概要
1217年の春メルキト勢を滅ぼしシルダリヤ川の北の地を引き上げるジョチ部隊(チンギス・カンの長子)とホラズムのスルターン軍が遭遇する場面から、この物語は始まります。
戦記好きの方は第3部から読まれてもと想いますし、(アホウのように長いので)合わないところは読み飛ばしてもらっても構いません。お好みの読み方で楽しんでいただければ嬉しいです。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歴史上稀有な大帝国vs大帝国の決戦を見事に活写!!
世界史に於けるモンゴル帝国の版図拡大は、イスカンデルの東征と並ぶエポックです。しかし、有名でありながらも、モンゴル帝国隆盛の過程には「空白」があるように思えてなりません。
本邦が巻き込まれた元寇や欧州への進出は、様々な書物、或いはエンタメ作品で解き明かされ、知識として流入することが多い。その一方、モンゴル帝国の覇権を決定付けたであろうイスラム世界との戦いは、論じられる機会が少ない。
その「空白」を本作は、軽妙な筆致で、登場人物の心象を描きつつ、埋めてくれます。騎馬軍団は圧倒的な力を以て、蹂躙したのではなかった。双方が共に、悩み、戸惑い、戦術に腐心し、真正面から堂々と戦い抜いた。
よもや…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ホラズム帝国の落日を鮮やかに切り取る
モンゴル帝国を築き上げたチンギス・カン。
その栄光の礎には、他方で数多の敗れ去った者達が横たわっていることでしょう。
本作は、モンゴル側に焦点をあてるばかりでなく、その覇権への道に存在した濃厚ないち場面、ホラズム帝国滅亡の過程が描かれています。
攻め滅ぼされる側の人々の戦略や矜持、また個人としての想いと姿勢が丹念に描かれ、波打つような感動があります。
随所に見られる戦闘描写や、著者の膨大な知識から紡ぎ出される詳細な状況描写は、読む者の眼前に迫るリアリティをもって展開されます。
しかしまた、それのみにはとどまらず、物語の羽は虚実織り交ぜられ、各登場人物へのシンパシーと追体験を与えてくれる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ライトノベルの域を超える歴史小説!
あらすじ・・モンゴル帝国の創始者チンギス・カンの長男、ジョチと彼に仕えたクナンの物語から始まり、チンギス・カンがライバル国のホラズム侵攻に踏み切るまでが描かれています。(第3部33話まで読んだ感想になります)
おすすめポイント①・・・この時代の資料は少ないと思うのですが(個人的な感想です)著者がまるでその時代に生きていたかのように詳細に描かれています。私自身も歴史小説を書いているのですが、いったいどうやったらこんな作品が書けるのかと、驚嘆しました!
おすすめポイント②・・・表の歴史と裏にあった都市の物語が秀逸。モンゴル帝国にある程度詳しい方ならホラズムとモンゴル帝国との戦争の経緯をある程…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ちょっと真似できない作品、圧倒される
ホラズムという国と、モンゴルの国の物語なのだと思います。
細かいエピソードが絡みあい、情景を描いては消えていきます。
まだ途中までしか読んでいませんが、傍注や人物名の発音などから、作者の深い知識を感じます。
ホラズムはイスラムの国、モンゴルはおそらくイスラムと仏教?の国だと思うのですが、筆者の方はイスラムの細かい知識にも詳しく、相当の知識をもっておられると思います。
これら全体を俯瞰するのには、相当な力(特に語学力)がないとできないと思うのですが、やすやすと描かれているので、凄いなと思っています。
ゲセル・ハンの物語を聞いたことがあるのですが、モンゴルの吟遊詩のように、アラビアン・ナイ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ユーラシア東西の騎馬民族が激突する。史上名高い西方大遠征の物語
礼を虐殺で応じられたモンゴルの騎馬民族の長チンギス・ハンは、遥けきシルクロードを辿り十万を超える軍勢を中央アジアに向けた。史上名高い西方大遠征を綴る物語。
本作は戦記物としての魅力だけでなく、軍人以外の庶民視点を混ぜて戦争を立体的に見せることにあると感じました。
民族の長から木っ端兵士、あるいは商人。様々な立場から、その想いを現しつつ、戦況を浮き彫りにします。
もちろん戦記物ですので、緊張感ある戦闘シーンも随所に描かれます。
駆ける軍馬、交わる干戈、飛び交う弓矢、緊迫の攻城戦、水上の装甲船。
そんな中で現れる様々な感情。
怒気、臆病、悔恨、思慕、嫉妬、栄利、悲哀、勝利、敗北、そして復讐。
様…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歴史は最高に面白い人間ドラマだ!と実感できる作品
教科書ではたった一行で説明されてしまう歴史上の出来事。
しかしそこに至るまでの経緯には、様々な人間模様だったり、
沢山の感情揺さぶられるドラマがある…ということが、この作品を読むことによってありありと感じさせられます。
チンギス・カンのような偉大な人物も私たちと同じ人間で、
同じように悩み、考えては決断を下していたこと…
そしてこの作品には、その当時を生きている民衆の視点もあり、
彼らが歴史の動乱の渦に飲み込まれる様子をみると、
私たちが生きている今この時も、後の時代には歴史になるんだ…と気付かされる思いです。
歴史好きな方はもちろん、歴史って暗記物のイメージ…みたいに思っている方にこそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!有名な英雄であるが分かっていない史上を知る面白さがこの物語には有ります
チンギス・カンとスルターンとスルターンを中心に、主人公(視点)が変わるエピソード形式の群集劇です。
本作品は作者様が多くの著書を読み解きながら歴史に忠実に書かれています。
チンギス・カンとスターンという人物が客観的にいろいろな視点から描かれており、しらない事実・史上を知る事ができるのが本作の面白いところと思います。
スルターンはチンギス・カーンと対峙する勢力として描かれております。
ちなみに私は本作を読むまではスターンについて知りませんでした。
スルターンとはイスラム世界における君主号のひとつなので、名前にスルターンが入った君主は数多くいたようです。
本作品は歴史物が好きな読者様にお勧…続きを読む