サン(その1)
八賢者のもう一つのグループが目指しているサンブルド王国内のサンバンカ領。
そこにはグレンとゴーズが拠点を構えていた。
当初はゴーズの兵団のみであったのだが反乱軍の動きが活発化した最近は戦況が思わしくなくなった、
そこで現在は従魔軍団長グレンが直々に蟲を兵器として使うために派遣されていた。
ただし、それをよしとしないゴーズもザカール兵からヒントを得て強化兵士の研究を進めていた。
それは強化兵の開発を直轄の部下であるゼンガルに研究開発を実施させていた。
この強化兵の元になる理論はアンガーファイターである。
このためにサンバンカ領の施設には人体実験されるとは知らず数百名ののザカール兵が駐在していた。
八賢者の内の4名はグレンと蟲を駆逐するためサンバンカ領のに向かった。
その支援と、この地に連れてこられたザカール兵の迎えをするためにザカール兵も数名も当地について来ていた。
そうそう、四名の賢者は正体がバレないようにサングラスに帽子という姿であった。
その姿はある意味「人目につく格好」だった。
だが仲が悪いとされているザカール兵と共に歩くことで、反乱軍だとは悟られなかった。
彼らは一緒であることで普通に街中を歩くことができた。
四賢者の一人フリアは不思議がっていた。
「ザカール兵は数百名いるという話だったよな?
でもどういうことだ?ザカール兵の姿が見えないな?」
付いて来ていたザカール兵であるドリザも不思議がっていた、確かに数日前までは街を普通にザカール兵は歩いていたからだ。
「不思議ですね、少なくとも数日前までは通常に街中を歩いていたましたけどね?
そうだ、ザカール兵の厩舎があるのでそこに行ってみますか?」
「そんな暇はないな、できればすぐにでもグレンを始末したいんだ。
そうさ、すぐにでもグレンの研究施設を破棄し蟲を駆逐しなければならないんだ」
「では奴らの研究施設であるアルインカムに最初は向かいましょう」
「ザカール兵がほとんど居ないなんて不思議ですね」
そのころザカール兵たちはある場所に集められていた。
ゼンガルは集まったザカール兵に向かって指示をしていた。
「聞け、お前たちの仲間の居住区であるデザート方面隊ザフグルート基地が全滅した」
その話を信じられないといった表情をするものが多かったが、現場の映像が映しだされると全てのザカール兵は無言となった。
「悔しいだろう、だから残ったお前たちには、敵討をさせてやる、ただしその前に選抜試験を受けてもらう」
そういうと別室へ続く通路へと全員を案内して行った。
「なぜ全員で移動するんだろうか?
全員で試験をするんだろう?」
多くの兵は疑問に思った、だが通路の先にあるコロシアムに着くと事情が分かった。
「「なんだあれは・・・ゴーレムなのか?」」
「「まるでアンガージャイアントではないか?」」
「「いや違うぞ、アンガージャイアントは見たことあるが、もっと大きなものだ、あれでは黒い化け物・・・」」
その化け物は動かない黒い塊のようだった。
それは今はただ生きていることを誇示するように、大きな心臓の鼓動の音だけが聞こえていた。
「ルールは簡単だ、あの化け物はもうすぐ動き出すから、お前たちは全直でそれを倒せ、試験はそれだけだ」
ゼンガルは安全なところまで下がるとコロシアムを結果で封印し、大きな機器のスイッチを入れた。
それは動き出し、黒い塊は顔を上げた。
ザカール兵たちは驚きに震え始めた。
「「「あれは・・・あれは・・・あの額にある紋章は、まさか!?」」」
ザカール兵たちは、頭を上げたその無表情な顔に恐怖した。
そして動き出したそれは「バーサーカー」という心のない破壊兵器だった。
見ていたゼンガルも予想外だった。
ゼンガルは横にいた技術官とともに、安全と思われた場所から逃げ出した。
「おいおい、まさかここまでなのか?なんて化け物だ。
ともかくあの結界では持たない。
安全な第二観察棟まで逃げるぞ」
そして二人は逃げたが、コロシアムは凄惨なショーが繰り広げられた。
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グレンは通常街を歩くときに元セグリエ王国の従者を連れていた。
もちろん家族は人質に、その上蟲を取り憑かせている従者も含まれていた。
つまり数名の従者として扱われているセグリエの兵士たちはグレンに何もできなかった。
これら従者に守られたグレンは無敵だった。
そのグレンと取り巻きの護衛の集団を見つけ四賢者たちが近づいて行った。
グレンを前にするとザカール兵の一人が膝まづきグレンい懇願する。
「グレン様、大事なお話があります」
「どうしたのだ、ザカール兵如きがなんの用だ?」
横の四賢者を指差しグレンに説明を始めた。
「この者たちなのですが、反乱軍を捕まえましたところ、先日のザカール殲滅作戦の参加者であることがわかりました。
あのようなことの後です、我々も復讐をしたく思いましてね。
この者たちからいろいろな情報が聞けると思いまして、ぜひ蟲による自白をさせることをお願いできませんか」
前回のセグリア攻防戦でゴーズに手柄を横取りされた思いがあるグレンは少し思うところがあった。
(ほう、先日の話に関わる者たちか、なるほどゴーズを出し抜けそうな話だな)
そう考えたグレンは「分かった、俺が吐かせてやる」
自信満々にアルインカムの中に全員を連れて行った。
「そこで待っておれ」
そう命じると数名の護衛を連れて蟲を連れてくるために部屋を一時出た。
ザカール兵と四賢者は残った元セグリアの従者たちに話しかけた。
「安心しろ俺たちだよ」
フリアはサングラスと帽子をとった。
「フリア様・・・こんなところで正体を・・・大丈夫なんですか」
「大丈夫だ、ここには蟲に憑かれた者は居ない」
「えっ?」
「驚くことはない、我々は蟲に勝利する方法を得たのだ。
ここは今日で終わらせる、みんな手伝ってくれ」
その言葉を聞くと全員が頷いた。
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