あらすじ・・モンゴル帝国の創始者チンギス・カンの長男、ジョチと彼に仕えたクナンの物語から始まり、チンギス・カンがライバル国のホラズム侵攻に踏み切るまでが描かれています。(第3部33話まで読んだ感想になります)
おすすめポイント①・・・この時代の資料は少ないと思うのですが(個人的な感想です)著者がまるでその時代に生きていたかのように詳細に描かれています。私自身も歴史小説を書いているのですが、いったいどうやったらこんな作品が書けるのかと、驚嘆しました!
おすすめポイント②・・・表の歴史と裏にあった都市の物語が秀逸。モンゴル帝国にある程度詳しい方ならホラズムとモンゴル帝国との戦争の経緯をある程度ご存じかもしれません。ただ、この作品で描かれているブーハラー(ブハラ)でどんな攻防があったのか、長老たちが何を考えどのように死んでいったのかはご存じないのではないでしょうか。この作品ではこちらも少し悲しい物語として描かれています(私の私感です)
著者がライトノベルとして執筆されたのかどうかはわかりませんが、その域を大きく超えた歴史超大作としてぜひご一読をお勧めします!
ホラズムという国と、モンゴルの国の物語なのだと思います。
細かいエピソードが絡みあい、情景を描いては消えていきます。
まだ途中までしか読んでいませんが、傍注や人物名の発音などから、作者の深い知識を感じます。
ホラズムはイスラムの国、モンゴルはおそらくイスラムと仏教?の国だと思うのですが、筆者の方はイスラムの細かい知識にも詳しく、相当の知識をもっておられると思います。
これら全体を俯瞰するのには、相当な力(特に語学力)がないとできないと思うのですが、やすやすと描かれているので、凄いなと思っています。
ゲセル・ハンの物語を聞いたことがあるのですが、モンゴルの吟遊詩のように、アラビアン・ナイトのように、興味深いエピソードの連続を聞いているように感じました。
作者の力量に唸るだけです、なかなか書けない物語だと思います。
礼を虐殺で応じられたモンゴルの騎馬民族の長チンギス・ハンは、遥けきシルクロードを辿り十万を超える軍勢を中央アジアに向けた。史上名高い西方大遠征を綴る物語。
本作は戦記物としての魅力だけでなく、軍人以外の庶民視点を混ぜて戦争を立体的に見せることにあると感じました。
民族の長から木っ端兵士、あるいは商人。様々な立場から、その想いを現しつつ、戦況を浮き彫りにします。
もちろん戦記物ですので、緊張感ある戦闘シーンも随所に描かれます。
駆ける軍馬、交わる干戈、飛び交う弓矢、緊迫の攻城戦、水上の装甲船。
そんな中で現れる様々な感情。
怒気、臆病、悔恨、思慕、嫉妬、栄利、悲哀、勝利、敗北、そして復讐。
様々な立場で、豊かに人間的な感情を持ち交錯するのです。
時折作者様が示す Google Map の検索ワードにより現地の様子などを伺いつつ、800年を遡る歴史と人々を俯瞰してみてはいかがでしょうか。
教科書ではたった一行で説明されてしまう歴史上の出来事。
しかしそこに至るまでの経緯には、様々な人間模様だったり、
沢山の感情揺さぶられるドラマがある…ということが、この作品を読むことによってありありと感じさせられます。
チンギス・カンのような偉大な人物も私たちと同じ人間で、
同じように悩み、考えては決断を下していたこと…
そしてこの作品には、その当時を生きている民衆の視点もあり、
彼らが歴史の動乱の渦に飲み込まれる様子をみると、
私たちが生きている今この時も、後の時代には歴史になるんだ…と気付かされる思いです。
歴史好きな方はもちろん、歴史って暗記物のイメージ…みたいに思っている方にこそ読んで欲しい、
歴史というものの面白さがたっぷり詰まった作品です!
チンギス・カンとスルターンとスルターンを中心に、主人公(視点)が変わるエピソード形式の群集劇です。
本作品は作者様が多くの著書を読み解きながら歴史に忠実に書かれています。
チンギス・カンとスターンという人物が客観的にいろいろな視点から描かれており、しらない事実・史上を知る事ができるのが本作の面白いところと思います。
スルターンはチンギス・カーンと対峙する勢力として描かれております。
ちなみに私は本作を読むまではスターンについて知りませんでした。
スルターンとはイスラム世界における君主号のひとつなので、名前にスルターンが入った君主は数多くいたようです。
本作品は歴史物が好きな読者様にお勧めします。
一読してみてください。
この小説は過去モンゴルの全盛期中に一部を扱っている小説です。
一般的に歴史に対して大きく関心を持つ人でなければ歴史小説もよく探さない傾向があります。
特に、モンゴルと関連した全盛期と関連しては他国の歴史に対して学習するとか偉人伝を読むの外にはその知識と内容に対してわかるようになる経験がほとんどないです。
現代の中国でもモンゴルをそれほど良く思わないからモンゴルの全盛期に対する内容を大きく扱いません。
もし中国とモンゴルの過去歴史に対して関心があるとか比較的おもしろい方向に歴史を知りたいと思う方々はこの小説を読むことをおすすめさせていただきます。
チンギス・カン。その名は、歴史の授業では避けては通れないほど、巨大です。
世界帝国・モンゴルの帝王として知られる彼ですが、その生涯は、戦いは、人となりはどうなのか――この小説はそれについて挑んだ作品です。
しかし、ただチンギス・カンが生まれ落ちたその時から描くのではなく、彼の長子であるジョチにスポットを当て、その西への「遠征」から始めるところが秀逸だと思います。
西への「遠征」――つまりホラズムに代表されるイスラム世界、果てはヨーロッパへと波及することになる「遠征」から始めるところが。
これこそが、モンゴルが世界を、特に東西を「繋ぐ」トリガーとなったと思います。
すなわち、これこそが、チンギス・カンの名を世界に鮮烈に、強烈に残すトリガーとなった、と――。
ぜひ、ご一読を。