第37話王都③

俺とルアは外に出て試し振りすることにした。鞘から刀身を出してもやはり刀だった。しかし、真っ黒だ。だが、とても頑丈だ。日本にいた頃に刀を扱っていたが、間違いなくあの時の感覚と同じだ。


ルアがじっと俺の刀を見ていた。


何回か素振りをしていると異変が起きた。何かが俺の精神に入ってくる感覚がある。


「クッ!グッ!」


「タイチ!?」


「グァ、ガァァァ!!!……はぁ、はぁ」


何とか精神の侵食を防いだ。「何か」は俺の精神の外に追い出せたと思う。今のが呪いの正体なのか?ならばこれで俺が呪われる心配はなさそうだな。


「大丈夫!?タイチ!」


「あ、あぁ。大丈夫だ…。少し疲れただけだ。すぐに歩けるようになる。」


ルアが回復魔法をかけてくれたこともあって大分楽になった。


「そういえば、ルアはこの刀をずっと見てたけどなんか知ってるのか?」


「ううん、何も知らない。けどどこかで見た感じがする…。どこだろう…?」


…ルアの1000年前の記憶から推測すると、多分初代勇者の仲間が刀を作ったんだと思う。ラギルダンジョンの記憶の中でも、1人の女性剣士が刀を携えていた気がするし。さすがに1000年前の刀があるとは思っていない。それにその女剣士の刀は黒くなかった。


なら、この魔剣は何なんだ?


まぁ、いい。こんな疑問は考えても答えが出ない。俺の推測はルアにも伝えたが、あまりスッキリしていなかった。


「よし、もう大丈夫だ。それじゃあ、あとは服だけ買ったら宿に行こう。」


「うん!そうしよう!」


今日の中で1番テンションが高かった。いつの時代も女子はオシャレがしたいのかな?


王女から教えてもらった店に行って服を買った。俺は全身真っ黒のスタイル。ルアは白を基調として赤のラインが入った服を買っていた。一応軽い耐性の効果はあるらしい。2人とも防御より敏捷を優先にしたので、あまり意味は無いが。前の服よりとても動きやすい。


ルアは服を見るとき、とてもテンションが高くて可愛かった。また今度服専門のいい店を教えて貰って連れて行こう。


そして教えてもらった「瞬きの宿」に向かった。


教えてもらった通り、綺麗な店だった。


「いらっしゃいませー!お2人ですね?2部屋にしますか?」


俺と変わらないぐらいの女の子が接客をしてくれた。


「一部屋で頼む。それと、食事と風呂をつけてくれ。」


「あら〜♪あまり盛り過ぎないでくださいね?他の客の迷惑になりますから!」


「いらんお世話だ!金は?」


ルアは顔が真っ赤になっていた。そんな顔されたら俺も恥ずかしくなってくる。


「1日銀貨6枚になります〜。」


「なら、とりあえず1週間で頼む。」


俺は袋から金貨3枚を渡した。


「毎度〜!これ鍵です。風呂は時間が決まってますので注意を。それではごゆっくりー!」


案内された部屋は角部屋だった。気をつかったのかな?マセてる店員だ!




ご飯はとても美味しかった。王女との旅も保存食が多かったので、約1ヶ月半ぶりのまともな食事だった。やはり魔物の肉より上手いな!柄にもなく感動してしまった!


風呂は俺が先だった。やはり俺も日本人なので、風呂はとてつもなく快楽だった。時間ギリギリまで楽しんだ。


ルアが風呂に入ってる間は魔力操作の修行をしていた。魔力操作は毎日行っている。時空魔法は早く扱えるようになりたいからな。


俺は修行に集中していると、後ろからルアが抱きしめてきた。しかも風呂上がりだから、色っぽい。そんな姿を感じて俺も必死に我慢している。何がとは言わないが。


「ねぇタイチ、約束覚えてる?」


「約束?あぁ競走した時の約束か。お願い事は決まったか?」


「うん。タイチ、


私を襲って…。」


「………え?それって……」


「今こっち見ないで。」


「お、おう。」


「…私、魅力ない?」


「そ、そんなわけあるか!ルアはとても魅力的な女性だよ!そ…そのいいのか?本当に」


「うん…。ふざけてこんなこと言わないよ。今日タイチが私のことを「俺の女」って言ってくれたこととても嬉しかった。だから…ね?私の初めてを貰って?」


俺はこういうことは初めてで少しビビっていたが、決心した。ここまで言われてはな。


俺はルアの言いつけを破りルアの方を向いてルアをお姫様抱っこした。ルアは顔が真っ赤になっていた。そのままベットに向かう。


「ルア…可愛すぎ。愛してる。」


「私も…好きだよ、タイチ。愛してる。」


ルアをゆっくりとベッドに下ろした。


「本当にいいのか?」


「うん…。私をタイチ色に染めて。」


何かが切れる音がした。間違いなく理性の鎖が切れる音だな。


俺はルアを抱いた。忘れることが出来ない夜となった。




後書き

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