第28話逃げろ

「フゥ〜……」


俺は深呼吸をして覚悟を決める。


蜘蛛の魔物が俺に気づいた。


「キシャァァァ!!!」


今度は逃がさない!とでも言わんばかりの気迫である。前みたいに魔物との距離はあまり開けていない。怖いがこれは仕方なかった。


そして俺は走る。ひたすらに走る。前だけを見て。そしてルアがかいた魔法陣が見えたその前にはルアがいる。


そこで俺とルアは並走して走り出す!


俺たちと蜘蛛の距離は10メートル程度。


蜘蛛が捕った!と言わんばかりに前足を俺たちに伸ばす。


その瞬間に俺は


「ゲート!!!!」


ゲートを出現させて、俺とルアが飛び込むとすぐに閉じた。


蜘蛛はそのままの勢いが落ちることなく、ルアが作った魔法陣に触れた。


その瞬間


ドッカーーーン!!


と大きな爆発音が上がる。


「キシャァァァ!!??」


魔物の断末魔みたいなのも聞こえたから、あいつは死んだだろう。


しかし、それでも地獄の炎は勢いをとめない!1キロ離れた程度では熱風を浴びて火傷してしまう。だからその風を俺が


空間操作ゾーン!!」


空間操作でベクトルを操り、俺とルアには届かないようにする。


それからしばらくすると、熱風は来なくなった。俺たちは蜘蛛を倒す事が出来たのだ!


「フゥー…」「アァ〜…」


俺とルアはその場で座り込んだ。精神的にかなりやばかったからな。そして


「「よっしゃ!」」


2人でハイタッチした。


「今回はやばかったねー。」


「あぁ、油断しきってたからヤバすぎた。まさか俺たち2人とも虫が駄目とはな。」


「あれは天敵だよ〜!」


同感である。敵無しだと思った俺たちの天敵だった。


「そういえばさ、タイチ」


「うん、なんだ?」


「ゾーンって空間操作の事?」


…それに気づいたか。


「あぁ、無詠唱だし言う必要ないけど、空間操作って言うぐらいならゾーンって言おうと思って。短いし。」


決して厨二病とかではない。ないったらない。それにゾーンって言う方がかっこいいだろ!?ゲートがあるならゾーンもいいだろ!?


「いいと思うよ!それより、」


慰めてるのかな?違うと信じよう。


「なんだ?」


「魔石どうするの?」


「…」


俺は倒した魔物の魔石とか、肉とか、まぁ色々採取してる。それを今回の魔物もするのか?ということだろう。


魔石も外に出れば金になるからな。


「今回は無しだ。これ以上は精神が持つ気がしない。気絶も発狂もしたくないからな。」


「そ…そうだよね!安心したよ!」


ルアはすごく安心していた。ルアも魔物の肉を食ってる。食料がここではそれしかないから。だから、さっきの魔物も食べなくてよかったと安心しているのだろう。


地球では食べる人もいるが、俺は無理だ。ああいう人たちを尊敬する。俺には絶対に出来ないから。


それにしてもさっきの戦闘で結構魔力を使ったな。


「さて、そろそろ行くか」


「うん!休憩出来たしね!」


「よし。次からは油断するな。俺ももう油断しない。もう一度同じことは繰り返したくないからな。」


「もちろん!」


そこからは油断することなく、魔物を撃退していった。虫型の魔物は1回も出くわすことがなかった。これは幸運だった。


俺が落とされてから何層も降りた。そして、ダンジョンに変化が訪れた。


いつものように下に繋がる階段を降りていた。しかし、降りた目の前には巨大な扉があった。


「こんなこと初めて…」


「あぁ!つまりここがゴールだろ!」


そう思って俺は扉を開けようとした。が、


「ルア、感じるか?」


「ちょっとだけね。」


扉の奥から気配がする。ヤバいな。こいつはヤバい。今まで色んな魔物を相手にしてきたが、こいつは次元が違う。赤信号だな。これ以上進まない方が俺のためだ。


気配だけでそう分かってしまった。でも、それが理由で引き返す訳にはいかない。覚悟を決める。


「行くぞ、ルア」


「うん!」


俺とルアは扉を開いた──






後書き

少なめですみません。


少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをよろしくお願いします!


「君を好きになるなんて絶対にありえない!」もよろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る