ラミア②
この広い砂漠に美女とたった二人で生活している。
俺は今『リア充』そして幸せだった。
なお今、俺は食材を収集するため狩りの最中である。
最初にやっていたように砂漠の砂を熱して、苦し紛れに現れる小動物を狩っている。
食材集めも、ここ数日やっているので慣れてきた。
そして術式のマクロ化も増えてきたので色々と簡単に出来るようになってきたのだ。
実はラミアも狩りをやっているので、今は二人は別々の行動をしている。
そしてラミアには少し後ろめたいことを色々と試している。
最近作ったマクロ化魔法で弱電のセンサー魔法の構築中だ。
これで砂の中でも獲物がどこに居るか分かる……というのは建前論。
本当の目的は……スマホの充電だ。
スマホの充電をするために弱電の直流を作り出すのだ。
余り急激にやって電池を破裂させると修繕のしようがないので慎重にやっているのだ。
ただネットも使えない世界でなぜスマホかというと……
『エロ動画』を見るためだ。
今俺にはラミアが居るじゃないか、そう今の俺は『リア充』だろう、
なのに「何がエロ動画だ、バチが当たる」と言われそうだが、実は切実な問題がある。
ラミアは食事の報酬と言うことで毎朝密着しキスをしてくれる。
彼女の美しい顔、柔らかいメリハリの効いた体、そして吸い込まれそうな色香。
そうだ、彼女は全ての点で悩ましくキスだけだというのに俺の愚息は先走ってしまい、翌朝は夢精している。
童貞のサガなのだろう、こればかりはどうしようもない。
問題なのは最終目的が童貞を貰ってもらう訳だが。
今の状態で事に及んだとしても、俺は一瞬の内に打ち上げ花火で玉砕するだろう。
もちろん今の俺のテクではラミアにも喜びを与えることは不可能だろう。
だが、少しでも、いや、少しで良いんだラミアにも喜びを与えてあげたいんだ。
そのための研究用としてエロ動画を見ようとしていた。
◆ ◆
サンブルド王国、この国の重要人物が王城のテーブルに着き話をしていた。
一人は王であるサンブルド・四世、もう一人は魔導士団長クリミドス、サンブルド世界史監視院のメンバであるクルナンとサフィアであった。
現在王国内での内乱が発生してるためそれの対策を話し合っていた。
魔導士団長クリミドスが腕を組んで目を瞑り難しい顔をしている王へ、話題を変えようと話掛けた。
「王よ、リサンダ王国にてヒーローの召喚が行われたそうですがフレイム召喚は成功したようですが、アクア召喚には失敗したようです」
王はニヤリとして目を開けると答える。
「やはりな、図り事で手に入れた召喚石ではまともな召喚は出来るまい、たとえアクアのヒーローをリサンダ王国が手に入れようと今更何も変わらぬがな」
思惑通り王が話に乗って来たので話を続けるクリミドス。
「全く嬉しそうに召喚石を奪って行きましたからな、本当にバカ者どもですな」
「奴らもセグリエ王国で所有していたアクアの召喚石を手に入れた時は我々を出し抜いたと思い喜んだだろうな、我々の意図するところも知らずにな。最初から我々の狙いはセグリエ王国に保管されている霊宝石であることも知らずにバカ者どもだ。それでそのありかは分かったのか?」
「占領致しました元セグリエ王国の領地で、セグリエ王家の者を確認しております、その者が持っている所まで突き止めております」
「それでその者は捉える手はずになっておるのだろうな」
「もちろんでございます、元セグリエ王族と言うことで内乱の首謀者とも思われますからな。少々面倒ごとなので、策を弄しております」
「策とな……」
「元セグリエ王国の近衛達をセグリエ王国残党である反乱軍の鎮圧にまわしております。奴らの家族親戚を人質を取っておりますのでこちらの言うことをよく聞いております。馬鹿な元セグリエ王国の者達は同じ国民同士で殺し合いをして、双方とも数を減らし、やがて鎮圧されるでしょう。そして目的の王族もこちらに連れて来ることが出来ますでしょう。」
「元は同じ王国の者同士で戦わせるとは残酷じゃな」
「何を戯言を申しますか、最早我がサンブルド王国近衛になって者たちです、我が王と王国のために働くのは当たり前ではありませぬか」
「早く霊宝石をこの手に入れて、我が望みを果たしたいものじゃ」
◆ ◆
このスマホが見事蘇りエロ動画が見れるのか?
このスマホでこっそり見るためにDLされたタイトルが数本入っている。
ネットがなくてもスマホが充電できればオフラインでも見れるはずだ。
ここ数日でなんとか電池マークが現れたのだ、だから充電する要領は分かって来た。
でもフル充電には六時間くらい掛かるようだ。
ということで今日の夜には充電は完了し明日には見れそうだ。
問題はどこで見るかだが、やはり一人になれる、明日の狩りに行っている間かな。
充電の具合を確かめるため、今少し起動した。
目的の動画はあった、そして試しに再生してみると刺激的な動画が再生された。
『男女がキスをして舌を絡め合っている』
それに見入っていると電池が無くなり直ぐに消えてしまった。
だが、明日にはフル充電だ、そうだ明日の再生は期待できそうだ。
安心して今日の獲物を纏めて袋に詰め持って帰る。
ちなみに、野営場所は俺を追ってくるかもしれない奴らに見つけられないように毎日少しずつ移動している。
二人が取った獲物は俺の魔法で氷漬けにしてラミアの保管魔法で作った保管庫に保管している。
そうすることで長期保管が出来るのだ。
「ラミア、今日はこれだけだよ」
今日の獲物を彼女に見せた。
ラミアは感心したような顔をして獲物を見ていた。
「いつもながら凄いわねジェイ、どうやってそんなに狩るの?根こそぎって感じよ?」
確かにレンズで熱する範囲が大きいので一帯の生き物全てに近いのだろう。
うん、取りすぎはいけないと思ったので明日から少し控えよう。
「動物は良いんだけど野菜(植物)が有れば良いんだけどな」
そうだ、タンパク質は良いが炭水化物や食物繊維を取るには植物の方が良いだろう。
ラミアは何かを思いついたように保管魔法を使い保管してあるものから干した植物を出してきた。
その干からびた植物を差し出す。
「こんなものでも良いの?」
漢方薬のように乾燥した植物が束になっていた。
種類もいくつかあるようだ。
「何の野菜かな、いつも食べているの?」
「薬に使うのよ、癒しの魔法が効かないことがあると使うのよ。昔、薬師とか言う人に教えてもらったの」
薬草でもハーブとして使えるかもしれなかった。
そこで少しだけ齧って見て、味を見ながら使えるかどうか判断してみた。
薬草という限りは量を間違いなければ体に悪いものは少ないだろう。
数種類が料理に使えそうだった。
「これどこに生えているのかな、直ぐに手に入る?」
「砂漠の端に行けば手に入るわ、ここからだと3か月くらいかかるけど?」
「3か月は長いな、それと砂漠の端には人が居るんだろう、会いたくないな」
「あ、でも、クレカソンの花ならその辺りあるわよ、私は食べたことないけど?」
「クレカソンの花?」
「砂漠だけど雨が降ることが数十年に一回あるのよ、その時この辺りはクレカソンの花が咲き誇るの」
前の世界で聞いたことがある、種子が雨が降るまでジッと耐えているんだ。
そして雨が降ると一斉に目を出し花を咲かせる、そしてまた種子を作る。
後で砂漠の中を探してみよう、もし種子を見つけられれば新鮮な野菜が手に入るかもしれない。
「そういう植物が、ここにもあるんだ」
ラミアは懐かしい話をするかのような顔になって。
「そうね、ここも昔は砂漠じゃなかったのよ、森だったのよ」
「そうなんだ、昔のことかな、どのくらい前?」
「忘れるくらい前かな?そんな前の話はジェイが興醒めするからしない方がいいわね」
「でも知りたいんだ、ラミアのこと」
「ダメよ、その話はダメ、ジェイと同じ時代を生きていることだけが今は大事なの」
そう言うと俺の口に彼女の口で塞ぐように重ねてきた。
さっき見た、だから少しだけ知っている。
だから少しだけと思い舌を少し彼女の口に差し込んだ。
彼女は、お返しとばかりに彼女の舌を俺の舌に絡めてきた。
暖かく濡れた舌それは力を抜けば柔らかく、細めれば固い。
彼女の舌が俺の舌に絡みつき俺の舌は彼女の舌に弄ばれた。
やはり俺の稚拙なテクでは全く彼女には敵わない。
早く充電が完了しないだろうか……
今日の夕飯に薬だという植物を少量入れると料理は面白い味になった。
不思議と感動する味だった。
ラミアも満足そうだった。
「色々な味が複雑に絡み合うとこんなにも料理をおいしいものと感じるのね。今まで考えたことも無かったわ、ほんとに不思議だわ」
夕食を終え、一休みしていた。
ラミアは傍で一緒に居た、こんなに幸せで良いのだろうか?
ブ~ッブ~ッ、いきなりスマホのバイブが震え始めた。
充電の術式もマクロ化出来ていた、よって並列実行されていたのだ。
意識しなくても並列実行されるので充電を続けており充電が終わったお知らせだった。
ラミアが不思議がって震えて音が出るものを見ていた。
「これ、なぁに?、なんでぶるぶるするの?、何か入っているの?」
充電した目的が目的だけに、少々後ろめたいが説明をする。
「スマホと言って便利なものだよ」
ラミアも始めて見るものに興味津々だった。
「
「色んな魔法が……」
言葉が詰まる、エロ動画見れますとは言い難いな。
「あっ、俺たちの世界の歌が聞けるんだよ」
ラミアは嬉しそうな顔になって「聞きたいわ」とねだって来た。
何とも可愛いその顔に負けた……エロ動画の負けだ。
早速ミュージック再生をする。
「知らない音階、そして知らない楽器の音が沢山する、これがジェイの世界の音楽」
ラミアは小さな機械から流れる音楽と歌に驚きながらもそれが気に入ったようだった。
何度も何度も聞いていた。
そしてその内、真似をして俺の世界の歌い出した。
この間の子守唄もそうだが本当に彼女は歌が上手い。
それはまるで、砂漠の中で俺のためだけに歌ってくれているようだった。
ラミアのお陰で俺は本当に幸せだった。
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