第5話 手書き・ワープロ・PC・スマートフォン。
さてさて、久しぶりに独り語りを始めよう。
私は活字中毒の気があって暇があれば
この カクヨム などの投稿サイトを巡って
いろいろな作品を読んでいるのだが。
非常に気になっている事がある。
私の読んでいる作品の内
かなりの部分で誤変換や接続詞の間違いが
見受けられるのだ。
それらは大抵の場合
コメント等で指摘を受けても
修正される事はまれで
そのままになっている。
これは良くない事なのではないだろうか?
文字を使って記述するのであれば
それを正しく使用するのは当たり前で
間違えたなら修正する。
それなのに放置するのは
作家として作品に対する姿勢としては
真摯さに欠けると思うのだが
いかがだろうか。
書店に並ぶ書籍では
誤字・脱字・接続詞の間違い等は
ほとんど見られない。
なぜか?
それは書籍化されるに当たって
「校正者」と言うスタッフが
付くからである。
彼等は作者から渡された原稿を精読し
誤字・脱字・接続詞の間違い等を指摘して
「正しく書き直す」のが仕事だ。
時にはストーリーの中で
説明不足になっている箇所を指摘して
その箇所をより分かりやすく
改稿してもらうなんて事も作者に依頼する。
そんな彼等の仕事があった上で書籍として
書店に並ぶ訳だ。
だから、私達が書店に並ぶ作品を手にし
読んだ時には変な違和感を感じる事なく
作品世界へ没入できるのである。
では、投稿サイト作品の場合は?
そこには作者しか存在しない。
校正者はいないのだ。
即ち、作者の「日本語に対する理解度」が
端的に作品に表れる事になる。
考えようによってはこれほど怖い事もない。
自分の知識・教養・社会的通念などなどを
世間に晒すになるのだから。
さて。
私は50代のおっちゃんである。
これが何を意味するのかと言えば
テクノロジーの進歩によって変化してきた
「記述」の有り様を
リアルタイムで経験してきたと言う事だ。
私が十代の頃、ワードプロセッサーなる物が
普及してきた。
それまではなにかを記述するには手書きしか
手段がなかったのだ。
手紙や何かの書類を作成するにしても
自らの「手」を動かして文字を記述する。
そこで問題となるのが
「書いた文字の美しさ」なのである。
現在でも通信講座で
ボールペン習字がある事で分かるように
書いた文字の美しさは、その人の評価を
ぐぐっと上げてくれるのだよ。
だから、今からおよそ40年前には
「文字を美しく書ける事」は
就職する際に強力な武器になり得たのだ。
だが、ワードプロセッサー(ワープロ)の
普及によって状況は変化した。
人は自分で美しい文字を書く事を
強制されなくなったのだ。
ワープロに入力した文章を印字する。
出来上がった物は活字印刷と変わらない
「美しい文字」が並ぶことになる。
この時点で個人の評価から
「美しい文字を書ける」と言う項目は
事実上、消滅したのだ。
もっとも、現在でも
友人や恋人に送る手紙を記述するのには
手書きが主流だろう。
プリンター印字の冷たさより
手書きの文字の暖かさの方が
相手に自分の気持ちを伝えるのには
ふさわしいだろうから。
たとえ、それがどれ程下手くそな
文字であっても。
時代は進み、私が20代後半に差し掛かる頃。
ワープロは姿を消して行った。
これはPCが家庭に普及して
ワープロ・ソフトが実装された事が
影響している。
ソフト名で言えば「一太郎」が
当時ではメジャーな所だろう。
現在で言えば「Word」になるかな。
さて。
ワープロからPCへ記述ツールは変わったが
変わらない問題も存在する。
それは「文字を正しく使いこなす」事だ。
日本語は記述する際に
表音文字のひらがな・カタカナと
表意文字の漢字を混合させた
世界唯一の形態を持っている。
この漢字の使い方が厄介なのだ。
同音異義語。
単純な言葉であるほどその数は多くなる。
これこそが投稿サイト作品の
誤変換をもたらす主な原因な訳だ。
例えば「きる」と言う言葉。
漢字に変換しようとすると…
切る・着る・斬る
主要な物だけで3つ出てくる。
その中から記述内容に相応しい文字を
選ばなくてはならない。
そのためには文字が表す意味・動作・情景を
知っていなくてはならないのだ。
幸いにも日本で義務教育を受けた私達は
かなり多くの漢字を学習・習得しているので
記述に困る事は少ないだろう。
だが、国が定める常用漢字だけでも
2000文字以上もある。
希なケースで使用される漢字に至っては
いくつあるか…。
私達はその中から記述にふさわしい漢字を
意識的・無意識的に係わらず
選択しているのだ。
何気に凄い事をやっているとは
思えないかい?
誤変換が起きる原因として
同音異義語を指摘したが
他にも現在ならではの要因も
指摘しなくてはならない。
それは あなたが手にしている
スマートフォンと言うツールだ。
スマートフォンで記述する場合
画面上のキーボードで入力し
漢字に変換しているはず。
しかし、その作業スペースは実に小さく
タップが1cmずれたら
自分の選択とは違う文字に
変換されてしまう。
明らかな間違いは気づくとしても
作家の習性としてストーリーの記述に
集中してそのまま進行。
結果として修正されないまま
投稿・公開となる。
ただ、この誤変換放置を防ぐ
実に簡単な方法があるのだ。
プレビュー表示して自分で読んでみる事。
公開前にこの一手間を掛ければ
明らかな誤変換や
違和感を覚える接続詞の使い方などを
修正出来るはずだ。
なのに、それをしないのは
作者の怠慢と言うべき物ではないだろうか?
一気に書き上げてぶっぱなす!
それも良いだろう。
だが、明らかな誤変換は作者である
あなたの評価を下げる事になりかねない。
よくよく注意して
投稿前に確認を忘れないように。
老婆心ながらご忠告申し上げる次第である。
今回はここまで。
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