかのような描写も印象的でした。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     アルプに感情移入していただいて嬉しいです。また夕陽の場面を褒めていただき、ありがとうございます。

     その場面の少し前、チャガンが弓を拾い上げますが、これはモンゴル馬が小柄なゆえにできることだったりします。小ネタでした。

  • ああ、最後はこの言葉でしめられるのですね。素晴らしいです。胸に染みました。
    この物語がタイトルの通り、モンゴルとホラズム双方のお話であることがよくわかります。
    日本ではあまり触れられることのない時代と国について、ここまで鮮やかに描写されたお話を追わせていただいて、とても楽しく興味深く拝見いたしました。

    番外編も楽しみですが、でももうちょっとこの最後に浸りたいかもしれません(*^^*)
    ありがとうございました。

    作者からの返信

     カワセミ様

     ここまでお読みいただき、ありがとうございました。長い小説なので、そのことに、まず大感謝です。
     
     そして、コメントありがとうございます。そのように言っていただき、また、素晴らしいレビューを書いていただき、とても嬉しいです。再び、大感謝です。

     

  • どんな偉大な業績をなした人物であっても、死の時は侘びしく恐ろしいものなのかもしれない、そんな凡人には痛烈なメッセージを受けてちょっとあてられてしまいました(^_^;)
    時代は次々と変わっていくようで、次代のスルターンはうまく立て直せるのでしょうか。

    作者からの返信

     コメントありがとうございました。

     私自身、何でこいつ、こんなところで、こんな形で死んでるんだろう――お前、一方の主人公なのに、一戦も交えずに、と想いはします。

     ただ、実際の死というのは、こういうものだとも想います。そして、ままならぬというのは、死のみでなく生の方もまたとも想います。

     そうした死と生をつづるを得るのも、(登場人物の生死が史実で決まっている)歴史小説であるからこそ、とも想いました。

     感想をたくさんいただけて嬉しいです。私自身も本作を見つめ直す、良い機会となっています。本作は歴史悲劇として書いたのですが、投稿時はコロナが猛威をふるっていたこともあり、どんなんだろうと想うところもありましたので。

     

    編集済
  • スルターンの己が生き延びれば先に光明があるのでは、と思いたい気持ちと、残ししてきた者たちへの述懐に人としての苦悩が見えます。
    島は…まずい。いよいよなのでしょうか(゚A゚;)

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     チンギスが派遣したのが、このときの2人の名将――四狗(ドルベン・ノカス)のジェベとスベエテイですので――もう一人の期待の新星トクチャルはいろいろあってとなりますが――追われるスルターンとしては、最悪ですね。

     ただ、これより後となりますが、そのジェベも帰還時に亡くなったりと、モンゴル側もその内実は自転車操業であったりします。

     歴史の後を知る我々からすると、スルターンが抱くはあてのない希望と想えますが、往時の基準で高齢と言って良いチンギスが長駆の遠征先で亡くなるというのは、かなりあり得ることと想います。となれば、モンゴル軍は、崩壊とは行かずとも、十中八九撤退するでしょうから。この逃走というのは、そこに賭けたのだろうと想います。

  • 行き詰まる追撃でした。どちらにもそれぞれに少しずつ利があるのが、一気にカタがつかないところで、緊迫感があります。
    目を射られたかすぐにわからない、痛みがあるのかないのか判断できないのが、戦場での心理的肉体的反応という感じがして息が詰まりました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そのように言っていただけて、とても嬉しいです。

  • ブジルさん人情味がありますね。転じて自らを窮地に追いやりましたが、天が味方したのでしょうか。
    ダイナミックで印象的な戦闘の一幕、ハラハラしました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そのように言っていただいて嬉しいです。

     ティムール・マリクや水上戦の推移の方は、歴史家のジュワイニーがかなり詳しく伝えているのですが、ブジルの方は征西に加わったとあるくらいです。なので、実在はしているのですが、かなり創作が強いキャラです。それもあって、(隊商のアリーとともに)本作のテーマの「仇」を分かち持たせている人物でもあったりします。

     他方で第1稿には存在せず、最初の(「なろう」さんへの)投稿中に想いつき、育ったキャラでもあります。なので、私自身の想い入れも深いです。名前がもう少し日本人になじみ深いものであれば良かったのですが、ここらへんはどうしようもないですね。

  • これまで緊張感に満ちた空気が続いた中、真人のだだこねっぷりが一服の清涼剤のようでした(´∀`)

    ……でも、自分の年齢を考えたら、やっぱり行きたくないですよね^^;

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     実際のところ、命がけですね。この一行の中の副長――なので、それなりに高齢だったと想われます――に相当する人物が、道中で死んでおりますから。

     結局、長春はおもむき、チンギスに会います。この長春の旅については、弟子が詳細な記録を残しており、直接チンギスに会った人物の記録として、非常に貴重な歴史史料となってます。

     また、長春の全真教は、こののちモンゴル~元朝にかけて、道教の総元締めに相当する位置につくを得ます。命がけで赴くことが、何よりの忠誠の証と、チンギス側が考えていたことが良く分かりますね。

  • 紆余曲折ありましたが、さすが最後は賢明な引き際でしたね。周囲は明暗が分かれましたが、モンゴル相手ならましな方でしょうね。
    美しくあってほしかったので良かったです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     テルケン・カトンに感情移入していただいて、嬉しいです。チンギスのような歴史上の有名人ではない人物――更にいえば、ムスリマであり遊牧勢でありトルコ系でありと日本人には縁遠い人物――に想いを馳せていただければ、本作を書いた甲斐があったと実感します。 

  • 隙間を縫うような抜け目なさ、あがき、嫌いじゃないです。先はわかりながらも、なんとか逃げ延びてほしいと応援したくなります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     スルターンは一貫してますね。ひたすら、逃げます。平家の壇ノ浦みたいに決戦してくれれば、小説としても盛り上がるんですけどね。

     これでも、父テキッシュとともに、ホラズムの領土を帝国と呼びうるほどに拡大させました。そうした軍事における英雄としての側面も持っているはずなんですが。

  • 第86話 ホジェンド戦1への応援コメント

    髭を剃らせた話は聞いたことがありましたが、この時点なんですね。強気というか、怖いことをしますね。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     スルターンもこのときは戦争する気でしたからね。ティムールの胸中はまさに国境を守る指揮官ゆえですね。

  • スルターン、追い詰められてますね。戦時指導者としては力量不足な気がします。判断を先送りにするほど被害も影響も拡大しそう。息子は頼もしげなので、なんとか気持ちを翻してくれるといいのですが。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ホラズムとモンゴルの歴史をかんがみるとき、戦(いくさ)というものは、矢を交わしてみなければ、分からないのだろうなと痛感します。このとき、ともに勃興する大国でした。両国の間にはカラ・キタイ(西遼)があったせいもあり、ほぼほぼ交戦はありませんでした。

     軍事的に、スルターンはモンゴルを過少評価し、チンギスはホラズムを過大評価します。なので、スルターンはオトラルでモンゴル隊商を虐殺し、チンギスはほぼほぼ総勢をもって親征します。(金国攻めの最前線を指揮するムカリに残されたのは、最低限の軍勢です。)ちなみに、西夏はモンゴルが負ける方に賭けて、軍事協力を拒みました。

     歴史をかんがみると、東方から西に攻め込んで世界帝国を築いたのは唐朝ぐらいです。およそチンギスの400年前です。また、モンゴル以後、このような大帝国は築かれませんでした。チンギスの後裔が割拠する形で支配は継続されたにしろ。

     スルターンって、運が無かったのかなというのが、 創作を離れての、正直な感想だったりします。




     

  • なるほど、テルケンは全面的な退却姿勢なんですね。少し意外でした。

    作者からの返信

      コメントありがとうございます。
     
     かつて南(今のアフガン当たり)のグール国がウルゲンチに攻めて来たときは、陣頭に立って応戦したテルケンも、今回は逃げました。それだけ、モンゴル軍が数で圧倒していたとみることもできます。

     ただ、カンクリ勢というのは、もともと遊牧勢です。なので、逃げるという選択肢は、日本人が感じるほど悪い訳ではありません。日本であれば、籠城してその地を保てば、来年も田の実りを得ることはできます。ただ、遊牧勢の場合、その地を保っても、軍馬や家畜を奪われては、それまでです。城内にて保てる軍馬はそれほど多くないと想われます。

     ここら辺、その歴史に生きた各々がどう考え、どう選択したかを考えるのは、とても面白いですね。それが歴史小説の醍醐味だとも想います。

  • 第80話 生存者 終話への応援コメント

    もしかして命を亡くしたのかとハラハラしました。
    暖かな再会、良かったです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     書いてからしばらく経つ現在では、アリーにとっての幸せな終わり方が作品全体にとっても良いと分かるのですが、書いている際中は余裕が無かったのでしょうか、あまりそこら辺のバランスは分からなかったですね。

     他方で、妻の名前を何にするのかを調べるのが大変だったなと、そんなことを想い出します。歴史時代、女性の名を伝えないのは、日本もイスラム教徒も同じでして。カワセミ様の作品の主人公が外記なのも、そうしたところゆえの苦心の現れなのかな、と勝手に推測したりしています。

  • 市井に生きる人々の、複雑さ、立ち回りが生き生きと描かれているのが、物語に深みを与えていて感動します。
    そもそも知る手立ての少ない時代、地域のお話を追うだけでも初めてのことばかりですが、さらに文化や習俗が示されるのはとてもワクワクします(*^^*)

    またこちらにて失礼いたします。拙作へのご評価、お星さま賜りましてありがとうございました。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     お楽しみいただいているようで、何よりです。ここら辺は手探りで書いているというのが、正直なところです。読み返してみると、懐かしく感じられたりします。

  • 敗走とはいえ、一方的というのでもないのですね。
    ここにきてのチンギスの揺れ動く心があるエピソード、心引かれました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     チンギスに共感していただいて嬉しいです。宿敵ジャムカを出した甲斐がありました。

  • 死闘でしたが、それゆえに敵方にも被害は甚大で、チンギスがどう考えるかが怖いですね。
    きっと結果はイナルチュク自身がわかっていたことでしょうが、最期までは描かれるのか、気になります。
    ここからスルターンの敗走劇になるでしょうか。はらはらします。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     楽しんでいただいているようで、何よりです。少しばかり補足します。
     イナルチュクはスルターンとともに、大きなわざわい――モンゴル軍――を自国に招き入れる原因――隊商の虐殺――をなしました。このことは、恐らく痛恨に尽きると想います。もちろん、イナルチュク自身は大きな歴史の渦に巻き込まれていますので、どこまで、この状況を客観的に認識できたかというのは、疑問ではありますが。ただ、多少なりとも客観的に見ることができたなら、まさに生きるも地獄、死ぬも地獄という状況だったのではないかと想います。


  • さすがと言おうか、厳しい措置ですね。
    イナルチュク側がもてなすつもりだったのに対して、カラチャは軍装、という互いの認識の齟齬が辛いな、と感じました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     2人の相違に着目していただいて嬉しいです。この状況への対応の差というのは、史実に基づくものです。一方はカンクリ勢として、他方はマムルークとしてではあるも、ともに配下の命がかかった選択となります。想いを馳せれば、困難な選択であると想います。

     カンクリ勢というのは、日本でいえば、古くは源氏や平氏、戦国でいえば織田や武田の軍勢を思い浮かべていただければ、分かりやすいかなと想います。血縁に基づく軍勢です。

     ちょっと分かりにくいのは、マムルークの方でして――これには奴隷の語が当てられますが、そうなると、どうしても欧米における奴隷を連想してしまうのですが――これはそうしたものとはまったく異なり、君主に対して忠義を誓う者たちです。セルジューク朝の君主は血縁に基づく自勢力より、マムルークを重んじたことが知られています。

     ここら辺が作中でうまく表現できているかは正直、不安ではありますが。お楽しみいただけているのであれば、幸いです。

    編集済
  • グーグルマップではないのですが、愛用の世界地図帳を見ながら拝見しております。
    こうして詳しく書いていただけると、まさに旅情と言いますか、シルクロード好きの胸が熱くなりますね。

    この度は、拙作に文章レビューを頂きまして、誠にありがとうございましたm(_ _)m

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     本作を楽しんでいただけているようで、何よりです。

     レビューの方も気にいっていただけましたら、嬉しいです。

  • コメント失礼します。

    チンギス・カンがホラズム国に向かわせた和平の使者や隊商、そしてオトラルとくれば……(||゚Д゚)ウヒィ
    アリーたちはサイラームで使者の帰りを待つようですが、どうなることやら。巻き添えくったりしないといいなあ……

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     果たして、どうなるでしょうか? 引き続きお読みいただければ、何よりです。

  • 完結おめでとうございます。
    一年越しになってしまいましたが、ここまで読めて感無量です。
    チンギス・カンの逸話はさわりくらいしか知りませんでしたが、少しはモンゴルと中東の歴史に詳しくなれたかも?

    また、次回作の方も読ませていただきますね。
    お疲れ様でした!

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そのように言っていただいて、とても嬉しいです。書いているときは夢中で書いていましたが、想い返すと、長い旅に出ていたような、そんな感じですね。

  • あれ、背景を調べずに読んでるので改竄がどっちなのか分からなくて。
    歴史書ではオゴデイ任命が正しいとして、本当はトゥルイだったのを改竄したとしたら、割とあるかもなあと思ってしまいます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     書の名前がいろいろ出て来て、分かりにくかったと想います。

     改竄が疑われるのはラシードですね。『親征録』(漢籍)と『ジュワイニー』(ペルシア語史料)という全く別個に書かれた2書がともに、「ウルゲンチ攻めと同時期、トゥルイはホラーサーン(アム・ダリヤ南岸の地)に遠征しておった」と伝えていますから。


  • 編集済

    へぇ~、大人しい三男が次期皇帝とか夢がありますね。
    でも、そういうのもあって割と早く崩壊しちゃったのかな?
    とはいえ、孫のフビライまでは全盛期だし、フビライもオゴデイの子どもなんですかね。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     オゴデイの即位の内部事情は、次話に書いていたりします。チンギス亡きあとは、実質的に(正妻の子の)4家による連合政権となります。つまり、相談して物事を決める政権になったのです。なので、同じカンといっても、オゴデイの権威も権力も、チンギスには遠く及ばないですね。

     オゴデイについて特筆すべきは、その寛容さですね。次帝に選ばれた一因もそこにあったのだと想います。チャアダイだと、下手に恨みを買うと、殺されそうですからね。

     フビライはトゥルイの子ですね。このあと、トゥルイ家による政権簒奪があるのです。

  • イイハナシダナーと思ってからのこのギャップ

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     歴史悲劇たらんとした本作もいよいよ終盤です。その1エピソードとして、本話も印象深いものになればと、願うところであったりします。

  •  こんばんは、完結おめでとう御座います。
     お疲れ様でした。
     チンギス・ハンが亡くなった後も、その血が、意志が、歴史を紡ぐ。
     雄大さに圧倒されました。面白かったです。

    作者からの返信

     最後まで読んでいただいて、とても嬉しいです。また、本作の執筆には多大な労力と熱意をもって臨みましたので、そのように言っていただき、感無量です。

  •  こんばんは、御作を読みました。
     こう、連携がバラバラになっていくと、やはりチンギス・ハンは偉大だったのだと再認識しますね。
     どんなに強くても兄弟の思惑がこうもズレていると厳しいか。面白かったです。

    作者からの返信

      コメントありがとうございます。
     
     まだ少しばかり先――チンギスの孫の代――とはいえ、モンゴル帝国はまとまりを保てず、分裂して行きます。そうした史実も踏まえてお読みくだされば、本作の成り行きもより楽しめるのでは? と想います。

  • 最初はホラズムが出てくるので、ジャラール・ウッディーン出るかなぁと思って読み始めたのですが、色々勉強になりました。

    陳舜臣先生がモンゴルが華北を制して更に華南まで制覇した理由として、先にイスラム文化に触れて中国文化への憧憬が薄れたというようなことを言っていましたが、投石機を持ちだしたり、うまいこと両文明と付き合えたところがあるのかもしれませんね。

    こちらのネタ的話で、モンケが頑張れば的なものを書きましたが、オゴデイも長生きすればどうなったのだろうというのがありますし、モンゴルにはロマンがありますね。

    作者からの返信

     最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。なかなか、ここまでたどり着ける人はおりません。


     オゴデイが死ななければ、バトゥ率いる(第2次)征西軍が引き返すことはなく、ヨーロッパを征服していたでしょうね。このときのモンゴル軍を阻めるのは、自然環境しかなく――もちろん、その地に相応の軍事力を有する政権があるとの前提でですが。海で隔てられる日本、砂漠と暑熱のマムルーク、川と暑熱のベトナムが撃退してますね。馬は暑さが苦手ですしね。

     私がこの小説を書いた動機の1つに、なぜ、これほどの大帝国を築けたのだろうという疑問がありました。その理由の大きなものとして、この征西が挙げられると想います。恐らく、オトラルでの虐殺事件がなければ、チンギスのホラズム親征はなされず、金国、南宋へと攻め込んだと想います。騎馬にとって障害となる稲田と川が多い南宋には、チンギスといえど手こずるのは間違いなく、そうなると、西の方への展開はどうであったろうかとは想います。

     少し謎として残ったのは、モンゴル勢は分裂するといえど、チンギスの後もずっと強いのですね。アレキサンダーやティムールなど、いくら、初代が優れた軍事的英雄であったとしても、その後は拡大していかない。遊牧勢が支配する草原世界に限れば、チンギスの子孫は支配者側に留まり続けます。女系ではありますが、清朝やムガール帝国でさえも、その皇帝たちはチンギスの血筋となってしまいます。

  • ラシード・ウッディーンが改ざんしたかもしれないわけですか……。

    考えたことがなかったのですが、ガザン・カンとオルジェイトゥの時代は、カイドゥとその息子が暴れていたので、その関係で「オゴデイ家なんかたいしたことねーよ」という風潮があったのかな、と思いました。
    特に根拠はないですが(汗

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そうしたこともあったかもしれませんね。このときのイル・カン国はまさに周りのモンゴル勢は敵ばかり。味方は元朝のみ――でも敵に隔てられ、国境は接していないから、頼りにならないという感じですからね。

     個人的には、これは政権の正統性の問題と想います。オゴデイ家からトゥルイ家が簒奪したという批判――もちろん、面と向かって言う人間はいないでしょうが――それが、あったのではないでしょうか?

     元朝秘史にも、金国遠征の帰途、オゴデイの受けた祟りをトゥルイが肩代わりして死ぬという記事がありますしね。祟りなんで、当然、本当の記事ではない――もちろん、このとき死んだのは事実としても。なら、なぜ、この記事が入ったのかというと、オゴデイ家はトゥルイ家に借りがある。ゆえに、政権を奪ったとしても、その借りを返してもらっただけである、ということですね。この秘史はオゴデイ・カンまでしか記されていませんが、モンケ、クビライの意向を受けて、後に改ざんされたということは、十分にありえることです。

  • 車輪の話を見て、玄宗・李隆基がクーデターを起こした際に「馬鞭より大きい者は殺せ」と指示した話があったことを思い出しました。
    唐の李一族は鮮卑由来という説がありますが、共々遊牧民ならではの発想ということでしょうか。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そうですね。モンゴルに近しいものを感じますね。それと、大の大人が幼子を殺しては覚えも聞こえも悪かろうという、これは現代の我々にも通じるものですね。ただ、今のハマスとイスラエルの戦争を見ると、現代の我々の方が残酷かも、という気もしなくはないですがね。

     日本でも頼朝や義経が助命されたのは、やはり年齢ゆえというのが大きいと想います。頼朝を幼子と呼ぶのは、かなり微妙ですが。正直、ギリギリアウトでもおかしくない。

     ここら辺はまさに歴史の綾と言いますか、チンギスも頼朝も幸いに生き延びた。そして歴史を変えてしまったと。


  • 編集済

     こんばんは、御作を読みました。
     チンギスハンの遠征と、ティムール・マリクの奮闘、ここまで詳しく描くのはたいへんだったと思います。
     素晴らしい物語をありがとうございました。番外編も楽しみにしています。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そのように言っていただけて、とても嬉しいです。また、ここまで読んでいただきありがとうございました。

     調べることは好きなので、苦にはならないのですが。どうも、そっちの沼にはまり過ぎ、お話造りの方がなおざりになりがちなのが、私の悪い癖ですね。

     ただ、歴史小説の場合、虚を混ぜ込むにしても限界があり、基本的なところは余り変えられない。こうなったら、盛り上がるんだけどな、などと想いつつも、史実に従う。例えば、戦の勝ち敗けとか。そこが難しいところだな、とつくづく想いました。

  • こんばんは。
    実はジャラール・ウッディーンの方に興味があって、読み始めたのですけれど、庶長子で皇太子ではなかったんですね。
    ここまでコテンパンにされた後に、「誰がモンゴル相手に戦えるか」ってなるとジャラールしか出てこないというのはあるかもしれませんね。

    ムハンマドの方は、元々結末を知っていて何だかなぁ感が否めず、ここでの最期を見ても同じではありますが、元々遊牧民系ですし潔く責任をとるよりは醜くても最後まで望みを捨てない姿勢でいたということでしょうか。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。
     
     そうですか。ジャラールに興味がおありですか? 一応、インダス戦まで第1稿はあるのですが、勝ち負けがくつがえる訳でもなく、また、どれくらいの人がそこまで興味を持って読むだろうかと想い、構成を変えました。そのジャラール戦との間をつなぐ、ウルゲンチ戦をこの後、番外編として連載しましたが、それを最後まで読んだ人は少なかったですしね。残念なことですが、紙の本でもネット小説でも世界史は人気無いですね。前者で本を出せるのは、自分の名前で売ることができる大御所に限られますし、後者は三国志が唯一例外という感じでしょうか? それでも、戦国ものに比べれば、読者は少ないようですしね。

     逃げ回ったのは、スルターン・ムハンマドの人となり――その個人の資質ゆえという点もあるとは想いますが――やはり、このときのモンゴル軍が2つの点で規格外であったことが大きいと想います。1つは、その軍勢の多さで、厳密なところは分からないのですが――唯一ジューズジャーニーが60万と伝えますが、無論、これは信じられない――少なく見積もっても10万以上、下手をすると20万を超える。これは騎馬軍として、とても多い数です。これ以前、ホラズムはカラ・キタイに臣従していましたが、(ちょっと、うろ憶えではありますが)、その遠征軍は多くて2~3万だったと記憶しています。
     もう1つは投石器をたずさえたことですね。その兵器も、これを造れる人たちも、西夏や金国との戦争で得たものです。通常、遊牧勢というのは投石器を持っていないのですよ。ティムールの子孫でムガール帝国の創始者であるバーブルはサマルカンドを攻めたりしますが、投石器をたずさえていません。また、(こちらは、史料を当たった訳では無いので、たしかなことは言えないのですが、)オイラトが明の首都を攻囲したとき、攻め落とせなかったのは、これをたずさえていなかったからだと考えています。


  • 編集済

    少し遅くなりましたが、最後まで楽しませて頂きました。自分の作品の十字軍やイスラム帝国との関連が良くわかりました。なんとか歴史小説を盛り上げたいですね!

    作者からの返信

      最後まで読んでいただいてありがとうございます。また、そのように言っていただけて、とても嬉しいです。

     歴史小説のみならず、出版不況なのは、今の人たちの想いを、小説がうまく汲み取れていないからなのかな?とも想います。同じ書き手として、ここら辺は悪戦苦闘せざるを得ないところですね。

     ジャンヌさんの話も、従来の歴史転生ものから、更に1歩踏み出したところを感じてます。そうした試みに頼もしさを感じるとともに、純粋に読み手としても、どうなるかワクワクです!

  • ソグディアナとマーワラー・アンナフルの知名度合戦(知られなさ合戦?)は究極の選択って感があります(笑

    個人的にはティムールや、グレートゲーム関係でマーワラー・アンナフルの方が知られていそうなイメージがあったのですが、中国史にくっついた西域運営などの頃はソグディアナですから、トータル的には後者になるのでしょうかね。

    作者からの返信

      コメントありがとうございます。

     玄奘さんがインドに行ったときは、途中のサマルカンドでソグドの王に会ったりしています。このときは、突厥・ソグド連合という感じですね。なので、ソグディアナです。

     後に、イスラーム(アラブ)勢力が拡大して、まさに、アム河をはさんで、ソグド勢と対峙しました。そのソグド勢の地を、マーワラー・アンナフル(河向こうの地)と呼んだのですね。

     最終的に、突厥・ソグド連合(のちには唐・突厥・ソグド連合)は敗れ、この地はイスラーム化されました。これ以降、ティムール朝も含めた人々はムスリムとなりますから、彼らは多くマーワラー・アンナフルの語を使いますね。

     どちらで呼んでも良いのでしょうが。日本から見ると逆向きですし、マーワラー・アンナフルが『河向こうの地』を意味することを知っている人は1万人に1人くらいじゃないかという気がします(笑)。

  • 完結、お疲れ様でした。
    結構な遅読で追ってまいりましたが、最後まで大変面白く読ませて頂きました…!

    ウルゲンチ戦も、チンギスの息子たちの性格の違い…兄弟が衝突し、様々な事件に発展する様子…それぞれの人間みや歴史の流れを感じられて面白かったです!
    物語はここで完結ですが、歴史はこの後も続くと思うと、彼らの今後の物語も追ってみたいなという気持ちになってしまいます…!

    また鯨先生の歴史ものなど、拝読させて頂きたいと思います!
    史料や参考文献を読み込みながらの超大作の執筆、本当にお疲れ様でした!

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そのように言っていただいて、とても嬉しいです。また、なかなか番外編の最後まで読んでくださる方はおらず、ここまでたどり着いていただいて、本当に嬉しいです。

     歴史ものも、史実に沿った戦記についていえば、本作でやりたいことはやりつくせたかなと想えます。読者を最後まで引っ張れる仕掛けなりネタなりが想いつけば、また、チャレンジしたいと想います。

     本作を気に入っていただき、本当にありがとうございました。


     

    編集済
  •  こんばんは、御作を読みました。
     いよいよホラズムとの決戦、ワクワクして胸が高鳴りますね。楽しみにしています。面白かったです。

    作者からの返信

      コメントありがとうございます。

     ワクワクしていただいて、嬉しいです。話のタイトルに『短かったね』などと付けていますが、恐らく、ここに至るまでに10万字以上。明らかに長すぎますね。

  •  こんばんは、御作を読みました。
     チンギス・カンにここまで言われたら、そりゃ心服しますよね。
     自らの過去を明かしつつ心をほどくシーン、器の大きさを感じました。面白かったです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     チンギスは幼少の頃、苦労しているという点では、家康と似ているかなと想います。長寿という点でも。家康も健康にずいぶん気を使ったようですが、チンギスも長寿を望んだようです。その場面そのものは、本編に描かなかったのですが、呼び寄せた道教の師たる長春真人に、その法を尋ねたりなどしています。

  • 第20話 3の矢2への応援コメント

    それでも黒トクなら…黒トクならきっと何とかしてくれる…

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     少し創作上の裏話をすると、本作は歴史ものということもあり、あまりに超人的な活躍をする人物は非現実的として、出さないようにしてました。そして、この黒トクは、その際というか、そこの限界ギリギリを攻めているキャラだったりします。実際のところ、これは微妙なラインだとは想います。行き過ぎればリアリティを失うし、そうでなければ、キャラが魅力あるものにならない。

     なので、黒トクに期待していただけるのは嬉しかったりします。

  • 殺されるかもしれない使者ってイヤですよね。それも前任者が殺されていたらなおさらかと。友好の使者になりたいものです。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    私もそう想います。それを願い出る人間って、どんな心理なんだろうと考えて、このダーニシュマンドのキャラとなりました。

  • 死の行進と聞いてなぜか、「バターン死の行進」を思い出してしまいました。中身は全然違うのですが。恐ろしい響きがありますね。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    ブハーラー~サマルカンド間は往時8日ほどかかったと伝えられています。これは馬、もしくはラクダの話です。歩いて移動する距離では無いですね。なので、おのずと本話の如くとなります。

  • 耶律阿海という方は知りませんでした。耶律楚材をチンギスカンに推挙したそうですね。なかなかの軍師だと思います!

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     阿海に興味を抱いていただいて嬉しいです。日本では、楚材の方が有名ですが。軍勢を率いておったということもあり、往時、チンギスのおぼえが良かったのは、明らかに阿海の方です。実のところを言えば、楚材はチンギスに近侍できたかも怪しいところではあります。漢籍ではその活躍振りが伝えられるも、イル・カン朝の歴史家のラシードなどは楚材の名を伝えておらず、漢籍が伝えるところは誇張があるのでは?と疑われております。

     ところで、(耶律氏の率いる)キタイは遊牧勢の政権としては、時代的にはモンゴルより古いですが、定住民(農耕民)の取り扱いでは、モンゴルより積極的であったりします。恐らくそれは唐朝の影響と想われます。唐朝自体が純粋な漢民族の王朝というより、半ばではあるも、鮮卑系の王朝であるという捉え直しの中で、キタイとは何か?モンゴルとは何か?を考えることは、とても面白いです。そこらへんをうまく小説に活かせればいいのですが、なかなか難しかったりしますが。

  • 歴史大好きの私にとっては、とても
    興味惹かれる小説です。
    しかも中央アジアの多民族が群雄割拠する中世
    世界は謎に満ちた魅惑のテーマですね。
    フォローさせて頂きます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     内容がお気に召しましたら、読み進めていただけたら、と想います。

  •  拙作に、素晴らしいレビューを頂いてありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます!
     旅の距離や旅費のことまで触れて頂いて、細かいところまで読んで頂けているのだなあ、と感激しました。今後ともよろしくお願いいたします。ひとしずくの鯨さんの作品も引き続き拝読させて頂きます!

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     レビューの件、気に入っていただけたようで何よりです。

     そして、私の方こそ、素晴らしいレビューをいただき、とても嬉しいです。身にあまる誉め言葉をいただき、恐縮しております。

     また、私の方も、引き続き、おあしす様の作品を読ませていただきます。

  •  おおーっ、モンゴルが舞台ですか>▽<
     どのような物語が繰り広げられるのか楽しみです!

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     こちらの方まで、お読みいただき嬉しいです。もし、お好みに合うようならば、読み進んでいただけたら、と想います。


  • 編集済

    現代の市街戦もそうですが、歩兵同士の近接戦闘は凄惨な戦いになりますね。見えない敵から攻撃はとっても怖いと思います。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     特にムスリムの町の造りは、迷路のごとくとなっていますので、そうなりますね。

  • コーエーの「チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿」というシミュレーションゲームをやってた時期があるのですが、西洋史好きのためチンギス・ハンを選択せずに、リチャード1世でプレイしてました。いつも早々にホラズムが滅亡してましたので、まさかホラズムを攻めるまでにここまでのドラマがあるとは思ってませんでした。
    スゴい情報量ですね! またそれを物語に出来るところが素晴らしいです!

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     褒めていただき、嬉しいです。
     私は、「三國志」で遊んでいました。

     この開戦ですが、実はあまり理由がよく分からず、様々に論じられています。両国とも、この時点ではあえて戦争をする理由がない。ただ、この勃興間近の早い時点で、大きく西方、しかも今のイランの地まで及んだのは、後の大帝国の成立につながったのかな、とは想います。突厥、そしてそれを引き継いだ唐が及んだのは、サマルカンドやガズナあたりまでですので。これでも、領域としては、かなり広大ですが。ちなみに、玄奘さんは、この突厥支配下の地を通って、インドまで旅してます。

     引き続きお読みいただけたら、と想います。
     

  • テルケンの弟、フマルさんが新スルターンになり、さらには和平を申し出てきたことにも驚きましたが、
    その後の二人の会話がとても緊張感があり引き込まれました。ああ、ジョチが強く望む和平は難しいのか、そしてこの先は戦いになるのかと…
    そして兄弟の不仲や一つのきっかけで都市の運命が変わってしまうのかと思うと、なんだかやるせない気持ちになりますね…。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ジョチは4兄弟の中で、早くから西方遠征を託されていました。なので、自らの支配地の中心たる都として、ウルゲンチを考えていても不思議ではないです。地理的にみれば、ウルゲンチはクビライが都とした大都(現在の北京、金朝の中都、遼朝の南京)に近いです。農耕地ではあるものの、遊牧地は近く、また交通の要衝にあり、前政権の首都でもある。

     実際には、キプチャク汗国(ジョチ・ウルス)の首都は、ヴォルガ川流域のサライでした。これは、(ジョチの次子)バトゥの西征を経ることにより、その支配地がより西方に拡大したゆえでしょうね。ほぼ支配地の真ん中に当たります。

     対して、その南に展開することになったイル・カン国(トゥルイの4南フレグの建国)の首都は、タブリーズやマラーゲとその支配地から見ると、北西に偏っています。これは、キプチャク汗国の侵攻を警戒したゆえと言われています。往時、最大の軍隊は、その国の支配者のおひざ元におりますので。現代と異なり、国境地帯に大部隊を置くというのは、反乱や寝返りの恐れがあり、なかなか難しかったりします。

  • 第4話 兄弟ゲンカ 1への応援コメント

    なるほど、チャアダイがジョチを毛嫌いするのには理由があったのですね。
    ジョチは自分の子だ、と断言し他の息子と同じように接するチンギスの姿勢は寛大で、奥さんや子供に対する思いやりを感じられ、素晴らしいなと感じました。
    チャアダイもボルテは実の母親なのだし、父親を見習って…と言いたいところなのですが^^;

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ここのチンギスの決断は、ボルテを慮ってでしょうね。また、メルキトに奪われたのも、己の力不足という認識がチンギスにあったのではないでしょうか。 そして、このジョチの系譜は、後のジョチ・ウルス(キプチャク・カン国)として、ユーラシア草原の西にて勢威を誇りますので、この決断の後世への影響は大きいですね。いわゆる『タタールのくびき』とは、ロシア人から見た、このジョチ・ウルスの支配を称したものです。
     
     オゴデイは寛容であり、チャアダイは非寛容であったと、特にイスラーム史料は伝えますね。中央アジアの1部は、後にこのチャアダイ(いわゆるチャガタイ・カン国)の支配下に入りますので。

  • ああ。やはり一気読みしにきたいです。カクコンが落ち着いたらまたじっくり拝読しにきます。



    お詫びに伺いました。
    拙作が九話から十三話までが2023年1月19日から新規にする状態になってしまっていまいました。
    たくさんの応援のコメントでずっと勇気づけてもらっていました、たくさんの♡の足跡をいただいていたのに。
    すぐ応援コメントの復旧をお願いしたのですがそれはできなくて、自分が情けないです。
    現在新規にせざるを得なかったページで真っ白から公開をやり直しています。

    ひとしずくの鯨さまにもいただいていました。
    大事な宝物のコメントをかいてくださる大切な時間をも失ってしまいまったことを
    どうお詫びすればいいのか。情けなくて申し訳なくて今になってしまいました。
    ※近況ノートでカクヨムすべての方にこれを公開するかも、悩んでいるところです。

    いただいたあたたかさ、勇気をもらえるた楽しさ、大事にします。
    失ってしまってごめんなさい。

    どうかまた拝読に伺わせてください。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    お時間ある時に、読んでくだされば、と想います。ゆうつむぎ様には、既に素敵なレビューをいただいてますし。

    コメントの方も、余り気にされることでもないかと。私もそんなに長くカクヨムさんにいる訳ではありませんが、自主的な退会や運営さんからバンされたり、あるいは、書かれた本人が公募に出すなどで非公開とするなどで、結構な頻度でレビューやコメントが消えるのには、遭遇しますので。

  • 拝読致しました。
    冒頭と最後を締める長男ジョチと、クナン翁。
    彼らが向かうのはヴォルガ川――ロシアでしょうか?
    ユーラシアを東から西に渡り、ジョチは更にその先を征く。
    最後の一文を読んで、寒々とした広大な草原を吹き抜ける草くさい風を感じるかのようです。
    物語は、行軍の様子を連続的に描き出すのではなく、要所要所を活写するような、点と点、情景と情景をつなぐような形で綴られていて、それでいて繋がりを感じさせる、なんとも味わいのある構成を感じました。
    最後の、オゴデイ、チャアダイ、そしてジョチと続く、兄弟のそれぞれを描いて終わる雰囲気も、それぞれらしい(と感じられる)終わり方であったと思います。

    連綿と続く長編、お疲れ様&完結おめでとうございます。
    また、素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    今回も作者の意図を汲み取っていただき、感謝しております。

    番外編は少し本編と異なるものにしたいとの想いが強く、特に『死地のその先』は、連作ショートショートにチャレンジしてみました。味わっていただけましたなら、何よりです。

    このときヴォルガ川上流におるブルガールは、遊牧勢です。ここから別れて東に行った人達が、今のブルガリア人の祖先だったりします。
    そう、ブルガリアヨーグルトは伊達じゃない、まあ、これは冗談としても。

    ルーシ(ロシア)勢はまだヴォルガには至ってないですね。その一つ、キエフ・ルーシ(今のウクライナの祖になるのかな?)とキプチャク連合を、ジェべとスブエテイの隊が長駆して討つのですが、通説では、この2将がその帰途にブルガールも討つとされています。ただ、それだと随分、北に迂回することになる。ブルガール征討を伝えるイブンアシールは、モンゴル側の将を明記していません。ジョチの隊がそれをなしたと考えるのが自然じゃないのということで、本話の如くとなりました。

    こののち、ヴォルガ川領域には、首都サライがその沿岸に建設されるなど、ジョチ・ウルス(キプチャク汗国)にとって重要な地となります。単に地の利からそうなったとも考えられますが、その祖たるジョチが征討したとの縁あってというのもありえるのかな、とも想います。

    こちらこそ、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。まさに感謝であります。



  • 完結、お疲れさまでした。
    そして、ひいい(笑)、ついにブルガールに^^;
    蒼き狼の子孫たちの覇道が、世界帝国への道が……。
    孟珙やバイバルスがいないと止められないくらいの勢いで^^;

    あ、個人的にはチャガンを出してくれてうれしかったです。
    チャガンを出した作者って、私ぐらいしかいなかったし(笑)

    それでは、改めまして、この悠久にして激越たる物語、面白かったです。
    お疲れさまでした!

     ではではノシ

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    褒めていただき嬉しいです。チャガンについていえば、番外編は本編より、キャラを立てたいとの想いがあり、アルプの方を鬼の如くとしたのもあって、美少年キャラとなりました。

    イエスンゲとともに、モンゴル側の将として、番外編のクライマックスを支えてくれました。

    最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

    編集済
  • 拝読致しました。
    これからチャアダイに降りかかる言葉。
    なんとなく想像はできますが……
    御曹司、チャアダイの、身を弁えぬ行動の結果。
    チンギスの我が子を想う心が沁みてきますね。
    ところでジョチさんはどちらへ行かれたのでしたっけ?
    記載を見逃しておりましたらすみませんが、気になりまして。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     次話が最終話で、そこにジョチが出て来ます。本作、ジョチで始まりましたので、やはり、終わりも、という訳です。お楽しみに。

  • 拝読致しました。
    まさかの!?ジョチさん死亡して後継者レース脱落??
    何があった、ジョチさん?
    そして選ばれるオゴデイさん。
    確かに、玄孫の代になってなお改竄を疑われる資料は不審ですね。つまりその世代にまで確執が残ったということか。
    チャアダイがオゴデイを素直に推すのも違和感ありますし……
    ミステリーですね(?_?)

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     オゴデイの2代皇帝即位は、少しばかり先のことですね。ジョチが早死にというより、チンギスが長生きということかもしれません。オゴデイは4兄弟の中で1番長生きなのですが、それでも即位後10年ほどで亡くなります。

     チンギスの死去の場面、短編ぐらいでまとめられればいいかなとも想いますが、面白いものができるかどうか? 一応、トルン・チェルビは、その際、近侍しており、征西での話はその前振りになるかな、というところもなくはないのですが。

     とりあえず、今話は、モンゴル史――つまり第2代皇帝選出において、ウルゲンチ戦が果たした役割を理解してもらえればいいかな、という感じです。モンゴルといえば軍事という感じですが、こうした政争の部分も少なからずあり、ただ、どうにも、ここら辺が外から見る限り、分かりにくいなとの印象が強かったりします。

    編集済
  • 拝読致しました。
    あたら戦場に散る命もあれば、拾われる命もある。
    こと戦場の出来事なので良かったとも言いづらいですが、それでも命を繋げたのは良かったですね。
    クドク⇒功徳、なんですかね。仏教がシルクロードを渡る際に定着したのかな、とか考えてしまいます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     個人的に、このモンゴルの法には着目しており、本話でクローズアップしました。子供というのは最も弱い立場であり、戦乱が吹き荒れた場合は、更に厳しくなります。そのような者たちを守る法が存在したというのは、人間社会の知恵というものを想わせます。他方で戦争をするのも人間な訳ですので、これを以て、人を慈悲深き存在とはできないのですが。

  • 拝読致しました。
    クトルグ・カンも、護るべきものに殉じたわけですね。
    ひとしずくの鯨様の文章は、他の物語よりも、こういった場面で余韻を感じます。(^^)
    今年も素晴らしい作品をありがとうございました!来年も期待しています。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     私も余韻にひたるのが好きなので、そう言ってもらえると、とても嬉しいです。
     私の方こそ、たけざぶろう様の作品を堪能させていただきました。来年はウサギ年ですね。良いお年をお迎えください。

  • 拝読致しました。
    黒トクとオグルの因縁、ようやく叶いましたか。
    いや、今回の結末は、絶対にイェスンゲが納得していないから、逆に追われる立場になるのか?
    ただ、あくまで勝負にこだわるイェスンゲと、生き残るに価値を見出だせたオグルでは、既に見ている世界が違うようですが。
    曙光で指を暖めたり、負けず嫌いのイェスンゲが泣き喚いたり、いつもながら細かい描写が良かったです。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ついに最新話に追いつかれましたね。そして、褒めていただき嬉しいです。
     オグル、シャイフ、黒トクの3人が出るのは、これが最後となります。後は3人の王子の顛末を書いて終わりなので、もうちょびっとで完です。

     この場面は難産でした。最初は何となくトガンと黒トクを戦わそうと想っていたのですが、どう転がしても、トガンが死んでしまう。オトラル戦から10年後とかだと、トガンが勝つという展開にしても、読者も納得してくれるかもしれないけれど、そんな短時間には人は成長できない。それで、トガンをまず逃がしてということになりました。トガンは若く、またオトラルの他の2将、ソクメズとブーザールは死んでいるので、殺したくなかったのです。

     それで、実は、最初オグルはここで死ぬ展開だったんですけど、本話の如くに落ち着きました。一応、この3人は史料上は生き残っているんで、史料とも合致して良かった良かったという感じです。

     追記 あと、クトルグさんとトルンさんの話もありました。いけませんね。作者が忘れてしまっては。

    編集済

  • 編集済

    拝読致しました。
    追い詰められているホラズム、そしてジャラール・ウッディーン。
    それでも折れない心。反抗心、というか敵対心は、平時は厄介でもて余しますが、こういう時に心を支えてくれる、扱いに困ってしまう心の動きですね。
    その骨ばった腕と、折れない心のギャップが、その強き心を感じさせます。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     そうした心こそ、歴史においては大きな働きをするのかなとも想います。いつも、丁寧に読み取っていただいて嬉しいです。

     実は、ここのところは少し引きの場面を作りたく――そうでないと、ちょっと強い場面が続くので――オグルやシャイフのエピソードを当てるもありだったんですが、思いつかず。そこで、皆さん、ジャラールがどうなったか気になっているんじゃないかとも想い、ここの数話に当てたのでした。

     また少し史料上の話をすると、これ以降、ティムール・マリクがジャラールの下で活躍したことを伝えるものは皆無であり、本話で述べた如くアミーンが筆頭の臣となります。そこら辺を2人のやり取りでほのめかす感じにしたりしています。ただ、史料のことはほとんどの人は知らないだろうから、作者の1人遊びに近いですが。


  • 編集済

    拝読致しました。
    前話からの不穏なチャアダイの行動、やはりこうなりましたか。
    過ちを認めたくないという思いが、乱心とさえ呼べる行動を呼ぶ。
    チャアダイの的はずれな行動が、いっそ悲しさすらも感じられますね。特に、犠牲になった三千の兵を思えばこそ。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     ホラズム側の罠による3千の犠牲は史料の伝えるところです。これを、チャアダイの罪科としたのは、私の創作ですが、当たらずも遠からずかなとも想います。戦場にては、指揮官のミスが多大な犠牲につながるというのは、実際、よくあることとも想いますので。

    編集済
  • 第34話 死地9への応援コメント

    拝読致しました。
    兵は死ぬもの。でも、それは納得できるもの、とは言えず、己の胸のうちに苦しむ下士官の様が浮き彫りにされていますね。
    一段高いところからあれこれと己の思惑に囚われる高級士官との温度差を感じさせられます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     丁寧に読み取っていただいて嬉しいです。軍隊というのはこうした矛盾があらわになるところ――チンギスの軍も例外ではないだろう――と想います。今回、トルンに託して描いてみました。

  • 第28話 死地3への応援コメント

    拝読致しました。
    「これまでも水に浸して重量を増し威力を増した桑の幹を弾として用いておったモンゴル軍であるが」
    こういう、何気ない工夫というか、臨場感のある細工の様子がいいですね。
    なるほど、水を浸して重量を増し、攻撃力を上げるのか!と感心しきりです。

    にしてもチャアダイさん……三国志の張飛とかもこんな感じだったのかなぁ……

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     『水に浸す』というのは、史料が伝えるところです。西域では、石の無い地もあるのですね!

     張飛さん。どうなんでしょう。まあ、武勇の人という点で、張飛に軍配が上がるのではないかと想います。

  • 第27話 死地2への応援コメント

    拝読致しました。
    見通しが甘く、忍耐力に欠けるチャアダイさんは、上に戴いてはおけない大将だよなぁ、とつくづく思ってしまいます。(^_^;)
    兄弟それぞれ異なる特徴がありますが、それがどのように活きてくるのか、展開が楽しみです。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     チンギスといえど、正妻の子ということで、チャアダイを外すことはできなかったようですね。ここら辺は、チンギスの軍事組織もそこまで革新的ではなかったのでは、とは想います。親族を重用しなかったと言われはしますが、そもそも、その親族のタイチウトに命を狙われているのですからね。
     引き続きお楽しみいただければ、何よりです。


  • 編集済

    使者がこれから派遣されるわけですけど、遊牧民や北の民にとって、外交ってなんなんでしょうね、人はなぜ戦争をし、何がきっかけで元に戻るのでしょう?

    使者の運命が気になります。続きを追います。

    追記:不躾な質問に丁寧なご返答、ありがとうございます。楽しみに読ませていただきます。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     遊牧勢の君主にとって重要なのは、軍事と交易ですね。戦争というのは、勝てば良いですが、負けると痛いですし、勝ち負けにかかわらず戦死者というのは出る訳です。なので、交易や和睦というのは、常に考慮に入れるべき選択肢であったでしょう。

     それで、例えば、同じ遊牧勢でもキタイ(遼)とモンゴルではだいぶ違います。

     宋国を例に出されているのでご存じでしょうが、キタイは、軍事的には明らかに優位な状況でしたが、宋と澶淵の盟を結びます。これは完全に対等な盟約ですが、他方で大量の絹と銀を宋からキタイに毎年贈っています。この時、キタイは実を取り、宋は名を取ったといえます。いわゆる燕・雲16州を持っているので、これ以上の農耕地というのは、キタイには必要なかったのでしょう。臣民の命を犠牲にしてまで、馬も育たぬ地は要らぬという訳です。

     ただ、モンゴル(元)はこれでは満足せず、南宋を滅ぼします。これは、モンゴル内での君主の声望というのが、軍事指揮官としての功績に大きく依存したため、と私は考えます。他方でチンギスは、一時期、積極的に女性王族の政略結婚を軸にした外交を展開しています。オングト、オイラト、ウイグル、カルルクなどはそうやって傘下に引き入れました。なので、モンゴルでさえ、まさに時と場合によりけりとなりますね。

     また、常に遊牧勢が攻め込む方にいる訳でもなく、唐が強勢な時や明代の前半には、中原の王朝が北へ攻め込むこともありました。

     引き続きお楽しみいただければ、と想います。

  • 拝読致しました。
    水責め……モンゴルにとって水は鬼門ですね。
    上同士の反目で攻め手を制限されるモンゴル軍。ストレスがかかっているのはトルンさんだけではないでしょうね。
    騎馬民族たるモンゴルですが、苦しい戦いが続きそうです。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    そうですね。常勝モンゴル軍も、さすがに危ういかもしれまえん。いかがなりますやら。お楽しみに?


  • 編集済

    拝読致しました。
    事態はまさに、船頭多くしてなんとやら。この不協和音の様を見ていると、いかな最強の騎馬軍団であれ、先行きが不安になりますね。
    兵の損耗を憂いる自説に固執するあまりに全体の流れを無視するジョチ、そのジョチへの反目と自分への期待で攻めの快楽に身を任せるチァアダイ、身の回りの和を優先して俯瞰的な視点を欠くオゴデイ。
    なんか縮図ですね。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     番外編は仇から離れたく想い、テーマの1つに王子間の争いというのを置いています。ウルゲンチ戦の主導権争いに留まらず、皇位継承の争いでもあります。そして、後世の内訌の歴史をほのめかすような書き方ができればな、と想ったりしています。
     また、書いている方としては、この3人は各々キャラが立っていて、楽しかったりします。この後をお楽しみに!


  • 編集済

    拝読致しました。
    和平を逆手に取る、エグいことを考えているクトルグ・カン。
    実直そうなオグルとはなかなかに対照的ですね。
    これにバランス感覚に優れていそうなシャイフが加わり、どのような攻防戦が展開されるのか、楽しみです(^-^)
    しかし、クトルグ・カン。
    モンゴル相手に危険なことを考える。この戦争の発端は、約定破りではなかったのか……

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     クトルグ・カンですが、劣勢の中であえて主戦派の旗頭となるとなれば、こんな感じかな、という人物造形です。
     オグルとシャイフは主義は異なるも、友誼の間柄にあるというものです。
     この先をお楽しみに。

  • おおっ番外編の方もついに最終章に入ってますね!
    あと少しかぁと思いながらも応援しつつ、番外編も引き続き読ませていただきます。

    それはそうと、ニーシャープールのスルターンの行動はちょっとなぁ…と思ってましたが、やはりアルプ・エル・カンにとっても相当ショックな出来事でしたか。
    彼が今後ウルゲンチで活躍するのか、気になります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。
     
     マムルーク(奴隷軍人)にとって、その仕える相手は、忠誠を誓うべき主(あるじ)でもあり、また育ててくれ抜擢してくれた恩人でもありますからね。
     マムルークとなるのは必ずしもトルコ系遊牧民とは限りませんが、彼らが好まれたようです。それは、単に幼い頃から馬に乗っているので騎射に優れるというだけでなく、彼らの忠誠の篤さゆえと考えられます。
     恐らく彼らにとって、主人とマムルークという関係は、義父義子関係として受け取られたのではないかと。例えば、チンギスとシギ・クトクやチャガンと近い関係なのではないかと。人材を集める手段が金銭に頼るというのが、西域の特徴ではありますが、人間関係としては同じなのではないかと。
     そう考え、本話の如くの慨嘆をアルプさんに吐露してもらいました。

     引き続きお楽しみいただければと想います。

  • さすが「第五子」、お見事!
    なお実子の方たちは……^^;

    面白かったです。

    ではではノシ

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     チャガンさんを主人公にして書いておられる四谷軒様に気に入られたとなれば。本作の美少年チャガンもまさに無双、と意を強くしました。

  • 第5話 兄弟ゲンカ 2への応援コメント

    拝読致しました。
    兄弟ゲンカと言えば苦笑程度に思えますが、この方達の社会的立場とか影響力を考えると(^_^;)
    でも母親の黒歴史を思い出させるのは大人げないですね、チャアダイさん。
    このわだかまりが戦況に影響しないことを祈ります。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     実は、番外編は、仇から離れ、この兄弟間の桎梏が1つのテーマだったりします。どうなりますことやら。お楽しみに。

     また、素晴らしいレビューをありがとうございました。とても、嬉しいです。いつも、丁寧に読んでくださり、コメントまでいただいています。コメントの方は、今後の創作に活かして行くつもりです。やっぱり、書いている方は、うまく内容が伝わっているのか、不安に想うところもありますので。ありがとうございました。

  • チャガンさん、なんか可哀想(笑)
    真面目に戦おうとしているのに、兄弟喧嘩に巻き込まれそうだし^^;

    面白かったです。

    ではではノシ

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     チャガンさん。どうなるんでしょう。ネタバレになってしまいますので、この後をお楽しみに!としか言えないのが、残念です。

  • 拝読致しました。
    ブジルさん、本懐を遂げることができませんでしたが、代わりに人として大切なものを護ることができたよう思います。
    アリー君も娘さんがいて虚無から立ち直ることを得ていて、本作において何を大切とするのか、表しているように感じました。
    全体を通して、英雄豪傑のみならず、木っ端兵士や市民にまで視野を広げ、様々な人の想いを掬い上げていたことが本作の最大の特徴の気がします。
    利に迷い己を失う商人、信を裏切り神を都合良く解釈して滅び行くスルターン。
    壮大なスケールでユーラシアを覗き見ることができたよう感じます。
    大作、ありがとうございました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     そこまで読み取っていただけましたなら、書き手としては、感無量です。また、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。まさに阿呆の如く長い小説となってしまいましたので。

     あえて付言するなら、無名キャラのブジルさんに最後を締めてもらったのは、その方が「仇」というテーマが際立つかなと考えたゆえです。歴史ものというのは、『歴史実録もの(実)』と『作者による創作(虚説)』を交えて描くのですが、ここは大きく虚に寄せて、小説としての終わりを描いたという形になります。

  • こちらこそ、これ程の歴史物の超大作を読めるなんて幸せでした…ありがとうございました!そしてお疲れ様でした!

    「スルターン」で終わるラストに、ああ、ここで完結なんだと…思わず胸が詰まりました。

    とても面白く、また歴史好きとして興味深く拝読させていただきました。
    ウルゲンチ戦の方も楽しみに読ませていただきます!

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。 

     最後の「スルターン」の響きの余韻を感じ取っていただいて嬉しいです。「スルターン・ジャラール」にするか迷いましたが、やはり、タイトルと絡めて、ここは「スルターン」で終わらせるべきと考え、こうなりました。

     また、素晴らしいレビューをいただき、ありがとうございました。作品の理解者とは、望んで得られるものではなく、そうした方との出会いは、書き手にとって最も幸せなことです。レビューを読んだとき、本作を書いて良かったな、報われたなと、大げさではなく、そう想いました。

  • 拝読致しました。
    このような形でスルターンは退場されてしまうのですね。
    死を前にして、母后や后達が捕らえられたことを自分の責任とせずに「我は既に大きな犠牲を払っておる」と考えるこの人は退場して正解だと思いますが、いかな恐怖の為とは言え、死に至る直前の体調でも冬の最中に灯火を用いないようにしたその精神力は、ある意味凄まじいものがありますね。
    前話から今話にかけての死にゆくスルターンとその後について、今わの際の懊悩と、没後のざわめきが聞こえるようで、臨場感があり良かったです。

    作者からの返信

    コメントありがとうございました。

     繊細に感じ取っていただき、また、お褒めいただき嬉しいです。本編完結まで、残りわずかです。引き続きお楽しみいただければと想います。

  • 拝読致しました。
    逃避に徹するスルターン、モンゴル軍と鬼ごっこを始めてはや1年。
    ずっと逃げ続けるのも相当に消耗するだろうに、ブレないスルターンの精神力はある意味凄い。
    しかし、島になんか逃げたら、逃げ道が……と言う心配はないのでしょうか。
    勧めたと言う現地の有力者は信じられるのか。
    この先の展開が気になります。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     かの地でも、最善の策はテルケンがそうしたようにやはり山城です。イスマイル派が籠もった山城の中には、モンゴル軍が陥落できなかったものもあります。ただ、テルケンの陥落に見られる通り、モンゴル軍はあまり山岳は苦にしなかったようです。確かに、モンゴルは大部分は草原ですが、東に大興安嶺、西にアルタイ、中央にハンガイと大きな山脈があり、こうした地で戦をしたり狩りをしたりという経験があったものと想います。特に大興安嶺の東の女真族の地(金国勃興の地)は山岳が多く、これを征討するにおいて、山岳戦を多く経験したものと想われます。

     なので、島に逃げたのは、追い詰められた状況での、次善の策ということでしょうね。カスピ海は湖といっても、内海といって良い大きさなので、日本でいえば、瀬戸内海の小島に逃げたという感覚かと。

     ただ、モンゴル軍は本当に水が苦手で、例えば高麗は江華島に遷都して、頑強に抵抗し、ために、モンゴル軍はこれの陥落に難渋します。

     といっても、江華島は水上要塞といってよい代物だったようで、スルターンとは違うと言えば違う。ただ、他の選択肢――西は敵のカリフの地なので逃げられない。後は、北西のカフカスの方に陸を逃げるか、ウルゲンチにて戦うか――より、生きられる見込みが高いと考えたのでしょうね。

  • ブジルvsティムール、手に汗握る激闘ですが、ここでもまだ決着はつかず。
    戦闘中に視界を奪われたらビビりますよね。
    目が回復したのは良かったです。
    しかし、再びチャンスは巡り来るのか。ハラハラします。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    仇をテーマとする本編は、無名キャラのブジルさんで締めることになります。うまく書けたのかな? お楽しみに!

  • 僕は歴史としては、あまり知らなかったのですが、壮大すぎる世界観や一つ一つの名前など遊牧民の価値観に触れられてとても新鮮で面白かったです(^^)

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     そう言っていただけて、とても嬉しいです。そして、この長すぎる小説をここまで読んでいただいたことには、感謝しかありません。ありがとうございました。

  • 拝読致しました。
    戦場の中、人であろうとするからこそ自らの命を危険に晒すという矛盾。戦場の無情というか、人でなしの世界というか。
    ていうか、戦場に子供連れてくんな、て感じではありますが。仕方がなかったのかなぁ。
    俄然、ブジルさんには頑張ってもらいたくなりました!

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     ここは、居城からの逃走なので、妻子を連れているのは致し方なしですね。陸はモンゴル軍に抑えられてますし、川の上(船の中)が1番安全となります。

     スルターンも途中まで妻子を連れて逃げてますし、ジャラールもインダスでの決戦に、妻子を連れています。日本の戦国武将もそうですが、歴史時代は、手元に置いておくのが1番安全と考えたのでしょうね。妻子をどうやって守るかというのは、往時、最も難しい問題の1つであったのかもしれません。本作では、あまりそこに焦点を当てませんでしたが。

     ブジルさん。この後も活躍します。ご期待ください。

  • 拝読致しました。
    女帝が敗北を受け入れた瞬間。
    長い間の籠城に心を折られたと言うより冷徹に事実を見極めて、頼りにならぬ親族、特に息子を諦め、城を開ける瞬間。
    残念と確定した運命を静かに受け入れている様子が感じられるようで、とても良かったです。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     お褒めいただき、嬉しいです。

     まさに、この歴史時代、トルコ・モンゴル系はユーラシアを席巻します。もっぱら、その理由として、騎馬軍の強さが強調されるのですが、私としては、トルコ・モンゴル系での女性の政治権力の強さというのも、考慮に入れるべきと考えます。テルケンを描く際、そんなことを考えていました。

  • あのずる賢くしぶとかったスルターンがこんな形で退場してしまうとは。
    もしや神に見離されたのか…と本人が思ってしまうのも頷けるような感じがします。

    憎き敵ながら、スルターンがいなくなってしまったのはどこか寂しい感じがしますね…。物語の終わりが近いからでしょうか。
    本編は残り少しになってしまいましたが、どのような結末になるのか、最後まで見届けたいと思います。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

     確かに、私自身も、スルターンの人生って、本人にとって、どんなんだったんだろうと想ってしまいますね。自業自得の観が強いですが。ただ、騎馬で至れぬカスピ海の島に逃げたということは、まだ、あきらめてはいなかったのだと想います。

     他方で、スルターンが落ち武者狩りや裏切りに会っていないということは、ホラズム敗勢の噂が広まる前に、この追いかけっこがなされているともいえ、モンゴル軍の追討の激しさを印象づけますね。

  • 拝読致しました。
    スルターン、めっちゃ逃げ腰ですね((( ;゚Д゚)))
    なのに他人の策略への嗅覚は極上とか、臆病で繊細で頭の巡る保身主義者、あまり上司にはしたくないタイプに思えます(>.<)
    さて、このスルターンの部下達の運命やいかに……

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    このスルターン。それほどキャラ作りした訳ではありませんが。かなり際立つお人になっています。