第23話昔話

俺とルアは空間の歪みから出て、元いた場所に戻った。


なんかあんまり戻ってきたーっていう感じがしないな。まだダンジョン内だからか。


「あっ、そうだ、ルア。鎖で縛られてるときにルアのステータスが見えなかったんだけど」


「んっ?そうなんだ?鎖の影響じゃない?今なら見える?」


試してみるか。


「鑑定」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ルア

年齢 1075

性別 女

レベル 59

職業 熾天使

属性 反


筋力 6500

魔法耐性 3500

物理耐性 7000

敏捷 7500

魔力 20000/20000

体力 7500/7500


スキル

全属性適正上昇 全属性耐性上昇 物理耐性上昇 物理威力上昇 魔力回復量上昇 魔力操作 無詠唱 複合魔法


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


強くね?俺より普通に強いと思う。レベルはそこまで変わらないのに。


それと年齢だよ。あの鎖に捕まってる間に時間流れないって書いてたけど、歳はとるんだな。かなりのババァに説教みたいなことしたのか。


「…タイチ、今変なこと考えたでしょ?」


「………いや、何も考えていない。」


恐い。冷や汗が出たぞ!話題を変えよう!


「ルア、属性がアンチってなってるんだけどこれ何?」




「えーっと、私はユニーク属性持ちでね。私は魔法をはね返すことが出来る属性」


「魔法を…はね返す?」


意味がわからないな。そのあとの説明を受けると分かりやすかった。


「うん!例えば火の魔法が私に向かって来るでしょ?それを私は2倍にしてはね返すことが出来るの!もちろん弱体化なんかの魔法もはね返せるよ!」


「じゃあ、ルアを強化する魔法がきたらどうするんだ?」


「?タイチは常に魔法を使ってるの?」


あぁ、そうか。俺だって全てのベクトルに魔法を発動させている訳では無い。つまり、ルアを強化する魔法をはね返さなければいいのか。


しかもはね返すのにそんなに魔力は使わないらしい。


え?最強じゃね?って思ったけれど物理攻撃とスキルには作用しないから、デメリットもあるらしい。





「タイチのステータスは?」


そう言われたので俺のステータスを教えた。


「へぇ〜。ユニーク属性なんだ。珍しいね。仲間にもほとんどいなかったのに。それに「無」職なんて初めて見たよ。」


笑ってはいないが驚いていた。本当に初めて見たんだろうな。1000年前にもいなかったとなると、本当に過去に1人も存在しなかったのではないか?と疑いたくなるな。同じ「無」職を探すより、この世界で職業安定所を探して、転職した方が早いんじゃないか?


「でも、「無」職って悪いことじゃないって勇者も言ってたよ。」


「勇者!?」


勇者だって!?忘れかけていたが、まだルアの種族とか過去とか聞いていない!でも、天使がいる時代の勇者は多分初代勇者の事だ!


「悪いがルア。お前の覚えてる記憶のこと俺に話してくれないか?辛いことはわかっているが…。」


「うん。分かった!」


そこからルアに聞いた話は衝撃的だった。


まずやはりルアの種族は天使族らしい。


天使族は悪魔と戦争をしていて、天使族は有利だった。理由は天使族側に勇者と呼ばれる異世界人がいたから。


だけど、突然悪魔が強くなりだした。原因は悪魔に王が出現したから。それはどういう存在なのかは分からなかった。天使族は悪魔の王を「魔王」と呼んだ。勇者は魔王の討伐に専念して、倒すことに成功した。


そして天使族も悪魔の討伐に成功したらしい。ルアは何度か勇者に会ったことがあるんだって。


童話は本当だったんだ。勇者と魔王の登場の順番が逆だけど。だけど、今の時代に天使はいない。悪魔もいない。だけど魔王はいる。それをルアに伝えてみると、


「う〜ん、その時代には人族も亜人もいたからね〜。悪魔も根絶やしに出来た訳じゃないよ?強力すぎる悪魔が7体いて、そいつらは仲間の犠牲もあって封印したんだよー。その悪魔以外にも、何体かは生き残ってたと思うよ?多分そいつらが人間とか亜人と交ざって魔人?になったんだろうね〜。私はあの部屋にいた記憶もないから悪魔を討伐した後は覚えてないね。でもそっか。天使族はもう居ないんだ…。嫌な記憶があっても仲間がいないのは寂しいな。」


強すぎる悪魔もいたんだな。っていうか封印か…。それが解けたりしないのか少し心配だな。そんなことより…、今はルアの寂しそうな顔を何とかしないとな。


「安心しろ。お前の昔の仲間はもういないかもしれないが、今は俺がいる。お前の居場所は俺の隣だ。だから笑ってろ。」


「うん!!」


やっぱりルアには笑顔の方が似合う。俺もルアの寂しそうな顔は見たくない。


「ん?そういえばルア、お前の黒い翼は生まれつきなのか?」


「え?黒い翼?うわっ!ホントだ!!私の翼が片方黒い!!なんで!?」


今頃気づいたのかよ。ていうか生まれつきじゃないのね。なら、何かしらの原因があるはずだけど…。


今のルアの慌てっぷりから原因は知らないぽいな。今も羽を取って白い羽と黒い羽を見比べてるし。


こいつの記憶が一部無くなっているのも何かしらの理由があるのかもな。


そうこうしていると、目の前からオオカミ型の魔物がやってきた。俺が戦闘態勢を取っていると、


「私に任せてよー!腕慣らししたいし」



と言うので今回は任せることにした。どうやってルアが戦うのか見たかったので、ちょうど良かった。


「ファイアーランス!」


突っ込んでくる狼をかわし、無詠唱で魔法を生成し、真横に来た魔物に当てた。一撃だった。


だが、そんなことより驚いたのは…


「ルア…なんでお前…の魔法を使ってるんだ?」


属性を見た時には火属性なんて書いてなかったぞ?!


「?あぁ、分かった!天使族や悪魔って基本属性は全て使えるんだ♪その上でユニーク属性を授かった者はユニークも使えるんだよ。」


マジかよ。信じられないな。俺も魔力を使えば火を出すことは出来るが、マッチ程度の火だぞ?


つまり、天使族にとって基本属性は使えて当たり前だと。だから、書いてなかったのか。


同じユニーク属性を、持っていても他の属性の魔法も使えるのは強力すぎる!


そんな天使族が戦っても勝てなかった7体の悪魔って確実にユニーク属性持ちだろ。意外とユニーク属性って多いのかもな。そんなに多いなら俺と似たようなユニーク属性もあったのかもしれない。そいつがルアをあそこに閉じ込めたんだろうな。


「でも、人間でユニーク属性を見たのは勇者1人だよ?どんな効果は知らないけれど、他の属性の魔法は使えなかったよ。」


俺が落ち込んだと知ってフォローしてくれたのだろうか?まぁ、今の勇者も持ってなかったし、やはり珍しいのだろう!


それに初代勇者もユニーク属性だけで魔王を倒したんだ。俺も何とかアイツらに復讐だろう。


「ねぇ、今度はどうしてタイチがここにいるのか教えて?」





後書き

少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをたくさん下さい!

活力になるので!


感想もお待ちしております!!


「君を好きになるなんて絶対にありえない!」もよろしくお願いします!!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る