第3話ステータス
王角達が魔王との戦い(という名の戦争)に参加することになったので(俺は未だに反対だし、先生も認めていない)戦うための方法、力の使い方を教わらなければならない。強大な力があるとはいえ、元々は平和で安全な日本生まれ日本育ちなので、魔物に相対するだけで命の危険があるだろう。
しかし、そこら辺の事情がわかっているのかメチルク宰相から今後の説明があった。
「明日からは魔法の使い方、武器の使い方をお教え差し上げます。とはいえ、御使い様方にはかなりの才能をお持ちなのですぐに魔法も武器も扱えるようになると思います。」
魔法!?やっぱり魔法があるのか!?それを聞いてとてもつもなくテンションが上がった!
周りの男子も目をキラキラさせている。分かるぜ!?憧れだもんな!
「そうして実力が身について頂けたら我が帝国にあるラギルダンジョンに挑んでレベルを上げて頂こうと思っています。」
ダンジョン?そんなものがあるのか?そんなことを思っていると
「すみません。ダンジョン?というものはなんでしょうか?」
さすが王角。分からないところがあるとどんどん聞いてくれるのは正直ありがたいな。俺のことを嫌っているけど。
「あぁ、了解しました。まずこの世界には八大ダンジョンというものが存在致します。なぜそんなものがあるのかはいまのところわかっていません。ただ、はるか昔この世界をゼ
ヘム様が創設した時に作られたのでは?と考えられています。そしてダンジョンとは魔物が住む危険地帯だとお考えください。そこならば魔物を簡単に見つけることができ、上層ならば一般人でも倒せる比較的弱い魔物しか存在しないので、レベルアップと同時に魔物を倒すことに慣れて頂きたいのです。」
なるほどな。ダンジョンの説明はよくわかった。まぁ、そんなものをゼヘムが作ったのならば、人を殺そうとしているようにも思えるがな。
「ついでにラギルダンジョンから魔物が出てくることはありません。出たとしても門番の兵がいますので、安心して過ごせているのです。現在60層まで確認できていますがそれ以上は確認されていません。より深いことはわかっているのですが。」
そんなに深いのか?それより深いとなるとそれを作ったやつは少し馬鹿なのか?とも考えてしまった。こんなこと口に出したら、王様や宰相から追放命令が降りそうだが…
「以上で説明は終わりです。他に質問はございますか?」
しー…んと鎮まった。王角も疑問に思うことは無いようだ。しかし、
「すみません、この世界での生活の中生徒の皆さんの安全は保証して頂けるのでしょうか?」
リサちゃん先生がそう尋ねた。
当然であるが、そういえばそうだなと思い、生徒の安全を第一に考えてくれている先生を尊敬した。
「この城に滞在中は衣食住は保証致しますし、御使い様一人一人にメイドを、おつけします。普段の生活で困り事があればそちらに申し付けください。訓練も命を落とすほど危険なものではございません。それにダンジョンでの探索も御使い様のレベルに合わせて進むつもりですので、ご安心ください。」
それを聞いて安心した。りさちゃん先生もほっとしていた。しかし訓練や探索で命を落とすことは無いけれど怪我をすることは多そうだな。痛いのは好きでは無いのだがな。
男子はメイド!?と聞いて鼻の下を伸ばしていた。そんな姿を見て女子は白い目で見ていた。こんな時になんでなんなに余裕でいられるのだろうか?馬鹿なのか?
「それでは神殿の方に移りたいと思います。そこで先程言いましたように職業などの説明をいたしたいと思います。」
しょ、職業…そのことをすっかり忘れていた。それよりも移動しなきゃならないのか。面倒だな。
そう思いつつも王様、シャルロット皇女、メチルク宰相と兵士と共に神殿に向かった。
「ようこそ、いらしゃいました。御使い様方。お待ちしておりましたよ。」
そう言って出迎えたのは明らかに神官と思えるような人だった。金色と白の混ざった法衣と三角錐の帽子をかぶり、錫杖のようものを握っていた。
その左隣にはシャルロット皇女に似た服装をきた女性が1人と右には青と白の貴族を思わせるような服を着た金髪のイケメンと赤い髪のイケメンがいた。
「紹介しよう。私の娘と息子たちだ。」
ラフター王がそういうと
「初めまして、第二皇女のアリスです。」
言われてみればシャルロット皇女に似ている。髪の色が特にそっくりだ。ただ、髪の長さが首あたりまでだが。
「初めまして、僕は第一皇子のレオンです。」
「第二皇子ユーリです。」
と金髪と赤い髪のイケメンが自己紹介してくれた。
男子はアリスに、女子はレオンとユーリに黄色い声援を上げていた。そうするとレオン皇子が笑みを向けた。
きのせいだろうか…その笑顔が住野さんに送られている気がする。まぁ、気のせいでないのなら俺としては少し喜ばしいんだがな。レオン皇子優しそうだし…俺の嫉妬の目線も無くなるだろうし。
しかしあまりラフター王に似ている感じがしないなぁ。
そんなことを思っていると、」
「それでは「ステータス」と唱えてください。そうすると自分の今の能力が見せるはずです。」
まじかァ!やっぱりステータスとかあるのね!サイッコーだぜ!早速唱えよう!
「「「「「「ステータス」」」」」」
そうすると
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司馬太一
年齢 17歳
性別 男
レベル 1
職業 無
属性 無
筋力 50
魔法耐性 30
物理耐性 45
敏捷 40
魔力 10/10
体力 30/30
スキル
言語理解 鑑定
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は?
目を疑った。まだ平均値を知っている訳では無いからなんとも言えないのかもしれないがさすがにこれは低いだろうと思えてしまう。それもそうだろう。
職業が「無」ってどういうことだよ!?無職ってことか?!明らかにダメじゃねえか!?しかも属性まで「無」ってなんだよ!ハズレ要素満載じゃねぇか!?こんなもん明らかに弱い類じゃねえか!?
これを声に出さずに心に留めた自分を褒めてやりたい。
でも、1つ納得したことがある。みんなが力がみなぎるって言ってたことは恐らくステータスが関係しているのだろう。俺は恐らくステータスが低い。だからこの世界に来た時何も感じなかったのではないか?
ま、まぁ…希望を捨てては行けない。もしかするとこのステータスが1番高いのかもしれないのだか…
そんなことを思っていると…
「司馬くん、どうだった?私一人だけのじゃ自分のステータスがいいのか分からないから。ちょっとだけ教えて貰ってもいいかな。」
住野さんが少し緊張感を漂わせながら話しかけてくれた。今の一瞬でかなりの視線を浴びた。こんな時までそんな目で睨まなくてもいいと思うんだけれど…
しかし、これは都合がいい。俺の予想を打ち砕いて欲しいのでとても有難い。
「あ、あぁ…いいよ。でも、先にステータスを見せてくれない?」
陰キャ丸出しである。住野さんに話しかけるのは少し…いや、かなり緊張する。これは宿命だ。
「うん!わかった。ステータス!」
そう言って見たステータスは衝撃的だった。
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住野桜
年齢 17歳
レベル 1
職業 賢者
属性 全
筋力 150
魔法耐性 450
物理耐性 400
敏捷 350
魔力 600/600
体力 500/500
スキル
言語理解 魔法を司る者 全属性適正上昇
全属性耐性上昇 高速詠唱 魔力回復上昇
全属性威力上昇
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驚きである。口がふさがらない。これを陽気に見せに来たのか?俺のステータスを知らないとはいえ、これは俺の心に響いた。完全に俺の心を折りに来ているとしか思えない。自慢か?
もちろん、住野さんがそんなことをする人ではないとわかっているのだが、冷静さが足りず混乱してしまう。
「ねね?どうかな?次は司馬くんのを見せてよ!」
「あ、あぁ…」
どうしよう…めっちゃ見せたくない。筋力でも負けているとか見せたくない。そう思っていると
「ステータスの確認はできたと思う。」
神官がそう語ってきた。住野さんもその話に耳を傾ける。
た、助かったァ…
この時ばかりは王や神官たちが救世主に見えた。
ありがとう!!!感謝する!
「それでは今から御使い様のステータスを一人一人公開してもらおうと思う。」
一瞬で身の前が真っ暗になった。謝礼を返せ。
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