第6話魔法
少し…いや、かなり寝不足であるが、今日から訓練が始まるので泣き言も言ってられない。昨日、リズから説明があったのだが、訓練は午前は全員で魔法を、午後は別れて、武術を高めるグループと引き続きは魔法を極めるグループに分かれる。
俺はどうすればいいのか分からなかったから、リズにきいてみると午後の訓練は好きな方に参加していいとのこと。
そして、今俺たちは魔法師団の本拠地にいる。
当然ながら俺に絡んでくるやつはいる。朝から
「よぉ、無職くん。君は魔法が使えるのかなぁ?」
「無属性なんだから、ここに来ても意味あるの〜?」
などなど。すごく言われる。これら全て無視していた。そして極めつけはこれである。
「おはよお!司馬くん、昨日は大丈夫だった?」
「お、オハヨ。俺はもう大丈夫だよ。」
住野さんが話しかけてくる。その瞬間に舌打ちと馬鹿にしてきた目が殺意も含んでいるような目に変わる。
「無職のニートの癖にいきがってんじゃねぇぞ!」
「何にもできない引きこもりはどっか行ってろ!」
とんでもない陰口が飛んできた。おれはなりたくて無職になった訳では無いし、引きこもってもいないんだが。
「全員揃いましたね。それでは今から魔法の訓練について始めたいと思います。」
全員が俺たちに話かけてきた女性の方を向く。
「私は今からあなた達に魔法を教える魔法師団団長のキリカです。よろしく」
そういうとキレイにお辞儀をしてきた。キリカさんのステータスはどれぐらいなのか気になったので俺のスキルをつかう。
誰にも聞こえない声で
「鑑定」
そう呟いた。
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キリカ・ファン・アースド
年齢 26
性別 女
レベル 62
職業 魔法使い
属性 火 土 光
筋力 100
魔法耐性 1700
物理耐性 1500
敏捷 1550
魔力 1950/1950
体力 1700/1700
スキル
火属性威力上昇 土属性威力上昇 高速詠唱
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わーぉー、この人強ーい。筋力以外4桁行ってるんですけど。こんな人でも魔王倒せないの?ちょっとこれはやばいかもな。
俺がついていけるレベルじゃない。
どうしましょう?
「この時間は魔法について学習してもらおうと思います。本格的な訓練は午後もしくは、明日からとします。」
そうして3時間ぐらい実演を交えて講習を行った。
この3時間をまとめてみるとこんな感じ。
まず魔法とはスキルと違い、詠唱をして魔力を使用することで発動できる。魔法によって詠唱は違うみたい。強い魔法ほど詠唱が長くなり、魔力をたくさん使う。
使える魔法は決まっていて、自分の属性にあったものしか使えない。だけど厳密には違うんだと。多量の魔力を使うことで、生活に使える程度の違う属性の魔法は使えるらしい。
つまり、俺は戦闘では無属性しか使えないとになる。
魔力は全てが魔法に注がれるのではないそうだ。これはじつえんしてもらった。
キリカさんと住野さんが火属性の初級魔法ファイアーボールを発動したが、大きさがキリカさんの方が2倍ぐらい大きかったのだ。鑑定で見たが減っている魔力の量は同じだ。
理由は、魔法に使う魔力は全てが魔法に注がれるのではなく、一部空気中に放出される。空気中に放出された魔力は魔素というらしい。使い慣れるほど魔法に使う魔力の割合は増加するようだ。
キリカさんでも、7割程度しか魔法に使えないのだとか。しかし、スキルに属性適正上昇の効果があれば異なり、これは魔法に使う魔力の割合を増やしてくれる。キリカさんは土属性適正上昇があるから、土属性は8割まで魔法に使えるみたい。
威力上昇系は、変換効率は変わらないが威力が上がる効果だった。
あと魔法段階わけがされている。下から順に
初級→中級→上級→帝級→神話級
となっている。
これだけ教わると今日の魔法の授業は終わった。
みんな真剣だったので、俺への陰口はなく必死に頭の中に叩き込もうとしていた。
実演も踏まえていたこともあってとても分かりやすかった。
みんなからの陰口がなく、とても有意義な時間を過ごすことが出来た。
そんなふうに安心していたら、昼食は地獄のようだった。大垣は俺を挑発ばっかしてくるし、他のやつも俺を睨むか、陰口を叩いている。
陰口を叩くなら俺に聞こえないようにしてくれよ…
昼食から1時間後には訓練が再開された。
午後から俺は騎士団で武術を鍛える訓練な参加した。
剣術などのスキルはないんだが、地球にいた頃には剣の心得を祖父から教えて貰っているので、それなりに自信はある。喧嘩も負けたことないしな。
なので今日は騎士団の様子を見て、この世界の武術はどんなものなのか、見てみようと思ったからだ。
「よし!これで全員みたいだな!これより騎士団による御使い様方の訓練を始める!」
大柄で顔以外を鎧で包んだ男が大声で宣言した。予想通りというか男子の割合が多く、大垣や、王角もいた。おれは、こっそりとスキルを使った。
「鑑定」
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ラクルス・ファン・アルス
年齢 29歳
レベル 65
職業 騎士
属性 風
筋力 1950
魔法耐性 1500
物理耐性 1450
敏捷 1100
魔力 700/700
体力 1800/1800
スキル
物理体制上昇 火事場の馬鹿力 剣術
火事場の馬鹿力・・・5分間の間筋力と体力がかなり上昇する。5分を過ぎると全身が激しい筋肉痛になる。
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つ、強い。キリカさんと同じぐらい強い。スキルも強力だな…
そういえばクラスにも何人か名前を見ただけでも効果が分からないやつがあったな。
今度また見てみよう。
そんな呑気なことを考えていると
「俺は騎士団団長のラクルスだ!よろしくな!」
気軽なおっさんみたいな挨拶をしてきた。というかやっぱり団長だったか。
キリカさんより上のレベルだもんな。
「早速だが、今日やることは簡単に言うと模擬戦だ。今から自分のスキルにあった武器を選んでもらう。心配するな!木でできた武器だから、安全だ!そんで、その模擬戦を俺たち騎士団が見て、御使い様方にアドバイスしようと思う!」
武術系のスキルはその系統の武器を持っただけで、使い方がわかるそうだ。
そんなことを聞くと、スキルってすごいな!と感じる。
「それじゃあ、武器を選んでくれ!」
武器は色々なものがあった。槍、斧、剣、など様々だ。
みんながそれぞれの武器を選び終える頃合になった。そこで俺は思い出した。
そう武術系スキルがないことに。
「あ、あのぉ、すみません。俺、武術系のスキルないんですけど…」
俺がそう言うと
「は…?」
ラクルスさんは呆然として
「うぉ、 お前いたのかよ!」
「お前、魔法の方に行けよ!」
「なんでお前がここにいるんだよ!」
と、怒号やら、驚きやら、笑いやら沢山飛んできた。ていうかここに来てから何も言われないと思ったら、俺の存在が認知されてなかったのか。
失礼すぎない…?前髪が長いとはいえねぇ?そこまで存在感ないかなぁ??
「あ、いや、えっと、前いた場所で剣をたしなんでいたので、参加出来ないかなぁ…と思いまして。」
「あ、あぁ、そうか君が無職の…。…わかった。今日は模擬戦だから、実力を確かめるといい。木剣を渡そう。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言われると俺は、木剣を受け取った。結構軽いのにしっかりしていた。
「それでは、ペアを組んでくれ!」
そう言われると、ペアを探すのだが誰も組んでくらなさそうにない。目を合わすと、避けられるのだ。
余り物コースだなっと思っていたら
「よぉ、無職くん。ペアを組もうぜ。俺とよ!」
俺は嬉しくて、誰かにも気づかず、
「ありがとう、ぜひよろしく頼むよ!」
そう言って振り向くといたのは、とても笑顔な顔をした大垣翔だった。
[後書き]
星、ご意見、感想等!お待ちしております!
「君を好きになるなんて絶対にありえない!」
もどうぞ。
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