第21話解放
堕天使を見ながら、とりあえず鑑定をした。が、見ることが出来なかった。
「はァッ!?」
鑑定の画面が真っ黒になり、何も見ることが出来ない。こんなことは初めてだ!
ただ彼女を巻いている鎖について見ることは出来た。
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呪縛の鎖
この鎖に触れている者の意識を奪う。また、この鎖に触れている間はその者の時間が進まない。
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まじかよ。こいつと話がしたいのに会話するためにはこの鎖を切らないといけないのかよ。だが、この鎖どう見ても鉄より硬そうなんだような…。試しに触ってみたが、指先で一瞬触れただけなのに、気を失いそうになった。
斬鉄はしたことあるけども、結構難しいし。だけど仕方がない。やるか。
そう思った俺は鎖の前に立ち、剣を思いっきり振る!
ガキイィィィン!!!
そんな金属のぶつかり合う音が聞こえるが切れない!硬すぎる!鉄より硬いぞ!
「こぉんのぉぉ!!マジック!!!」
俺が叩いてる鎖の真下からマジックで棘を作り、同じ場所を同時に攻撃する!!
これでも切れない!なので俺はマジックの棘に魔力を注ぎ、硬くする!そして俺自身の身体能力強化も残った魔力全て注ぎ込む!!
「クソっったれがァ!!切れロォォ!!!」
ガギイィンという音がして火花が散り、ようやく斬ることが出来た。しかし、代償として俺の剣も切れた。
まぁ、イノシシの魔物を倒した後に確認したら刃こぼれが激しかったからな。この鎖が切れたのも奇跡だろう。だが、おれの唯一の武器だったので、剣が壊れたのは代償としてはデカすぎる。
そこから鎖が緩まっていき、堕天使が解放されようとしている。さながら天使がこの世界に舞い降りようとしている絵を見ているようだ。
だが、俺は
「ハァハァっ!うっ!?ガァァ!!」
魔力を全て使い切ったことで激しい頭痛を起こし、苦しんでいた。
魔力が無くなると激しい頭痛に襲われ、魔力欠乏になる。そうなると、気絶する、ということを帝国の本で学んだ。今の俺の状態はまさに魔力欠乏の状態なんだろう。まぁ、全ての魔力を使ったしな。
そうして俺は痛みに耐えながら気を失った─。
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暖かい何かに包まれているような感じがした。最近、ゆっくりとした睡眠が取れてなかったのでとても快適に感じる。ずっとこうしていたい。そう思った。だが、おれは意識を取り戻した。
「ハッ!!?」
目を開けるとそこにはこの世の人とは思えないぐらい絶世の美女がいた。パッチリとした綺麗な碧眼、形の通った鼻、柔らかそうな唇。住野さんや、清水さん、この国のクソッタレ皇女より美しい。
この人より美しい人はきっといないだろう…。そんなことを思わせるような人に俺は…
膝枕をされていた。
「あっ!気がついた?」
聞き心地のいい柔らかい声だった。
敵意は何も感じないが、急いで膝枕の状態から抜け出して少し距離を置いて立ち上がった。
「俺は何をしていた?」
「私が目覚めた時からずっと寝ていたよ?結構長かったね。」
まじか…。結構眠っていたのか。ていうかあんなに気持ちよく眠れたのはこのダンジョンに入ってから初めてだな。
「その間ずっと膝枕していたのか?」
「うん。こうしたら喜ぶって昔誰かから聞いたような気がしたから。」
気がしたって随分と曖昧だな。そこまで言うと彼女が立った。
そうして初めて気づいたが、彼女の身長は俺よりちょっと低いぐらいで、180cm近くあるのではないだろうか?そして艶のある金髪が腰に届くほど長い。さらに翼は彼女の背中から生えているようだが、暗い空間なのにはっきりと見えて、サラサラで美しい。まさに天使としか表すことが出来ない。
羽の色を見る限り、堕天使と表現する方が正しいのかもしれないが。
もしかして彼女は初代勇者の時代にいたという天使族だろうか?
敵意はないとわかってはいるが、ここまで過ごした環境上、警戒を解くことはできない。
剣は手にないが彼女のどんな些細な動きでも見逃すことが出来ない。
「安心して。私に貴方を攻撃する気は無い。」
そうだとわかっていても警戒を解くことはできない。まだ彼女のことを知らないしな。
「気にするな。癖だ。」
「そう。助けて貰って悪いけど私のお願いを聞いて欲しいの。」
「お願い?」
「うん。私を
殺してくれないかな?」
はぁ???
後書き
今回少し短いですね。すみません。
少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください。
感想もお待ちしております。
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