第26話ルアの魔法

ラギルダンジョン???層




「ルア!」


「ストーンショット!」


「はぁっ!」


俺たちはクマの魔物と対峙していた。やっぱり魔法が沢山使えるっていいね!


見つかる前に先制攻撃とかできちゃうから。先程の戦闘も簡単だった。ルアが魔法で敵にダメージを負わせて動揺した隙に俺が身体能力強化をして敵の元に走って、魔物の骨で作った剣でトドメを刺すだけ。


ユニークを使わなくたって何とかなる。仲間が1人増えただけで戦闘の負担が全然違う。



それにここでの生活も変わった。ルアは全属性使えるので水魔法を少しの魔力で使える。1人の時より大量の水を飲めるようになった。一人の時は辛かった。俺の少ない魔力で、多くの魔力を使って水を出してたからな。


何より精神的な余裕が出来た。会話することが出来るありがたみを覚えたぐらいだ。何日も1人でこんな所をさ迷っていたから、何回も発狂しそうになっていたが、今はそんなこと全くない。


苦しかった過去と現在を比べてそんなことを思っていると、


「!!?」


魔法が飛んできた。俺は10メートル以内に魔法が入ればすぐに感知できるから、避けることが出来た。


空間操作って不意打ちが通じにくいから本当に便利である。


魔法が打たれた方を見ると、スケルトンがいた。骨だけの魔物だ。


「私にやらせて!」


ルアが張り切っているので任せることにした。ルアがワクワクしていたしな。俺は見物しよう。ルアに何かあればすぐに助けに行けるようには構えておくけど…。


「θνμμινωΩΨ」


なにをスケルトンが言っているのか全く分からないが、ルアに弱体化の闇魔法と炎の魔法ファイアーボールが向かっている。それをルアは1歩も動かず




アンチ


そう言ってどちらの魔法もはね返した。ファイアーボールに至っては2回りぐらい大きくなってるんじゃないか?


スケルトンが何が起こったか分からない!とでも言いそうなぐらい動揺していて、避けようとしたが避けきれずに自分の魔法を食らって死んだ。


なるほど。実戦では初めて見たが強力だな。この世界では魔法が非常に良く使われている。クマの時にも思ったが、魔法はかなり強力だ。クラスの連中も、騎士団の人でも属性に適正があれば、必ず戦闘には使ってくるだろう。俺も属性に適正があればめっちゃ使ってたと思うしな!


そんな自分の魔法が効かないのでは無く、はね返される。それも2倍にして。さぞかし驚くだろうな。初見では回避は難しいだろう。


ただ、魔物で魔法を使うものは少ない。スキルを使うやつは大量だが…。だからルアは自分のユニーク属性を披露できる!と思って張り切ってたんだろうな。


今めっちゃ清々しいそうだし。


「凄かったでしょ!?」


「あぁ、すげぇ。驚いたわ。」


ふふんっ!とすごく胸を張ってる。素晴らしいな。どこがとは言わないが。




そんなことがありつつも下に降りる階段を見つけたので、降りたのだがそこに広がっていたのは…


「マジかよ…」


なんと魔物の群れ!かなりの数がいるな。


俺の魔法は集団戦には向いていないんだよな…。倒すより先に魔力切れになるから。逃げれるなら逃げたいが、こいつらを倒すしか先に進む道が無さそうなんだよな…。


どうしたもんか…。


必死に策を考えていると


「私、これぐらいなら何とかできるよ。」


急にルアがそんなことを言い出した。


「何!?」


100は居そうなんだけど!?何とかできるの?


「魔法使えば、多分何とか出来ると思う。取り逃がしたやつはタイチに任せていい?」


「あぁ!任せろ!」


「それじゃあ行くよ!」


俺も剣を持って足に力を入れて、その時を待つ。


地獄の業火インフェルノ


ルアが厳かな口調でそういった瞬間に魔物の群れの中心から爆炎が上がった!俺たちがいる所まで炎の熱気を感じる。



あの炎を食らって生きてる魔物はいなかった。それでも逃げた魔物が何体かいたので、空間操作を駆使して全ての魔物を仕留めた。


100体ぐらいいたのに95体ぐらいはルアが仕留めたと思う。


改めて思うが、ルアって強すぎるな。俺なんかより強いんじゃないの?そんなやつをおれが解放して、今は俺の仲間とはな…。


心強い。頼もしすぎるな。


「タイチー!凄かったでしょ!褒めて褒めてー!」


戦闘が終わったあとのルアからはあんな強烈の魔法を放った人?天使?とは全く思えないけどな。


「よくやった。すごいぞ、ルア。」


そう言って頭を撫でてやると、目を細めてとても満足している。とても気持ちが良さそうだ。俺はあんまり頭を撫でたことは今まで無かったんだけどな。


そろそろいいかな、と思ってルアの頭から手を離そうとしたのだが、


「んっ。もっと。」


上目遣いで、そう言われたら断れない。その顔がめっちゃ可愛いんだよ。あんな顔で言われたら誰だって断れないと思うぞ。ということで頭撫でを続ける。


「そんなに気持ちいいのか?これ。」


ずっと疑問に思っていたが、聞かなかったことをとうとう聞いてしまった。


「えへへ。すっごく気持ちいいよ〜。これのために魔物大量に殺してきてって言われたら全力で魔法打ちまくよー。」


俺は「頭撫でのために魔法打って!」とだけは言わないようにしようと思った。それだけのためにさっきのような魔法がバンバン打たれたら俺まで被害が届きそうだ。


「そうか。それは嬉しい限りだ。」


「気持ちいい〜。これ中毒性あるね。」


そんなのものはありません!と言いたいが、このルアの顔を見るとそんなことも言えないな。もしかして俺の手になんか専用の麻薬でもついてんのかな?


それにしても、最近のルアは甘えん坊になっている気がする。全然構わないんだが、めっちゃ可愛い。そんなに甘えられたら俺も理性が飛びそうになる。


もちろん、そんなことは絶対にしない。ダンジョンの中でそんなことしたら待っているのは100パーセント確実な死だからな。


俺たちは今日もダンジョンを進む。





後書き

ダンジョンもそろそろ佳境に入ります


少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください!


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