第7話「無」職 vs 「超拳士」
「よぉ、無職くん。ペアを組もうぜ。俺とよ!」
俺は嬉しくて、誰かにも気づかず、
「ありがとう、ぜひよろしく頼むよ!」
そう言って振り向くといたのは、とても笑顔な顔をした大垣翔だった。
さ、最悪だぁ…。
よりによって筋力なら勇者の次に強い大垣だと!俺を殴りたいだけだろ!しかも返事を返してしまった。
不用心過ぎた。こいつだと知っていれば、受けなかったのに。
「よろしくな、無職くん!楽しみにしてるぜ!」
俺に笑顔で語りかけると大垣は俺を通り越して王角のもとに向かっていた。
や、やるしかない…。
ラクルスさんもいるから、いざとなったら止めてくれるだろうから、骨折はあるかもしれないが、死ぬことは無いだろう…。
「よし、全員ペアを組むことが出来たみたいだな!それではこれより模擬戦を開始する。その前にルールを言おう。今から1組ずつ私たち騎士団の前に戦っていただく。ただし、今日は魔法とスキルは禁止。勝敗の判定は騎士団が下す。その合図があるまでは戦っていただく。万が一怪我をしても、回復魔法士がいるので、全力で戦って欲しい。殺すような攻撃は禁止だ。以上!」
明確な勝利条件はないが、相手を戦闘不能に追い込むのがベストだろうな。あとサラリとだが、ギブアップも使えなさそうだな…。ぬかりないな…
「それでは、最初に模擬戦を行いたいペアは前へ!」
ラクルスさんがそう言うと、大垣が
「はい!」
と返事をして、俺に「行くぞ、ゴラ」
と催促してきた。
マジでか…一番最初に公開処刑を食らうのか…
まだみんながどれくらいできるのか見ていないというのに…
俺と大垣は騎士団で囲まれた場所に離れて立ち、お互い武器を構えた。
「両者!構え!」
審判を務める騎士がそういった。すると大垣が話しかけてきた。
「あの時の喧嘩のこと、覚えるかよ。俺は忘れてねぇぜ」
「… 」
無視する。集中したいからな。
「チッ!無視かよ。緊張か?まぁ、いい。やっとあの時の復讐ができる!」
大垣がそう言うと、
ピーーーーー!
笛の音が鳴った。戦闘開始の合図らしい。
「うぉラァーーーー!」
大垣が俺に向かって真っ直ぐに俺の所へ走り込んでくる
そう、見えるのだ。それもくっきりと。
ステータスは何十倍も違う。だからおれはとてつもない速度で来ると思っていたが、予想よりはるかに遅かった。ならば、対応出来る!
大垣が俺の腹に向かって拳を振り上げでいるが、それを剣でガードした。大垣はそれに驚き、動揺する顔を浮かべる。その隙に俺は後ろに飛び、距離を取る。
パワーも想像以上に強くはなかった。もちろん喧嘩したあの時より、かなり速いし、力もすごく上がっているが、反応できる!
「おい、てめえ、何してやがる。無職のお前は俺に素直にぶん殴られていればいいんだよ!なんか魔法でも使ってズルしてんだろ!」
「…」
とんでもないジャイアニズムだ。素直にぶん殴られるやつがどこにいるというのだろうか?
「チッ!また、だんまりか!?気に食わねぇな!!」
そう言って、大垣はまた俺に拳を飛ばしてくる。
それを俺は剣で受け流すか、ガード、もしくは避ける。何回か攻撃を受けたがかすった程度だ。それに大体の攻撃の予測は着くので簡単に守れる。
腹…顔面…右腕…
と、どんどん分かりやすく攻撃が単調になってなっていく。フェイントもない。
「く、クソがぁーーー!!!!!」
そういうと右手で大振りの一撃が顔面に向かっている。それを、顔をずらすことで回避し、そのまま俺の左足で大垣の腹を蹴る。
「ウッッ!!」
大垣はそのままよろめくが、もう1度右手の大振りが来たので、それを予測していた俺は簡単にかわし、大垣の背後にたち足を引っ掛ける。
大垣はバランスを崩し地面に倒れる。
「グッ!!」
そのまま俺は大垣にの首に、木剣を突きつける。
「そ、そこまでっ!!」
審判が試合終了の合図を出し、模擬戦が終わる。俺は剣を収め、大垣に背を向けクラスメイトがいる場所に戻ってろうとする。
「くっ、クソッがーーーー!!!!」
そう言って俺に殴りかかろうとする大垣。俺は油断して「まずい!」と思ったが、
パシィィ!
そんな音がしてラクルスさんが大垣の拳を受け止めた。
「そこまでだ!試合は終わった。悔しいのなら、この経験を活かせ。あそこに君の戦いを見て、アドバイスしてもらう騎士がいる。そちらに向かい、今の模擬戦の反省点を受け取れ!」
そう言われると大垣は「チッ!」と舌打ちして渋々ラクルスさんが指さす方へ向かった。
「さて、君は何者だ?それに剣の扱いも完璧だった。ステータスでもかなりの差があるというのに。ステータスの偽造でもしたのか?」
かなりの差ではないだろ…
何十倍もあるんだから…とてつもない差だぞ。
「剣は召喚される前に祖父から教わっていました。ステータスは偽造なんてしていません。これが俺の実力です。」
「そうか…疑って悪かった。元いた場所に戻っていいぞ。」
「俺にアドバイスや反省点はないんですか?」
「何も無い。さっさと戻れ。」
何も無いのかよ…
どんな改善点があるのかと期待していたんだけど…
そうしてみんながいる場所に戻ると、俺の事を恐れるようなやつと、イカサマをしたと疑うような奴がいた。
「それでは、気を取り直して第2試合を始める!」
大垣が俺を睨みながら帰ってくるとラクルスさんがそう宣言した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「これで全模擬戦が終了した!明日からは修行にはいるので今日言われた反省点は忘れないようにしてくれ。それではゆっくりと休んでくれ!解散!」
こうして、今日の訓練は終了し、俺は歩きながら部屋に戻る。戻る途中今日の訓練を振り返っていた。
第2試合が始まったあとも大垣はおれをずっと睨んでいた。その視線がすごく怖かった。
全体を見て思ったことは勇者の王角とラクルス団長には今の俺では絶対に勝てないということ。勇者の模擬戦は圧倒的だった。俺でも姿を見ることは出来ても反応は出来ないだろう。
それにラクルス団長が、大垣の拳を止めた時と、俺に問いかけてきた雰囲気から絶対に勝てないと思わされてしまった。実際戦ったらそうなるだろう…
逆に言えば、それ以外の奴らなら何とか戦うことは出来るだろう。ただ、それは今だけの話、アイツらがレベルを上げたら俺なんて一撃で倒すことが出来るだろう…
これからどうするかを考えると同時に俺と大垣の模擬戦からひとつの予想が頭に上がった。
「ステータス」
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司馬太一
年齢 17歳
性別 男
レベル 1
職業 無
属性 無
筋力 50
魔法耐性 30
物理耐性 45
敏捷 40
魔力 10/10
体力 15/30
スキル
言語理解 鑑定
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俺のステータスを見ながら考えた。体力と魔力は左が現在の状態で右が前回の状態のようだ。
もしかすると…
「
つまり俺の予想とは、今見ているステータスは
と、考えれば納得である。まぁ、予想の域を出ることは無いし、仮に正解だとしても俺が「無」職で、このステータスが変わることは無い。それに魔力や、魔法耐性は?っていう話になるしな。
とにかく、俺は頑張ってもそのうち、足でまといになると思う。だから、少しでも役に立てるようなにか頑張らないとな。
[後書き]
初めて、戦闘シーンを書きました✨
面白いかった!と思っていただければ幸いです!星を…ください
レビュー、感想、ブックマーク等お待ちしております! 貰ったら返信しようと思います!
恋愛作品「君を好きになるなんて絶対にありえない!」の方もよろしくお願いします!
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