こんばんは。
実はジャラール・ウッディーンの方に興味があって、読み始めたのですけれど、庶長子で皇太子ではなかったんですね。
ここまでコテンパンにされた後に、「誰がモンゴル相手に戦えるか」ってなるとジャラールしか出てこないというのはあるかもしれませんね。
ムハンマドの方は、元々結末を知っていて何だかなぁ感が否めず、ここでの最期を見ても同じではありますが、元々遊牧民系ですし潔く責任をとるよりは醜くても最後まで望みを捨てない姿勢でいたということでしょうか。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
そうですか。ジャラールに興味がおありですか? 一応、インダス戦まで第1稿はあるのですが、勝ち負けがくつがえる訳でもなく、また、どれくらいの人がそこまで興味を持って読むだろうかと想い、構成を変えました。そのジャラール戦との間をつなぐ、ウルゲンチ戦をこの後、番外編として連載しましたが、それを最後まで読んだ人は少なかったですしね。残念なことですが、紙の本でもネット小説でも世界史は人気無いですね。前者で本を出せるのは、自分の名前で売ることができる大御所に限られますし、後者は三国志が唯一例外という感じでしょうか? それでも、戦国ものに比べれば、読者は少ないようですしね。
逃げ回ったのは、スルターン・ムハンマドの人となり――その個人の資質ゆえという点もあるとは想いますが――やはり、このときのモンゴル軍が2つの点で規格外であったことが大きいと想います。1つは、その軍勢の多さで、厳密なところは分からないのですが――唯一ジューズジャーニーが60万と伝えますが、無論、これは信じられない――少なく見積もっても10万以上、下手をすると20万を超える。これは騎馬軍として、とても多い数です。これ以前、ホラズムはカラ・キタイに臣従していましたが、(ちょっと、うろ憶えではありますが)、その遠征軍は多くて2~3万だったと記憶しています。
もう1つは投石器をたずさえたことですね。その兵器も、これを造れる人たちも、西夏や金国との戦争で得たものです。通常、遊牧勢というのは投石器を持っていないのですよ。ティムールの子孫でムガール帝国の創始者であるバーブルはサマルカンドを攻めたりしますが、投石器をたずさえていません。また、(こちらは、史料を当たった訳では無いので、たしかなことは言えないのですが、)オイラトが明の首都を攻囲したとき、攻め落とせなかったのは、これをたずさえていなかったからだと考えています。
拝読致しました。
このような形でスルターンは退場されてしまうのですね。
死を前にして、母后や后達が捕らえられたことを自分の責任とせずに「我は既に大きな犠牲を払っておる」と考えるこの人は退場して正解だと思いますが、いかな恐怖の為とは言え、死に至る直前の体調でも冬の最中に灯火を用いないようにしたその精神力は、ある意味凄まじいものがありますね。
前話から今話にかけての死にゆくスルターンとその後について、今わの際の懊悩と、没後のざわめきが聞こえるようで、臨場感があり良かったです。
作者からの返信
コメントありがとうございました。
繊細に感じ取っていただき、また、お褒めいただき嬉しいです。本編完結まで、残りわずかです。引き続きお楽しみいただければと想います。
あのずる賢くしぶとかったスルターンがこんな形で退場してしまうとは。
もしや神に見離されたのか…と本人が思ってしまうのも頷けるような感じがします。
憎き敵ながら、スルターンがいなくなってしまったのはどこか寂しい感じがしますね…。物語の終わりが近いからでしょうか。
本編は残り少しになってしまいましたが、どのような結末になるのか、最後まで見届けたいと思います。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
確かに、私自身も、スルターンの人生って、本人にとって、どんなんだったんだろうと想ってしまいますね。自業自得の観が強いですが。ただ、騎馬で至れぬカスピ海の島に逃げたということは、まだ、あきらめてはいなかったのだと想います。
他方で、スルターンが落ち武者狩りや裏切りに会っていないということは、ホラズム敗勢の噂が広まる前に、この追いかけっこがなされているともいえ、モンゴル軍の追討の激しさを印象づけますね。
どんな偉大な業績をなした人物であっても、死の時は侘びしく恐ろしいものなのかもしれない、そんな凡人には痛烈なメッセージを受けてちょっとあてられてしまいました(^_^;)
時代は次々と変わっていくようで、次代のスルターンはうまく立て直せるのでしょうか。
作者からの返信
コメントありがとうございました。
私自身、何でこいつ、こんなところで、こんな形で死んでるんだろう――お前、一方の主人公なのに、一戦も交えずに、と想いはします。
ただ、実際の死というのは、こういうものだとも想います。そして、ままならぬというのは、死のみでなく生の方もまたとも想います。
そうした死と生をつづるを得るのも、(登場人物の生死が史実で決まっている)歴史小説であるからこそ、とも想いました。
感想をたくさんいただけて嬉しいです。私自身も本作を見つめ直す、良い機会となっています。本作は歴史悲劇として書いたのですが、投稿時はコロナが猛威をふるっていたこともあり、どんなんだろうと想うところもありましたので。