砂漠の民 長き戦いの果てに③
クレストとベルトガはロザリア王女の持つ大鎌を見て、恐れと絶望という感情が渦巻いていた。
「あれは死・・・死を司るヤムニ神の持つ大鎌『サバズグル』ではないのか?」
「「俺たちは間違っていた。
本当に恐ろしいのは。。。
本当に恐ろしいのは。。。
ロザリア王女だったんだ」」
大鎌を手に持ったロザリア王女は
「今の私には、貴方達の罪を裁くことは出来ない。
今の私に出来るのは貴方達にこれ以上罪もない人たちを傷つけることを出来なくすること。
貴方達を裁けなかった罪は私の罪」
ロザリアは自分の身長を超える大鎌を振り上げフェスリーに命令した。
「フェスリー!!」
名を呼ばれたフェスリーは物凄い炎を身に纏い
それは恐ろしい炎だった。
直接
すれ違う瞬間に、ロザリアが大鎌を振ると溶けていた
そしてフェスリーの口には精霊石が銜えられており直ぐにフェスリーはその精霊石を嚙み砕き飲み込んだ。
フェスリーはその場で立ち止まり、ロザリア王女は立ち竦んで居た。
「ロザリア、良くやりましたね」
そうラミアが声を掛けてもロザリア王女は立ち竦んでいた。
「どうしたのロザリア?」
その声にロザリアはラミアに気が付いた。
そしてラミアに顔を向けると大きな声で泣き始めた。
「私は大きな罪を犯してしまいました。
多くの人々の無念を・・・彼らの罪を裁かず彼らを亡き者にしてしまいました。
神でもない私が彼らを・・・・」
「貴方は、良くやった。
大丈夫誰もあなたを責めない」
その言葉を聞くと、ロザリア王女は『ツクヨミ』を元の姿に戻した。
そしてフェスリーから降り、ラミアの所に進むとラミアの胸に顔を埋め、また泣き始めた。
「多くの無念を晴らすことが出来ていません。
きっと私は虐げられた人や亡くなった人の思いを明らかに出来なかった・・
そう彼らの思いを踏みにじったんです」
ラミアは彼女の頭に手を添えた。
「そうかしら?
一度その目で確認して見ますか?」
「えっ?」
それは多くの光が漂いながら天界に向かって浮かび上がるように飛んでいた。
「分かるかしら、一つ一つの光・・・あれは彼らに苦しめられて死んだ人の魂」
それはラミアの闇の能力だろうか多くの魂の波動が形となってロザリア王女に見えた姿だった。
「皆、喜んでいるのよ。
死んでしまった自分たちのことではない。
彼らの心配は生きている家族ことや親戚、知り合いのこと。
それは貴方に見える多くの光(亡くなった人)が成仏も出来ないで、この地に引き留められていた未練だったのよ
でもあなたのお陰でその未練から解放されたのよ」
ロザリア王女はラミアの胸に顔を埋めたまま泣いていた。
ただラミアには分かっていた。
クレストとベルトガはロザリアの攻撃で止めを刺されたのではなく、フェスリーが近づいた段階ですでにゴーレムの中で焼失していた。
元々ロザリア王女が言う責任などロザリア王女にはあるはずがなかった。
ラミアはロザリア王女を抱き絞めながらロザリア王女の頭をさすっていた。
「今はここで、泣きたいだけ泣きなさい」
----- サバズグルの大鎌 ーーーーーーーー
滅んだ二人はどうなったのか・・・・
魂の行く先の一つ、そこは地獄より怖い「サバズグル」により送り込まれる後悔の海の中に落ちたのだ。
自分の犯した罪が詰まった海である。
その海では自分が犯した罪と同じことをされ永遠に続く後悔をし続ける後悔の海。
いくらその苦しさにやったことを後悔しても、再度やった罪と同じ目に遭い苦しむ。
そんなことをしたことを後悔しても許されず、また同じことを繰り返される。
そんな罪の深さを何度も何度も認めさせ後悔することを永遠に続けられる世界だった。
◆ ◆
ゲバラとクルーラは熱いゴーレムの中で必死だった。
「あと一息だ、一気に大量のマグマをお見舞いしてやれ、それで終わるぞ」
「これでダメなら、こちらも暴走熱で終わりですよ」
最大マグマの放出が始まった時、イグルはマグマに覆われていった。
「腕が焼け爛れていたぞマグマの威力は間違いなく巨人にも効いていた。これでイグルも終わりだな」
だがイグルはグレスの多重結果に守られていた。
それが出来たのはイグルが巨人から元の姿に戻りつつあったからだ。
マグマは結界の上で大きなドーム状に固まっていた。
そのイグルをミザカが迎えに行く。
「イグル様!!」
イグルの姿は大やけどを負って、腹には大きな傷があった。
「小さくなっても広がったままなのね、出血が酷い、治療をしなければ」
だらイグルはその状態でも立ち上がった。
「大丈夫だ、まだ戦える・・・」
ミザカだけでなく、到着したサムリも声をそろえた。
「「イグル様、それは無理です。すぐに治療を」」
マグマのドームはだんだん大きくなって全員の居る場所を覆い尽くした。
そこには丸い小山が出来ていた。
「よし、もう良いだろう。今の内に逃げるぞ・・・」
パァ~ン
大きな音が響いた。
ゲバラとクルーラは思ってない方向から聞こえた音に驚いた。
「「何の音だ?」」
それは、
「ベアラが破壊され多だと・・・
破壊した奴らがこっちに来る前に逃げるんだ、今の状況では勝ち目はないぞ。」
直ぐにライオネスを動かそうとするが精霊石の暴走を止めなければならない。
そしてマグマの小山の中では、大量のマグマ故にグレスの多重結界すら限界になって来ていた。
多重に張られた結果も最後の結界のみになっておりその結界も既に限界で壊れそうになっていた。
結界に遮られているのはほぼ白い光を放つ高温のマグマだった。
「もう少し、もう少し持ってくれ・・・サンクス君まだか!!」
その声に呼応するようにサンクスの声が響いた。
「お待たせ、こちらで結界を張りなおすのでグレスさんは休んでください」
サンクスはそう叫ぶと魔法を全開にする。
グレスが結界を一度消すとサンクスが結界を張りなおしアクア系の魔法を顕現させた。
「テラ・フォンテーン」
大量の水が噴き出した。
その水は新たに張ったサンクスの結界に沿って進みマグマにあたった。
既にマグマの小山に閉じ込めているので安心していたゲバラとクルーラだった。
「精霊石がもう少しで冷えます、あと少しで逃げます」
ドバ~~~ン
それはマグマの小山が水蒸気爆発を起こした音。
そして水蒸気爆発を起こした時全員がライオネスに向かって走り出した。
「奴等なんで無事なんだ・・・マグマだ、直ぐにマグマを」
「もう精霊石が冷えて来ているので今は打てません」
「なに・・・」
サンクスは水蒸気爆発を起こし小山が一気に飛び去ったことを確認するとアクア魔法を変化させる。
「アクア・ストリーム・スピア」
それは噴水上の水が槍となってゴーレムを襲う。
水の槍に襲われるゴーレム。
「精霊石の力を防御に回せ」
「はい」
最早防戦一方となるゴーレム。
「アイシクル・プリズン」
サンクスは水の槍を何本もゴーレムに打ち込んで、その槍で氷の牢屋を作った。
アイシクル・プリズンが決まったことを確認するとサンクスは全員に大声で叫んだ。
「少しの間拘束した、今がチャンスだ止めを刺しましょう」
その声を聞いてグレスはミザカの方を向き。
「ミザカ俺をアイツに思いっきり投げてくれ、俺は長距離の攻撃系の魔法が使えない、だからち直接攻撃を奴に打ち込む」
ミザカはグレス信じていた。
「分かったわ」
酷い火傷で動くのも大変なイグルだったがサムリに自分も一緒にダバハに乗って行くと言い張った。
サムリはイグルの気持ちが分かったのかダバハに乗ってゴーレムに向かって行った。
サンクスも三節根を持ってサンダーボードを駆って進みだした。
「奴らが全員でこちらに向かっています。
精霊石も凍り付いて・・・
氷が解けるまで精霊石の暴走もできません
よってゴーレムも凍り付いて動けません・・・
私も体が凍り付いています・・・」
ゴーレムの中で氷ついてしまった二人は何もできなかった。
ミザカがグレスをジャイアントスィングをするように振り回した後、ゴーレムに向けて飛ばす。
グレスはその反動の上にさらに加速するよう魔法を使ってみた。
「まだ魔法に成れていなくてね・・・直接炎を飛ばすことは出来ないからな、それなら各々パンチを最大限で打ち込むだけだ」
全ての魔力を右手に込めてグレスは魔法を使う。
「ギガフレーム・ボンバー・パンチ」
大きな炎の爆発が起こる。
だがその反動は術を出した本人にも帰って行った。
グレスの腕が曲がるはずのない方向に曲がり、中の骨が一瞬に粉々に砕け、皮膚は大きな火傷を負う。
そしてそのパンチはゴーレムを構成している魔法を砕いた。
ゴーレムは一瞬にして砂に帰った。
乗っていた二人は外に放り出された。
飛ばされたゲバラはクルーラを見渡して探していた。
やっと見つけたクルーラは不細工に砂に埋もれていた。
その前にサムリが立ちはだかった。
「残念だったな。お前も終わりだ」
サムリはクルーラに剣を突き立てた。
それを見ていたゲバラは逃げようとした。
だがダバハに乗った満身創痍のイグルが立ちはだかった。
ゲバラはそんなイグルに負ける気はしなかった。
「馬鹿め、そんな体で俺に勝てると思っ・・・・」
イグルはその言葉など最後まで聞かず、力の限り剣を振りゲバラを切り捨てた。
「マグリ、ガリア・・・、俺も・・・」
そこにサムリが現れた。
「イグル様、無事仇を取られたのですね」
「いや、かたき討ちなど誰も望んではいないだろう。
私はグレス達のみらいのために使命を果たしただけだ。
これで思い残すことは無い」
「何を言うのですか父上、まだ一杯やらなければならないことがあるのです。
弱音等まだ早いですよ」
片腕がボロボロのグレスがミザカの肩を借りてそこへやって来た。
魔法の効果が続いている精霊石は再度ゴーレムになろうとしていた。
そのことに気づいたサンクスが三節根で思いっきり叩きつけた。
「フェスリー、特上の餌だ~」
精霊石はそのままフェスリーのところまで飛んでいった。
その精霊石をフェスリーのは嬉しそうに銜えると噛み砕き飲み込んだ。
だがフェスリーはその後眠り込んだ。
その眠りに着く前、ラミアの方を見るとラミアに何かを呟いたようだった。
その様子を見たラミアはサンダーボードでサンクス達の方向に移動を始めた。
ロザリア王女はラミアに抱えられていた。
「私はフェスリーの背に乗って行きます」
「フェスリーは少しの間、目を覚まさないでしょう。どうやら出産に備え始めたようね」
さて残ったジェイだが・・・・
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