ゴーレム・スーツだと?①
ゲラバ魔道参謀とクルーラが近づくとグランズは遠のく、塀の傍までやってくると塀が壊れておりそのまま外が見えていた。
塀が壊れていること自体がおかしい、グランズの様子もおかしいのでグラバは立ち止った。
「グランズどうした、少し待てどこに魔石があるのだ?」
外に出たグランズ、夜が明けてきて数も少なくなった虫たちだったが、なぜかグランズの周りを避ける。
「虫が避けるだと、そういえばこの匂いはザガールの使う・・・」
そしてグランズがゲラバの方に振り返る。
「魔石はありません、ここであなた達の野望は終わるのです」
後ろを振り返ったその顔はグランズではなかった。
「貴様グレスか、野望が終わると?お前はよほどの阿呆だな、ザガール如き最早小国とも言えない国が大国に敵うと思っているのか?」
その言葉を聞いてグレスはゲラバをしっかり見てはっきり答えるのだった。
「ザガールは自分たちの新たな国史を作ることにしたのです、もはや他国の支配は受けません」
「魔法も使わず、ただの力だけにしか頼らぬザガールなどに何ができるのだ。お前たちに未来などないわ、われらが魔道が最強なのだよ」
そう言い終わると、少し残った虫を払いのけるように火炎を地面に魔法で広げ、横のクルーラに攻撃指示を出す。
「クルーラ火炎弾の攻撃だ、所詮奴らのメタモルフォーゼなど身体強化魔法の真似事なのだ。それだけでは何もできないことを教えてやれ」
地面に広がる火炎、だがそれはすぐに収まった。ゲバラの目的通り虫たちはその火炎により帰巣を早め砂の中に隠れた。
炎が消えた時グレスは『
「ははははは、グレスよ、お前も変身が出来るようになっていたのか。そうと分かれば王族だと困るからなお前も始末するとしよう」
変身したグレスにはクルーラの火炎弾の攻撃ぐらい全く効果がなかった。
それこそが「防御がザガールで一番強力である」と言われる所以だった。
「クルーラ、火炎弾ではなくもっと強力な魔法で応戦せよ」
そういうとゲバラは横に移動し、より強力な火炎魔法により攻撃を始めた。
攻撃を始めたゲバラの後ろからは
「あなた達はここで私たちが引導を渡します」
「その声はミザカか、いい女になったなものだ。お前は生かしておいてやる、そう今晩の夜伽でもしてもらうか」
「お断りするわ、あなた達には今晩も明日も来ないわ」
ゲバラとクルーラは後ろの二人にも攻撃を始めた。
グレスは攻撃を受けながら驚いていた。
そして攻撃を受けながら何かを考えてでもいるように動かなかった。
(なんということだ、さっきのサンクス君の指導のおかげだろうか敵の炎系の魔法を受けていると言うのに・・・相手の炎のエレメントを感じることができる)
「グレス大丈夫か?炎から抜け出せなのか?」
サムリが心配して声をかけた。
「大丈夫だ、全く問題ない」
そう答えるグレス。
(炎系であれば相手がエレメントをどう使っているかも感じることができる。私にもできるのだろうか?)
グレスはゲバラに向かって走り出した。
「クルーラ、お前の最大魔弾を出せ。後方支援はするぞ」
「分かりました」
クルーラは最大魔弾を準備するために詠唱に入った。
その間ゲバラはクルーラを守るようにしながら三人へ攻撃をしていた。
接近攻撃ができないミザカは石を拾いゲバラに向けて投げていた。
ゲバラは石を防ぎながら笑っていた。
「やはりお前たちは力しか能がないバカ者だな、接近しなければ何もできまい。これで終わりだな」
詠唱が終わり強力な魔弾が発射可能になった杖をミザカ達に向けるクルーラ。
火炎と金属の実体を伴った魔弾がグレス、ミザカとサムリに向けて発射された。
高速に迫る三発の魔弾。
目を伏せ蹲るようにするミザカと逆に魔弾を直視しながら避けようとするサムリ、そしてその魔弾すら解析しようとするグレス。
「ドーン、ドーン、ドーン」
炸裂する魔弾。
目を開けるミザカの前に防御の結界が張られていた。
「防御は任せてください」
そう声を発するサンクス。
「ありがとう、サンクス君素敵よ!!」
ミザカがサンクスに礼を言いながら笑いかけると照れるサンクスだった。
すでに攻撃に転ずるサムリはクルーラの元に走り寄りパンチを繰り出していた。
クルーラの元に近づきながらサムリを魔法攻撃をするゲバラ。
そのゲバラを追うグレスは攻撃の隙を探していた。
攻撃を受けるサムリの傍にはサンクスの結界が張られ攻撃を無効化する。
「ならば、高速化だ。クルーラ高速移動と魔法を併用するんだ」
ゲバラの一言で二人はミザカ達には目では負えない速度で移動し、ある意味見えない存在となって行った。
◆ ◆
ラミアに追いつく
「ベルトガ、残り少ない虫を火炎魔法で薙ぎ払え」
そうクレストが言うと自分たちが下りるための地面の虫を薙ぎ払った。
「クレスト様、あれはどういうことでしょうか?」
ラミアを見てベルトガが驚いていた。
「あれはなんだ?あんな魔法があるのか?」
クレストも見ていることが信じられないようだった。
虫が避けている?
いや虫が避けることでラミアが通る道を作っているのだ。
それ以上に通った後も虫がもとに戻らない、まるで何か恐ろしいものが通った後のように、後から出てくる虫もそこは避けていた。
「クレスト様信じられませんが、まるで虫が恐れているかのようです・・・」
「まさか、そんなことがある訳がない」
二人に気づいたラミアは槍を一振りした。
風が音を立てて三日月形の形で走る。
ザバーンと波が砕けるような音が鳴り、
驚くことに
「降伏するか死か選べ」
ラミアの声が響いた。
その声にクレストとベルトガは恐れをなした。
震える足を抑えながら攻撃態勢に入ろうとする二人。
「やはりあれは魔法などではない。あの女は虫にすら恐怖を与える者なのだろう、ベルトガ逃げるぞ」
「しかしロザリア王女を奪い返されでもしたら大変ですよ」
「今は逃げることが先決だ、あれでは勝負にならんぞ」
(この力は魔力かもしれないと思ったが、たぶんそうでないだろう。あの虫達を見ればわかる歩いた後ですら延々と恐怖を残し続けることが魔力であるはずがない)
近づいてくるラミア、しかし二人は動けなかった。
「ゴーレムを出せ、逃げる隙を作るのだ」
ベルトガはゴーレムを起動する呪文を唱え始めた。
◆ ◆
俺の目の前の此奴がここの基地の責任者のバグラという奴なのだろう。
バグラは俺たちの
「ようこそロザリア王女、お待ちいたしておりました。それでは一緒に来ていただけますかな」
そういうとニコニコしながら
俺は扉を開けるとバグラの前に出た。
「残念だったなロザリアなら不在だよ、それよりおとなしく降伏しろ」
俺の顔を見るとバグラは不思議な顔をしていたが、すぐに怒ったような顔になった。
「何を言っているんだ、だいたい何だお前は・・・それよりロザリア王女はどこだ、さっき居たはずだ」
「王女?王女ってなんだ?王女なんて居ないだろ、だってお前たちが王女の国を滅ぼしたんだろう」
「そうだな、元王女はどこだ・・・そうか、そんなことをしなくてもお前の体に聞いた方が良さそうだな。一人で来るくらいだ腕には自信があるんだろう。ギアナ、ゴーレムを用意して相手してやれ、俺は王女を探す」
ギアナとか言う奴がゴーレムを召喚する詠唱を始め、バグラは索敵をして方向を見定めて高速移動を始めた。
「しょうがないな降伏はしないということだな」
まずは
最小の攻撃を考える、そう多数である必要はない。
俺はサンダーボードを起動しバグラの進行方向に移動し、バグラを妨害した。
バグラが進行方向を変えると俺も方向を変える、その後バグラは魔法攻撃をしてくるがそんなものは跳ね返し一気に
その小爆発にバグラは驚いたようだった。
「なんだ今のは炎のエレメントを感じなかったぞ?」
しかし詠唱が完了しゴーレムが現れた。
「三対一か、少し分が悪いかもね?」
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