第47話決闘②
Sideルア
私とエマちゃんは観客席に座ってタイチの応援をしていた。
「ねぇ、今更だけどルアはいいの?」
「ん?何が?」
「…その、私とタイチが婚約することについて。」
「?全然いいけど?」
「タイチがルアにかまう時間も減るかもしれないのよ?」
「あぁーウーン、確かにそうだね。」
「それならっ!?」
「それでも良いよ。」
…タイチは私のことを何より優先して行動している。同じように私も基本的にはタイチ優先に行動している。
ラギルダンジョンを攻略した時、タイチは私に支えられてきたって言っていた。まだラギルダンジョンにいた頃「ルア」っていう名前には光って意味があるって言っていた。
でも、それは全部逆。逆だよ。タイチはずっと私を支えくれた。本当に光なのはタイチの方だ。タイチは、永遠に続くように感じる深い暗闇の中にいた私を、ドン底で太陽が届かない場所さえも照らす光だ。
タイチは私の過去を気にしてる。同じように私もタイチの過去を気にしてる。タイチは今も少し自分の過去を気にしてる。復讐しないって言ってたけど許すつもりは毛頭ないんだろう。私もそいつらを許すつもりは無い。
タイチは私の過去が自分より酷いものだから少しは楽しませようとしているんだろう。タイチが私を殺さなかった責任を取ろうとしているのかもしれない。でも、私にも同じようにあの時復讐を辞めさせた責任がある。そんな気持ちを忘れさせてあげなきゃいけない。
タイチは悪人に見せるかもしれないけど実際はそうじゃない。みんなは人をあんまりよく見ないから誤解してしまう。けど、エマちゃんはタイチをしっかり見てくれた。
「それ以上にタイチの魅力が誰かに伝わって嬉しいから!」
「ルアはすごいわね…。」
「あっ!でも1番は譲らないよ!」
「ふふ。絶対にタイチの1番になるのはこの私よ!」
そうしてエマちゃんと笑いながらタイチの試合を観戦していた。
タイチの相手の方大丈夫かな…?タイチが怒って殺しちゃわなきゃいいけど。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Sideタイチ
観客は騎士団長が勝つと確信しているのか騎士団長の応援コールが鳴り止まい。
「はじめっ!!」
審判の大きな合図とともに俺たちの試合が始まる。
観客に
俺が観客の方を見渡していると…
「どうした!?攻めてこないのか!?それとも今更武器画ないことに怖気付いたわけじゃないよな?」
余裕だな。さて、試合が始まる前にやることやらないとな。
「あんたにひとつ聞きたいことがある。」
「ほぉ、何だ?」
「何でこの代理戦に出たんだ?」
「ファーレン公爵に頼まれたからだ!」
「あぁ、もっと分かりやすく言おう。ファーレン公爵に何を餌に釣られてたんだ?」
ピクっと眉を動かし、少し動揺するがすぐに元に戻る。
「それはだな……」
すると急に騎士団長はトップスピードで俺の元に来た。そして俺の頭に剣を振り下ろそうとしている!
「答える前にひとつ忠告だ。戦闘中にお喋りは良くないぞ。」
「戦闘?お喋り?何を勘違いしてやがる。」
俺は指の間で刃を止める。真剣白刃取りの指バージョンだな。
俺は騎士団長の方を向いて…
ドゴォォォンっ!!
俺は騎士団長の腹に蹴りを入れる。そのまま騎士団長は武器を手放し、壁際までぶっ飛ばされてしまう。
その衝撃音で観客の応援コールもなくなりシーンとしている。
「これはただの暴力だ。それにお喋りじゃない。拷問だ。」
俺だっていきなりこんなことするつもりはなかった。たださっきの一撃は確実に命を狙ったものだった。事故死扱いになるとはいえ明らかに殺そうとしてるんだ。むしろ殺さなかったことを幸運に思って欲しい!
なんとか騎士団長は立ち上がる。
「よし、続きだ。何を餌に釣られたんだ?」
「ふぅ!ふぅっ!!貴様ァ〜!!」
なんか知らんけど怒ってるみたいだな。暴力とはいえ決闘中だぞ?冷静さを失えば敗北確定だろうが。
「もう許さんぞ!!」
騎士団長は腰に提げたもう1つの剣を抜く。刃の先まで赤と黒で色塗られた剣はどこか異質なものを感じさせる。
鑑定してみると筋力を150あげるだけの剣だったが。
脅威でも何でもないが相手が本気ということはよく分かる。
「ガァ!」
騎士団長は先よりもはるかに速いスピードで俺に迫るが、動きが愚直なので簡単に捌くことが出来る。これなら帝国の騎士団長の方が手強かったかもしれんな。
俺はこのままどうやって試合を終わらそうか…と考えていたその瞬間だった。
ドォォォン!!!
それはこの世界にはある筈のあるはずがないものの音だった。
「それをどこで手に入れた?」
「ヒっ!?」
騎士団長を気絶させ、先程の犯人であるファーレン公爵の後ろに立った。
「その銃をどこで手に入れたァ!?」
そう。ファーレン公爵が手に握っていたのは手銃。俺に向かって弾丸が放たれていた。ルア達がどこにいるかなぁ?っと観客席を見ていた時にファーレン公爵がどこにいるかを知った。
俺は現在人差し指をファーレン公爵の首に当てる。
「剣なんざ使わなくても爪だけでお前の首を斬るのは簡単だぞ?早く答えろ。10秒以内だ。答えなければお前を殺すっ!」
ファーレン公爵の顔は既に青ざめていた。
「てっ、帝国だ!帝国で御使い様達と武器職人が作ったんだ!そ、それを譲り受けたんだ!!」
御使い!?あのバカ共!!何してやがる!
俺は手銃を奪い取り、訓練場から出た。
観客も審判も心ここに在らずという状態だが、そんなものは無視した。
「タイチっ!!」
出たところには既にルアとエマがいた。
「うぉっ!」
エマは俺を見るやいなやすぐに抱きついてきた。
「…心配したんだから…。」
「そりゃ悪かった。そもそも俺があんなクズ野郎の代理に負ける訳ないんだけどな。」
「タイチ、怪我はない?私が治してあげよっか?膝枕もついでに!」
ルアがそんな魅力的な提案をしてきてくれた。
「頼む。」
俺はルアに膝枕をしてもらおうとした瞬間に…。
「タイチ殿。先の決闘について少し聞きたいことがある。」
王様が出てきた。
「はぁ。わかった。」
ルアに今すぐに癒して貰いたいが、王様に話があるのは俺も同じなのでそちらを優先した。
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