第8話 TANK! JAZZのフレキシブルな世界

Tank!と言う楽曲を君は知っているだろうか?


アニメ:カウボーイビバップのOPソングとして

菅野よう子&シートベルツが演奏したJAZZの神曲だ。


カウボーイビバップは宇宙開拓が進んだ未来世界で

賞金首を捕らえる「カウボーイ」スパイクとジェットが活躍する

アクションストーリーである。


ストーリー自体も非常に面白いのだが

注目すべきなのはBGMの方かもしれない。

タイトルに記した Tank!は日本のみならず世界中で

カバー演奏されているスタンダードナンバーになっているのだ!


JAZZは3人編成のトリオや4人編成のカルテットが目立っているが

このTank!は8人以上で編成される「ビッグバンド」により演奏される。

当然、音の厚みも迫力も桁違いになるのだが

注目すべきは「アドリブ」パートなのだ。


曲の中盤にアルトサックスのソロパートがあるのだが

ここが「アドリブ」パート。


アドリブは「自由表現」とも訳される。

つまりこのパートは譜面がなく演奏者の自由に演奏して良いのである。


もちろん曲のベースとなる他の演奏者は譜面通りに演奏する。

つまり、アドリブを許されたアルトサックスの晴れ舞台と言う訳だ。


CDの場合は録音された時のアドリブしか聴くことができない。

しかし、LIVEの場合はどうだろう?

演奏者のノリで全く違うアドリブが披露される!

演奏者が同じであっても演奏するごとに変化するのである。


JAZZの演奏は会場の熱気、演奏者のコンディションやその他の状況によって

演奏パフォーマンスが格段に変化する。

その演奏は一期一会と言っても過言ではないだろう。

これこそががJAZZの醍醐味なのだ。


Tank!のソロパートは基本的にアルトサックスが演奏するのだが

バンドによっては違う楽器が担当することもある。

ソプラノサックスだったり、トロンボーンだったり。

あるいはアドリブパートが2っ以上組み込まれる事もある。


アルトサックスとバスサックスとか

アルトサックスとトロンボーンとかの組み合わせを

YouTubeの動画で確認できた。


他にも演奏開始から2分程度、パーカッション(ボンゴかな?)を

フューチャリングしたような物や

曲のラストにドラムソロを組み込んだ演奏もある。


それでも曲としてのTank!は破綻していない。

それはJAZZと言う音楽の持つフレキシビリティの賜物だろう。


このフレキシビリティはどこからもたらされるのかと言えば

JAZZは基本的にエンドレスで演奏可能だと言うことだと思う。

基本的なベースとなるメロディーを1つのパッケージにして

繰り返し演奏するわけだ。


アドリブ奏者はそのパッケージに収まるように自由に演奏する。

当然、高い技量と曲を破綻させないセンスを求められるのは言うまでもない。

つまり、JAZZメンにとってアドリブを任せられると言う事は

一流の証であり誇りでもあると言えるだろう。


曲を終わらせる時には指揮者がキューを出して

ラストフレーズへ曲を導く。

こうして演奏は完結すると言う訳だ。


今回、これを書くに当たってYouTubeでTank!の演奏をいくつも観た。

日本では高校の吹奏楽部や自衛隊の音楽隊が。

海外では有名バンドや市民クラブがTank!を演奏している。

それは、どれも他とは違うアドリブを効かせた素敵な演奏なのである。


ぜひとも、YouTubeで Tank! を聞き比べて欲しい。

譜面と言う型に縛られない、自由なJAZZと言う音楽を知り

楽しんで頂きたいと思うのであります。


本日はここまで。


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