応援コメント

第34話 死地9」への応援コメント

  • 怒涛の述懐が凄まじかったです。「あんな者のために。そのバカ息子のために」ここまで思ってしまう程の辛苦があるという事と、それを背負うべきてある上に立つものの姿や姿勢への不満足。この乖離が埋まらないのだとすると、犠牲がどれほど過酷なものなのか、その恐ろしさを改めて感じました。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     少し史書の話をしましょう。トルンの父はモンゴル語史書である『秘史』の中でモンリク・エチゲと呼ばれます。このエチゲというのは父(この語の含むニュアンスを込めれば父上となりましょうか)を意味します。ただ、重要なのは『秘史』における敬称の基準というのは、チンギスということです。つまり、モンリクというのは、チンギスにとって父上と敬称すべき存在であったのです。(実際の父であるイエスゲイはチンギスの幼いときに亡くなっております)そして、その息子のココチョスはテンゲリ(シャマン)としてチンギスというカン号を与えます。

     これほど、重要な地位(筆頭の家臣と言っても良い)にありながら、『秘史』に従えば、チンギスの弟たちと揉め、ココチョスは殺されることになります。(正直、『秘史』の記述は神話的といいますか、具体的なところは分かりにくかったりしますが)

     トルンの人物設定というのは、一方でこうした背景に基づいたものです。他方で、この人物はチンギスの最後の遠征である西夏遠征へ同道します。のちには、そこら辺も描きたいなという想いもあり、このチンギスと対立する思想を持つ人物として、トルンを描いたりしてます。

  • 拝読致しました。
    兵は死ぬもの。でも、それは納得できるもの、とは言えず、己の胸のうちに苦しむ下士官の様が浮き彫りにされていますね。
    一段高いところからあれこれと己の思惑に囚われる高級士官との温度差を感じさせられます。

    作者からの返信

     コメントありがとうございます。

     丁寧に読み取っていただいて嬉しいです。軍隊というのはこうした矛盾があらわになるところ――チンギスの軍も例外ではないだろう――と想います。今回、トルンに託して描いてみました。