第12話裏切り

ラギルダンジョン20層


「王角様!光魔法で奴らの視界を!」




「わかりました!我が魔力を糧に我が敵の視界を光で奪え!フラッシュ!!」




「よし、今だ!大垣様!私と共に魔物を蹴散らしてください」




「おぅよ!うぉぉらー!」




「よし、これで全部だろう…。ありがとうございます。王角様、大垣様。」


「礼には及びません」「気にするな!」




どうやら魔物の討伐に成功したようだ。




俺たちは特に大きな怪我をすることなく20層まで来ていた。さっきは、急に蜂型の魔物が大群で襲ってきた。戦闘力の高い3人で迎撃した。




俺は上手く逃げ回っていた。3人が仕留め損なった魔物を身体能力強化を使い逃げて、シールドで攻撃を防ぎ、その瞬間に持っていた剣でしとめた。それを繰り返した。




今回は魔物が群れていたので、王角と大垣が協力していたが、ここまではほとんどなかった。ラクルス団長1人で戦い、魔物を真っ二つにしていた。これがラクルス団長の本気だと思う。俺から見てだが、強すぎる。王角とは経験やら、鍛え方が違う。




いつか、クラスのみんなはこの人より強くなるのか…。今では考えられないな。




20層まで来ると少し魔物が弱くなってきた。Cランクの魔物も大して現れていない。この調子で進めば、無事に戻ることが出来ると思う。




住野さんも多分心配していると思う。最後に俺の事呼んでたし。それに約束したからな。




死なないって。




だから俺は生き残る。絶対に、この4人で。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ラギルダンジョン10層




俺たちは橋の上にいる。この橋を渡ると、階段があり9層となる。橋の下はとんでもないことになっている。下が見えず真っ暗だ。落ちたら即死となるだろう。




ここまで来ると、5層まで戻ることは簡単だろう。9層からはEランク級のモンスターしか現れない。無事にこのダンジョンを出ることが現実的になってきた。




もちろん油断は出来ないし、していないがな。




19層からも戦闘はとても多かった。しかし、ラクルス団長だけでなく王角も大垣も積極的にサポートしていることもあり、比較的安全にここまで来ることができた。




もちろん俺は上手く立ち回り、戦闘には参加していない。魔物もあまり倒していない。そのせいか俺はまだレベルが1のままだった。




王角はレベルが13に、大垣がレベル9まで上がっていた。昨日までレベル1だったのに凄い成長だ。羨ましい…


ラクルス団長もレベルが1つ上がって今はレベル66になっていた。


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大垣翔

年齢 17歳

性別 男

レベル 9

職業 超拳士

属性 土 火 風


筋力 900

魔法耐性 600

物理耐性 800

敏捷 700

魔力 100/300

体力 850/850


スキル


言語理解 頑丈 火事場の馬鹿力 拳術 雷耐性上昇


水耐性上昇








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王角龍騎

年齢 17歳

性別 男

レベル 13

職業 勇者

属性 全


筋力 990

魔法耐性 990

物理耐性 990

敏捷 990

魔力 300/990

体力 600/990



スキル

言語理解 高速詠唱 限界突破 全属性適正上昇

全属性威力上昇 成長促進 物理耐性上昇

物理攻撃上昇 剣術 全属性耐性上昇




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先頭にラクルス団長、次におれ、そして後ろに王角と大垣が並んでいた。




9層への階段が見えてきた。




「おい、こら!司馬!」




後ろから大垣が大きな声で俺を呼んだ。転移してから初めて俺に声をかけてきたので、おれは後ろを振り返った。




これが命取りだった…




ザシュッ…






「が…がぁ…ぐわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!!!」






王角が俺に向かって聖剣を振りかぶっていた。それを咄嗟に避けようとしたが避けきれず、




左目を切り裂かれた…




「ぐわぁぁぁぁ!!がァ…はぁ…ひ、左目がァ!!」




「ひゃっはっはっはっひっひっひ!!!!!」


大垣が笑っている声が聞こえる。残った右目で奴らを見据えると王角が俺を仇でも見るような目で見て、口元は笑っていた。憎しみと喜びが混ざっている表情だ。




「ど…どういうつもりだ!!!」


左眼の痛みを無視して叫ぶ。




「どういうつもりだ、ねぇ。まだ分からねぇのか?まぁいい。後でたっぷり教えてやるよ。それより




あの時の続きだ。」




「あ、あの時?」




「あぁ、訓練初日の模擬戦のことだ!あの勝負はまだ終わっちゃいねぇ!!それに俺はあれ以降、お前がおれの首に剣を突きつけた時のお前の顔がぁ!!ちらついてよォ!!!!夜も眠れねぇんだよ!!!!!!」




そういった大垣の目は、俺を敵としてか見ていなく、全身から殺意が溢れ出ている。




「そんな理不尽な理由で…。それに、そんなことをラクルス団長が…「これより司馬様と大垣様の真・剣・勝負を始める。審判は私、ラクルス・ファン・アルスがつとめる。」…は…?」




「そういうわけだよ。司馬くん。剣を取って構えなよ。説明は、この決闘が終わったらしてあげるからさ。」


王角が俺にそう言ってくるが、どういう訳かさっぱり分からない。だが、俺がいま生き残る方法はこの決闘を挑むことしかないらしい。そう思い剣を構える




「お、やる気になっかぁ!!嬉しいぜ!!!あ、左目はハンデだぜ。俺はお前にまえの模擬戦でまけちゃってるからなぁ!!!」




ハンデがデカすぎるだろ…それにあの時とはレベルも経験も技も違う。クソ…




「両者、構え!!






始め!!!」




「オラァ!」


前と同じく右手で来るが、目で追うのが精一杯だ!!!




「グッ!」


何とかギリギリだが、剣で防ぐ。しかし…




「はっはぁ!!!本命は!」




「ぶっ!!」




右はフェイントで本命は左だった。それを防げなかった俺は左手の拳をモロにくらい、5mぐらい吹き飛ぶ。あの時のゴブリン以上だ…




「がはっ!!!」




そのまま壁にぶつかり、倒れてしまう。骨も何ヶ所も折れているだろう。全身が痛い。




「そこまで!!勝者大垣様!!」




ラクルスが、そう宣言して王角がこちらに近づいてくる。




「ど…どうして…?」


かすれる声で俺は王角に聞いた。




「あぁ、教えてあげよう。約束だからね。君はね、








裏切られたんだよ。この国と俺たちに」




な…ニヲ…いって…イル…?




「仕方がない。1から説明してあげるよ。分かりやすくね。俺たち御使いに関する会議で皇子達と皇女達が、君のことを殺すべきだと提案した。理由は簡単。何となくわかると思うけど「無」職で役に立たないから。それをラフター王は俺の口添えもあり受理した。そこで君の暗殺計画がたてられた。計画は君をダンジョンないで事故に見せかけて殺すこと。だから、翔はわざとトラップを発動させ、30層にとんだ。プランAは、ダンジョンに出るまでの道のりで魔物に襲われて死ぬこと。プランBは、俺たちが君を殺すこと。プランAが失敗しそうだから、プランBにきりかえたって訳さ。まぁ、俺と翔としては、ここで殺してやりたかったからその点では君に感謝してるよ。ありがとう…。この計画に携わったのは俺、翔、ラフター王、皇子たち、皇女たち、ラクルス団長、キリカ団長だ。そしてこのことは事故死になる。さて説明は以上だよ。」






何を言われたのか半分以上…理解出来ていなかった。


だが 、時間が経つにつれ理解した。




「あぁ、そうだ…安心して欲しい。












桜は俺が幸せにするから」








ぶつん…!!




俺の中で何かが切れた。確実に…。




俺とクラスメイトとの友情などの全ての感情が絶望に染まり、こいつらとの唯一あったかも分からない「クラスメイト」という繋がりが切れた。




「たっ…た…そ……れだ……けで……」




「それだけ、だと。ふざけるな!!!!俺はずっとあいつの事を愛していた!!!!!あんなに可愛いやつは俺のような!!!!かっこよくて!完璧な!俺といるべきだ!!!それが、なんだ?桜はずっとお前のことしか見ていない!それにお前はそれを不満そうに感じていた!!!許せるわけないだろう!いつも殺してやりたいと思ってたよ。…この世界に来て俺が勇者になったときは変わると思った。けど!!何も変わらなかった!!!俺は勇者だ!!そんなことが許されるはずがないんだよ!!」




それは王角がおれに初めて見せた顔だった。怒りや、憎悪全ての負の感情を織り交ぜたような顔だった。




「はぁ…はぁ、ふぅ。それじゃあお別れだ。さようなら。」






さっきまでの顔が嘘だったように笑顔になった。そう言って王角はおれを蹴った。




ふわっと浮いて橋から落とされた。チラッと下を見ると奈落の底のようだ。確実に死ぬだろう…




橋の方を見ると3人とも笑っていた。その顔が頭から離れかった。




ふと思い出す。








「死んじゃダメだよ?」




ごめん…住野さん約束守れそうにない…








そう思ってから、またアイツらが笑っている顔がチラつく。




そして決意する、




















絶対にあいつらを許さない!!




と。






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