テルケンの弟、フマルさんが新スルターンになり、さらには和平を申し出てきたことにも驚きましたが、
その後の二人の会話がとても緊張感があり引き込まれました。ああ、ジョチが強く望む和平は難しいのか、そしてこの先は戦いになるのかと…
そして兄弟の不仲や一つのきっかけで都市の運命が変わってしまうのかと思うと、なんだかやるせない気持ちになりますね…。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
ジョチは4兄弟の中で、早くから西方遠征を託されていました。なので、自らの支配地の中心たる都として、ウルゲンチを考えていても不思議ではないです。地理的にみれば、ウルゲンチはクビライが都とした大都(現在の北京、金朝の中都、遼朝の南京)に近いです。農耕地ではあるものの、遊牧地は近く、また交通の要衝にあり、前政権の首都でもある。
実際には、キプチャク汗国(ジョチ・ウルス)の首都は、ヴォルガ川流域のサライでした。これは、(ジョチの次子)バトゥの西征を経ることにより、その支配地がより西方に拡大したゆえでしょうね。ほぼ支配地の真ん中に当たります。
対して、その南に展開することになったイル・カン国(トゥルイの4南フレグの建国)の首都は、タブリーズやマラーゲとその支配地から見ると、北西に偏っています。これは、キプチャク汗国の侵攻を警戒したゆえと言われています。往時、最大の軍隊は、その国の支配者のおひざ元におりますので。現代と異なり、国境地帯に大部隊を置くというのは、反乱や寝返りの恐れがあり、なかなか難しかったりします。
為政者目線で和平を結ぼうとするジョチも、彼の成長を喜びつつ将兵の立場に立って反対するボオルチュも。どちらも間違っていないのが胸に痛いですね……。
チャアダイが血気に逸って余計なことをしなければ……と思うと、世の中うまくいかないものだと感じます。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
ジョチとチャアダイ、もともと仲が悪いことに加え、後継者争いも視野に入り、ますますとなってますね。そして、各々、一人ではなく、支える家臣団(各子に4人の千人隊長――クナンもその一人――を千人隊ともども授けたとされる)もおれば、引くに引けないという感じでしょうか。
そして、チンギスがお目付け役としてボオルチュを授けたは明らかですが、王子たちも40才くらいと相応の年齢となっていますので、抑えが効かなくなってますね。チンギスも読みが甘かったということでしょうね。
これ以前のことですが、金国の中都を攻めたとき、ある程度交戦した後でも、チンギスは犠牲が増えるのを嫌って、金国の降伏を受け入れました。和平か戦かというのは、現場の指揮官の判断次第となるのでしょうね。まあ、ウルゲンチ戦の場合、そもそも、この指揮がまとまっていないことが問題なのですが。