ロザリアとサンクス④

 砂漠を一人魔獣に跨り走る男。

 元セグリエ王国の王都の警備を主に担当する近衛第三騎士団のシルクス・サーキッド団長である。


 セグリエ王都では王都警備の者は王都の民にとっては英雄だった。

 そしてこの男は団長であるので王都では彼の評判は高く人気者であった。


 そのシルクスは行方不明になっているロザリア・エス・セグリエ王女を探していた。 

 ただし不思議なことに彼の団の団員たちは一人も付いていなかった。


 この砂漠にまで微かな王女の臭いを魔獣に嗅ぎ分消させながらやって来たのだ。

 

「風に舞い散る砂で出来た砂漠と言えど、私の魔獣ゴーレズであれば臭いを嗅ぎ分けることが出来る。そうかゴーレズどうやら姫は近いようだな」


 彼はそう言うと魔獣に鞭を入れ急がせた。


  ◆    ◆


 その日の昼間、俺はサンクスがどうしても付いて行くというからサンクスを連れて狩りに来ていた。


「ジェイ見ていろよ俺の狩りの腕前を見せてやる」


 自信たっぷりなサンクス、剣は折れてしまったので棒を持っていた。


「ほう、お手並み拝見だな、じゃあ今日の夕飯のネタは頼んだぞ」


 期待半分で見ていた、だが小僧の狩りの腕は確かだった。


 彼は棒を体の一部のように扱っていた。

 そして持っていた棒を数回砂の中に叩きこむと、驚いて虫や小動物が飛び出してくるのだ。

 サンクスはその瞬間を逃すことなく、棒で一気に獲物に止めを刺していた。


「見事なものだな」


「こんなのは朝飯前さ、棒術は父さんに教えてもらったんだ」


「お父さんからは剣を貰ったんじゃないのか?」


「父さんからは棒術を最初に習った、俺の得意はやっぱり棒術なんだ。剣は騎士団に入るのに必要だからということで買って貰ったんだよ」


 実は棒はその辺りにあった棒を拾ったのだ。


「剣は無くても、そんな棒でも役に立つと言うことだな」


「そんな棒とは失礼だなちゃんと削ったんだぞ。本当はクルムシの木で作る長棒が一番手に馴染む武器なんだ」


「そうさ父さんはアクアのエレメントを使った魔法だけじゃなくクルムシの木で出来たこん棒二本をチェーンで結んだ形にしたものを振り回して敵を倒していたんだ、第一~第三騎士団の団長さんとも仲が良くて、よくその武器を使って模擬戦をやっていたんだ」


「その武器ってヌンチャクみたいだな」


「えっ、ヌンチャク知っているのか?それって父さんの世界の言葉なんだよ」

 

 はあ?ヌンチャクが異世界の言葉?

 もしかして前アクアのエレメントヒーローって地球人なのか?


 とは言え今は誤魔化すことにした。


「俺の田舎にも言い伝えによるとそう言う名の武器が伝えられているんだ。多分だが昔、そう昔だな、俺の田舎にもお前の父さんと同じ異世界の人が来ていたのかもしれないな?」


「へえ~、どんな武器なの教えて欲しいな、どんな武器なの?」


「ヌンチャクと三節棍さんせつこんとかサイという武器が残っていたよ」


三節棍さんせつこん?」


「チェインで三つの短棒を繋いで棒状にした多節棍の一種さ、ヌンチャクとはよく似ているな、言うなれば兄弟のような武器だな」


「父さんの世界の武器かもしれないのか、一度見て見たいなどんな武器だろう」


「しかしセグリエ王国には騎士団は三つもあったのか?」


「何にも知らないんだなセグリエ王国には役割に合わせて八騎士団あったんだ。その中でも第一騎士団は王族警護、第二騎士団は王城警備、そして第三騎士団は王都の警備をしていたんだ、俺の父さんは騎士団とは別に王直属だったんだけど、特にこの三つの騎士団とはよく連携していたのさ」


「なるほどな、小国だと言ってもそれなりの規模ではあったわけだな」


「特に第三騎士団のシルクス兄さんは父さんの親友だったんだ。王都では一番の人気者でお父さんの次に強かったんだ」


 小僧の遠くを見るように回想して話す顔は実に楽しそうだった。


「そのシルクスさんは、今はどうしてるの?」


「分からない、二つの大国に分断された者たちはそれぞれの国に所属させられているらしいが、俺たちにはそんな情報は知らされないからね。シルクス兄さん元気だと良いな」


 大国に滅ぼされた国は悲惨だろうな、捨て駒として戦の最前線に派遣されているのだろ。


「さてと狩りをするかな」


 俺はいつもの様に太陽を集め狩りを始めた、初めて太陽の威力を見た小僧は驚いていた。


「そんなことが出来るのか、でもエレメントを感じない。ジェイは本当に人間なの?」


 真顔まがおで人間じゃないと言われると悲しいものだ。

「人間だよ、俺の力も小僧と同じで魔力を使っているんだ」


 そう言っても何となく信じていない小僧。

「エレメントを感じないで魔力を魔法に変えられるなんておかしいよ、本当は魔人じゃないの?」


 なるほどそう言うことか魔人ね、魔人は魔石を体のどこかに着けているものだ。

 俺に葉何処にもそんなものは付いていないけどね。

「はははは魔人、俺の胸に魔石でも付いているか?」

 そう言って胸を見せた。


 説明だけは一度しておこうと思い少し説明口調で話してみた。

「エレメントの考え方は全てのものが五つエレメントで出来ているっていうことだが、それって無理があると思わないか?俺はもっと多くのモノで出来ているという理論を作り出して実践する者、言うなれば原子拡張者エクステンダーだよ」


 小僧は信じられないという顔をするとあきれ顔になった。

「子供に嘘を教えてはいけないよ、この世は五つのエレメントで出来ている。実際に五つ以外のエレメントは見たことが無いよ。やっぱジェイはおかしな奴だ」


 やっぱりね、根拠の説明に俺の居た異世界の話はしてもしょうがないのでアッサリ引き下がることにした。

「じゃあ、獲物も取れたので血抜き処理してら帰るとするか」


「そうだな、原子拡張者エクステンダーとかの戯言聞いても仕方が無いからな」


「その内信じるようになるさ、時代がその内追いついて来るのさ」


「そんな馬鹿なことは絶対に無いよ」


 本当に全く信用されていないな。

 当たり前だ、俺だってエレメントという話が信じられなくて魔法が使えなかったんだ。

 世界が変われば考え方も違うのは仕方が無いだろう。


 そして俺たちは狩りの獲物の処置をして帰途に就いた。


 その男が俺たちの前に現れたのは、俺たちが狩りから帰って夜食の準備をしている時だった。


 ピロロロロ~ロッ


 聞きなれない動物の鳴き声が響き渡った。


「ロザリア姫様」

 そう言うのが聞こえると小僧とロザリアは結界の外に飛び出して行った。


 ロザリアはその男の顔が見えると声を掛けた。

「シルクス団長、よくここが分かりましたね」


 小僧は涙すら浮かべていた。

「シルクス兄さん」


 だがラミアは二人と男の間に立ちはだかった。


「ダメ、危ないわ二人とも、中に入りなさい」


 そしてフェスリーも魔獣モードになって二人の前に立った。


「ラミア様、その人は仲間なんです。そう元第三騎士団の団長です安心してください」


 何やら喧騒な雰囲気の中どうなっているのか事情が分からない俺。

「ラミア一体どうしたんだ?」


「あれは蟲毒に侵された者、もう人ではありません」


 その言葉は二人の子供達には意味が分からなかった。

「ラミア様、そんなはずはありません、間違いなくシルクスです」

「そうだ、シルクス兄さんに間違いない」


 こちらの状況などどうでも良いように男はこちらに近付いて来た。

「ロザリア姫様、お迎えに上がりました」


 小僧たちの様子や話から、さっき小僧の話していたシルクスとういう男だと言うのは分かる。


 だがさっきの話の内容と違い、俺は好感を持てるというよりその男からは薄気味悪さを感じていた。

 この世界で初めて聞く言葉『蟲毒』とかいうもの、毒というくらいなので薬なのだろう。

 その薬で人を操っているのだろうが、人で無いとはどういうことだろうか?


「ラミア蟲毒ってなんだ?なんで人じゃないんだ、どう見ても人だが?」


「蟲を操る蟲奏者という者たちが居ます、彼らは蟲を使って人を操るのです」


「人を操っているんじゃないのか?」


「見かけはそう見えますがでも違います。操る人の頭に蟲を住まわせその蟲を操るのです」


「蟲に取り着かれると時間と共に人格を蟲に食い尽くされます。そして蟲が考え蟲がその人を動かすのです。だから体は傀儡に成り下がります」


「そんな!!シルクス様に限ってそんなことはありません、今でもちゃんと私のことを姫と呼んでいます」


「うまいですよね、でもあれは蟲が発している言葉。虫が彼の記憶も食べその記憶から話しているのです」


「うそだ、あれはシルクス兄さんだ」


 そういうと小僧は走って行った。

「シルクス兄さん」


 その声を聞いて男は「おおっ、サンクスじゃないか?」と言葉を掛けた。だが次の瞬間剣を抜いた。


 剣は小僧の首に水平に振られた。


「カキーン」


 小僧は自分の首のすぐ傍で俺の結界鎧と男の剣がぶつかり合う音を聞いた。


「シルクス兄さん何の冗談なの?」

 小僧は心配そうな顔で男を見ていた。


 そして男は俺に剣を防がれると少し離れた場所に移動していた。

「サンクス、父さんの所に送ってあげようと思ったんだがな、生き残ったか残念だったな」

 男は悪びれることもそう無く吐き捨てた。


「なんで、なんでだよ、サンクス兄さん、俺達を助けに来てくれたんじゃないのか?」


「私はサンブルド王の命により姫を迎えに来たのだ、お前など助ける命令は受けていない」


「どうしたんだシルクス兄さん・・・」

 小僧は泣き顔になって行った。


 なるほど、親友の子供の首を何の躊躇いもなく撥ねようとするとはね。

 人では無いというのも頷けるな。


「小僧邪魔だ、あっちへ行っていろ!!」


「いやだ、俺はシルクス兄さんを正気にさせるんだ」


「無理だよ、あれはもう人では無い」


「馬鹿ジェイに何が分かるんだ、俺はシルクス兄さんを助けるんだ」


 頭に蟲を住まわせると言っていた、それと記憶を食って自分のものにするとも言っていた。


 多分脳に蟲が取り付いているのだろう。

 運動神経や反射のために小脳は食べ残されている可能性はあるがそれ以外は望みは薄い。

 あの男の脳は既に食い尽くされているだろう、つまり今奴の体を動かしているのは蟲だ。


 残っているのは記憶だけか?それも蟲が食って蟲が利用しているということだな。


 男が再び高速で移動しながら攻撃を繰り出して来た。


「どうしたんだ、やめてくれシルクス兄さん」

 答えが来ない小僧の声が空しく響く。


 キーン、キーン、パキ、キーン・・・


 結界鎧も数回の男の攻撃で少しの綻びを起こすようだった。

 つまり何度も連続で攻撃を受けると危ないということだな。


 小僧を守りながら俺への攻撃を防ぐのも無理がありそうだった。


「小僧、邪魔だと言っているんだ、今のお前に何が出来るんだ」


 小僧にも今の状況が分かるのだろう「何も出来ない・・・」そう呟くのが聞こえた。


「お前の役割は姫、いや妹を守ることだろう!!傍に付いていてやれ、俺がやられたらお前が守るんだぞ」


 小僧は納得はしてなさそうだったが、自分の立場が分かっているようだった。

「馬鹿ジェイ、負けるんじゃないぞ、シルクス兄さんは強いんだ」

 そう言うとラミア達の所まで戻って行った。


 マクロ化した創成の術式を発現させる。


 術式により地下にある水が地価資源を取り込んで地上に上がって来る、その間に金属を高温で溶かし錬成していく。

  

 ズ~ン、ドカ~ッ、ザバ~ンと大きな水柱が立ち上がると直ぐに消えた。


 その後には俺の手に剣が一本残っていた。


「戦闘マクロ開始」


 身体高速化と並列思考のマクロが走り始める。


 俺は大きな声でロザリアとサンクスに聞こえるように叫んだ。

「シルクスという男を俺は知らない、だが今は蟲に操られた哀れな傀儡なんだ。悪いが俺はこいつを倒すぞ」


 ロザリアはそれを聞いて少し擦れた声を出していた。

「やめて、ジェイ様、シルクスを元に戻す方法があるはずです。何とか大人しくさせて下さい」

 サンクスも同じように叫び返してきた。

「そうだ、ジェイ、なんとか大人しくさせてくれ」


 ごめんなお前達の願いは叶えることはできない、すまないと思いながらも返事しておく。

「無理だな、こいつは蟲に食い尽くされているんだ。そうだもう人では無いんだ元には戻らない、諦めろ」


 ロザリアは一縷の望みを託してラミアに縋る。

「なんてことを・・・今の私にはなにも出来ないのでしょうか?ラミア様貴方様の癒しの力があれば治せるかもしれません」


 ラミアはロザリアを抱きしめた。

「無理よ、彼はもう死んでいるも同じなのよ。助けることは出来ない。そう唯一傀儡であることから解放することが助けることなのよ」


「そんなことって・・・」

 ロザリアは顔をラミアの胸に埋め涙を隠しているようだった。


「ジェイは分かっているのよ、だからすべての罪を被ろうとしている」


 ラミアの顔を見上げてロザリアが繰り返す。

「全ての罪を被る?」


「彼を解放する方法がひとつしかなくて、それを貴方達が出来ないことを知っているから」


 俺の剣は超音波振動を始めた。

 男の剣が俺に迫る時俺の剣は男の剣を薙ぎ払う、そして男の剣はアッサリ切れてしまう。


「馬鹿な、俺のミスリスの剣が切れるだと」


 ミスリルだって超音波振動する俺の剣の前では切れるんだ。


 そう思った時男は後ろに下がり呪文を唱え始めた。

 流石だ、剣が亡くなったので魔導で応戦して来るつもりだ。


 だがもう大勢は決まっている、後は俺がこの男を真っ二つにするだけだな。


「罪をジェイ様だけに・・・」

 そう何度も繰り返すロザリア。


 俺には火炎攻撃が飛んで来た。

 こんな攻撃は結界が弾き飛ばした、しかし防ぐにしても単調だった。

 スキルを記憶から真似してるだけだから結局蟲を操っている奴が遠隔で操作しているのだろう。

 蟲め、お前の攻撃は見切ったぞ、息の根を止めてやるよ。


 その時ロザリアは俺達の戦っている方向に振り返った。


 何かを思いつめたような顔で、その目は大きく見開き俺達を見ていた。


「我が名はロザリア・エス・セグリエ王女である」


 大きな声でそう言い放つロザリア。


「シルクスをそのような姿にしてしまったのは我が王家の罪、その後始末を・・・」


 そこまで言うと声がかすれるロザリア、多分涙が溢れているのだろう。


 だが気を取り直し、再度大きな声を出すロザリア。

「ジェイ様、セグリア王女として貴方に命じましょう。

 その者、いえ『シルクスを解放してあげてください、お願いします』」


 王女は自分の命令としてこの男を開放してくれと言っていた

 そうだ、自分が命令し俺は実行しただけということかい?


 無理をするなよ、小さなロザリア王女が殺しの責任を負うと言うのか?


 ここからは聞こえないが、ラミアがロザリアに声を掛けているようだった。


「頑張ったわね」

「私達のことで、ジェイ様、貴方に全ての罪を負わせるわけには行けませんから当然です」


 ここから分かるのは、それを見ていたサンクスは何度も頷いていることだった。

 何を話しているのだろうか?

 

「仕方がない真っ二つとか剣は使えないな」

 そう言うと剣を地面に差した、その剣はマクロ化した術式が地下資源に戻していった。


「王女の思いのままに!!」

 剣を手放して意味は解らんがそう言っておく。


 もちろん剣を捨てた俺をみんな心配しているようだった。


 火炎攻撃は続いていたが単調だった。

 相変わらずだ。記憶を頼りに遠隔地から操作している奴は馬鹿なのだろう。


 たぶん本当のシルクスという男なら俺は勝てなかったかもしれない。


 術式構築、マクロ化スタート。

 戦っている俺たちの上に無数の丸いものが創生される。


 この丸い結界内に雷が創成され続けている。


 雷は不規則に広範囲な周波数の電磁波を出す、この結界の半径はある周波数に共振する大きさにしてある。

 よって、その周波数で共振した電磁波がどんどん創成されている。


 そしてある臨界点に達した時に解き放つのだ。


 電磁波と言ってもスマホと同じマイクロ波であるので人体に影響はない。


 これを一斉に放射し一か所でクロスさせるとそこでマイクロ波のエネルギーは集中し最大となる。

 それぞれが数マイクロワットだったマイクロ波は集中することでトンデモ無いエネルギーを持ち、電子レンジと同じ効果を持って行く。


「マイクロ波ブレイク」

 そう叫ぶとエネルギーを一点に集中させた。

 一点とは男に取り付いた蟲が居るであろう頭の中心だ。


 何が起こったのか誰にも分からない、音は無くしかし男は耳と鼻から湯気のようなものが出て倒れた。


「「シルクス様」、「シルクス兄さん」」

 そう大きな声で叫びながら二人が走って来た。


 倒れた男は未だ生きている、蟲が死んだだけだからね。

 でも脳は殆ど残っていないだろうからそんなに長くは無いだろう。


「姫様・・」

 驚くことに、かすれるような声で男が何かを喋った?


「シルクス様」

 ロザリアが声を掛けた。


 おいおい、本当かよ、殆ど無い脳みそで喋っているよ・・・


「姫様、ご立派でございました、貴方様の大いなる情けに感謝いたします」


「何を言うのです、至らない王女で申し訳ありません」


「やつらは、奴らは・・・第三騎士団を自分たちのモノにするために、私に最初に蟲毒を施したのです。

 蟲毒の効果を確かめるために最初に我が家族を私に皆殺しにさせました。私は蟲に取り付かれ家族を・・・

 蟲毒がうまくいっていることを確認すると第三騎士団に戻したのですが、団員たちは思い通りには行かなかったようで、私の手で言うことを聞かない団員を始末させたのです。

 私は取り返しの付かない大きな罪を犯してしまいました、死んでも詫びられないほどの・・」


 どうやらこの男、本当に大きな残滓が残っているようだ、本来そんなに喋ることなど出来ないだろうに。

 だがその命も尽きようとしている。

 俺は気休めだと思われるが言葉を掛けた。

「心配するな誰も、お前が自分の意思でそんなことをしたとは思っていないよ、安心して皆の所に行けば良い」


 その言葉と共に小僧がたまらずひとこと言った。

「シルクス兄さん」


「亮ありがとう、サンクス、亮と一緒なんだな。良いな。俺も家族と一緒に・・・」

 それを最後に男は無言になった。


 やがてロザリアと小僧が泣き始めた。

 ラミアが二人を抱き締めて泣いていた。


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