おっちゃんの独り語り始めます…。
隼 一平
第1話 愛すべき ルパン三世
さて。始まりました おっちゃんの独り語り。
何から話そうかと考えてみたのだが
やはり私の中の大部分を構成しているアニメについて書くことにした。
私は50代のおっちゃんである。
アニメとは生まれた時からの付き合いになるのである。
何しろマジンガーZも宇宙戦艦ヤマトも機動戦士ガンダムも
リアルタイムで視聴していたのですよ。w
当時はまだアニメは「テレビ漫画」などと称されて
完全に子供向け番組と言う位置付けだったんだ。
そんな中で異彩を放った作品が ルパン三世 なのだよ。
アニメが子供向け一辺倒だったあの時代に大人も楽しめるアニメとして
制作されたルパン三世と言う作品。
友達の家で初めてリアルタイムで第1話を視聴した時の感想は
「かっこいい…。スゲーカッケーじゃん!これ!!」
実にあたりきな言葉しか出て来ないが心底そう思ったのだ。
ルパン三世のニヒルさ。
次元大介のクールさ。
峰不二子の大人の色気。
銭形警部のルパンに対する情熱。
どれをとっても子供向けアニメではない、
まるでドラマか映画を見ているような気持ちになった。
放送時間は月曜PM7:30からで
当時、小学生だった私にはギリギリ視聴可能だったのだが
毎週視聴することは出来なかった。
なにせ当時はテレビは一家に一台しかないのが当たり前で
そのチャンネル権は父か母が握っていたのだから。
しかし、当時は放送終了後でも見ることは可能だった。
そう、「再放送」と言うヤツである。
大体、平日の午後4時頃から6時半にかけて大量のアニメが
再放送されていたのである。
その中に ルパン三世 もあった。
人気の高い作品は何度も何度も再放送されて
それこそ「またルパンやってるよw」なんて状態になったものだ。
飽きずに何度も観たあげく、劇中のセリフをほとんど覚えてしまったよ。
そのうち中学生になり今度はこんな事を考えた。
「ルパン三世の爺様、アルセーヌ・ルパンとはどんな人だろう?」
私の中学のすぐ近くに書店があった。
そこで私は「新潮文庫・ルパン傑作集」なる本を見つけた!
全10巻からなるそれを1冊ずつ読んでいき
アルセーヌ・ルパンの魅力に惚れ込んでしまったのだ。
思えば私の読書遍歴のスタートが アルセーヌ・ルパンだったのだね。
そう考えると ルパン三世と言うアニメは
私の趣味のひとつたる読書に導いてくれた恩人…いや恩作品かww
その後のルパン三世は アニメ・Part2 が国民的アニメになり
カリオストロの城で不動の人気を得て
TVスペシャルやPart3、映画版も多数制作されて
現在に至るまで50年に渡って人気を維持しているモンスターに成長した。
いやはや何とも言葉を失う快挙ですなぁ。
この愛すべきルパン三世と言う作品を視聴していて
嬉しいことがあった。
最近制作されているルパン三世のスタッフたちの
原作「アルセーヌ・ルパン」へのリスペクトが実に深いのである。
2018年に放送された ルパン三世・Part5。
この中の1エピソードに
「探偵ジム・バーネット三世の挨拶」というのがある。
このジム・バーネットと言う探偵。
実はアルセーヌ・ルパンなのである。
新潮文庫・ルパン傑作集に
「バーネット探偵社」と言う1冊がある。
アルセーヌ・ルパンがジム・バーネットと名乗り私立探偵を
パリで開業しているのだ。
この探偵社の売りは「無料調査」!
しかし実際は依頼された事件解決の過程で何らかの「利益」を
かっさらっていくと言う実にルパンらしい「探偵」なのだ。
しかも依頼人にはその事実をつかませないと言う見事さ。
気がついているのはバーネットの所へ依頼を持ち込む
パリ市警のベシュ刑事だけ。
このベシュ刑事とのやり取りや関係性はまるで
ルパン三世と銭形警部の関係を思わせてくれて
非常に面白いのだ。
もっとも「バーネット探偵社」のほうが遥か前に発表されているし
ルパン三世の作者・モンキー・パンチ氏も
「ルパン三世に対するライバルとして銭形を出した。」とインタビューで
話されていたから
これは偶然の一致でしかないのだが。
「バーネット探偵社」は9編からなる連作短編でその8編目
「白手袋…白ゲートル」と言う作品が
「探偵ジム・バーネット三世の挨拶」にリスペクトされている。
具体的にはネタバレになるので書かないが
そのエピソードにおけるトリックが「白手袋…白ゲートル」の物なのである。
アルセーヌ・ルパンのファンでなければ知らないであろうエピソードを
持ってきた事も素晴らしいが
図らずも探偵役となったルパン三世が「ジム・バーネット三世」と名乗るなど
実に粋ではないか!
ほかにも2020年に公開された「劇場版ルパン三世 The Farst」の中で
重要なアイテムとして出てくる ブレッソン・ダイヤリーにかけられた
鍵の開錠方法も
新潮文庫・ルパン傑作集 「ルパンの告白」の冒頭エピソード
「太陽のたわむれ」で使われた物だったりするのだ。
この2つの例を見ても制作スタッフがルパン三世だけでなく
アルセーヌ・ルパンをも深く愛しているのが良く分かる。
これほどファンだけでなくスタッフにも愛されるルパン三世。
まだまだ彼の活躍は続いていくのだろう。
ますます素敵な冒険を私たちに見せてくれる事を確信して
次回作を楽しみに待つことにしよう。
第1話 End
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