第50話宣誓②
「ここで合ってるんだな?」
「えぇ。お父様から聞いた話ではね。」
俺たち3人は罪人の亜人が移送された今後俺たちのギルドとなる建物の前に来ていた。
「はぁ。王城であんなことして…。もし、お父様から命令が来たらどうするのよ?」
「そこは問題ない。俺が誓ったのはルアとエマだけだから王様の命令は聞かなくても大丈夫だ。」
わざわざ宣誓したかいがあったなぁ。本当はその前に逃げようと思ってたんだけど。
「でも、お父様が私に命令してきたらどうするのよ?」
まぁ、あそこで言った通り王様がエマに命令。エマが俺に命令したら従わないと行けないかもしれない。別に従わなくても問題がある訳じゃないが。
「大丈夫だろ。娘は年頃になるとお父さんに反抗期を抱くものだ。つまり命令が来ても反抗期という理由で無視すればいい。」
「……とんでもないわね。」
よく頭が回るんだよ。屁理屈が得意ってことだな。
「また私が女神様になるの?」
「ん〜ゲートを開くまではそうしてもらっていいか?」
「うん!わかった!」
前みたいにスムーズに移動するならこれが一番だろう。ただ今回は前回と違って人を襲ったような過激てきな亜人ばかりだ。そう簡単にはいかないだろう。
「聞きたいこと結構あるんだけどいいかしら?」
「あぁ。いいぞ。」
「じゃあ、1つ目。亜人ギルドを作るのに私達はどの立ち位置になるの?まさかトップとか言わないでしょうね?」
「まぁ、それはそうだな。」
そもそも亜人はほぼ全員人間にいい印象を持っていない。亜人ギルドを作るのに人間が1番上に立てば意味が無い。
「俺たちの立ち位置は支援。」
「支援?」
「そう支援。あくまでサポートに徹する。」
「へ〜?じゃあ私達は何するの?」
ルアからそんな質問が来るがこれは当然だろう。
「ルアは戦い方を教えてやって欲しい。俺は商品開発のアイデアをやるのとルアのサポート、あとは亜人ギルドに敵対するものを撃退させる。それでエマは亜人ギルドの経営者の育成を頼みたい。」
「わかった(わ)!」
よし。これでほとんどの問題は解決しただろう。
「でも、亜人ギルドを作ったとしてもどうやって行動するわけ?私の予想ならタイチの世界のモノを作っても亜人が作ったのなら売れないと思うわよ?」
あれ?これは言ってなかったけ?
「そこは大丈夫だ。商品が売れなかったとしても作戦ぐらいいくらでもある。例えばゲートを使うとかな。」
「「ゲート?」」
「あぁ。商売において移動は必要だ。しかしこの世界では移動はリスクが伴う。」
「確かにそうね。」
まぁ、オークに襲われて死にかけたエマがいちばんこのことを理解しているだろう。
「だが、ゲートならそのリスクもない上に一瞬で移動できる。これを使えば商売で成り上がるのも難しい話じゃないだろ?」
「おぉー!」
ルアは驚いているがエマは驚きを通り越して呆れているのか分からないが呆然としている。
「い、いや!それどころの話じゃないわよ!下手したら世界一のギルドを作ることも難しくないわよ!?」
「そういうこと。だからまぁ、そっちは大丈夫だ。」
ゲートを使った商売なんていくらでも思いつく。これを使えば俺が言った場所ならどこでもすぐに行ける。これで辺境の村に簡単に商売できるし、最悪ゲートを魔法陣に書いて売ればいい。秩序は崩壊するが大した問題じゃない。
「あ、じゃあ、はい!私もタイチに質問!」
「ん?なんだルア?」
ルアが質問とは珍しい。こういう頭の使った作業はあまり得意じゃないと俺は思っている。魔法や戦闘に関しては天才なんだけどな。
「そもそも亜人はタイチのその作戦に協力してくれるの?」
「いい質問だな。その通りだ。」
いくらルアを女神様に仕立てても人間の元に教わり、人間に従うなら奴隷と同じだ!っていう亜人が出てくるだろう。それに加えてエマはこの国の王女だ。あまり好感は持たれないだろうな。
「だから俺たちの最初の仕事は亜人たちに俺たちの作戦に協力して貰えるように信用を勝ち取ることだ。」
「で?その作戦はある訳?」
「当然だ。」
それを今からしに行くつもりなのだから。
「さて、そろそろ行くぞ。ルア頼んだ。」
「分かった!」
ルアは変身魔法をといて天使族の姿に戻る。
扉を開けた先には…。
殺気、恨み、あらゆる負の感情を俺たちに向けた亜人がいた。人間のせいで牢獄にいたんだろうからな。
「皆さん。聞いてください。私は亜人を助けに来た女神です。この先には皆さんと同じ亜人の方がいます。皆さんの家族もいらっしゃるでしょう。説明は向こうで行います。さぁどうぞ。」
ルアにはあらかじめ言ってもらいたいセリフを言っといた。ただ演技感が半端ないな。まぁ、いい。大事なのは女神が言っているという事実だ。回復魔法はあっちに行ってから行うつもりだ。
亜人は渋々だが、ゲートを通ってくれた。だが1人だけ小さな亜人だけは1歩も動かず俺たちを睨みつけて来る。しかも殺気まで感じるな。
「ほぉ。ルア、下がっててくれ。アイツとは俺がやる。」
「分かった。」
全員がゲートを通ったらすぐに
「うわぁぁ!!」
俺を敵と認識して襲って来た。
亜人は人間より身体能力が高い。しかし人間に数の暴力で敗れたのだ。ガキは跳んでは俺に蹴りと拳を俺のからだや、頭に当てようと攻撃してくる。
俺はガキの攻撃を手だけでさばく。なかなか筋がいいな。攻撃を軽くはじいて距離をとる。
俺はナイフを1本取り出してガキの目の前に投げる。
「…なんのつもりだ!」
「武器がないと殺せないだろ?殺すなら本気でこい。」
ガキはナイフを手にしてさっきよりスピードを上げて俺に攻撃を仕掛けて来る。
「人間の!貴族のせいで!父ちゃんが母ちゃんが俺を庇って死んだ!!死ね!!」
全身を使って突きを仕掛けてくる。
「知るか。そんなもん俺じゃなくて貴族にあたれ。」
ナイフを片手で弾き飛ばして頬を緩く殴る。緩くと言っても今の筋力からしたら充分に威力はあるんだが。
吹っ飛ばしたガキは立ち上がろうとしているが立ち上がれない。
「人間に復讐したかったらまず俺を殺してからやれ。俺ならいつでも襲ってきていいぜ?ただ俺以外の人間を襲うな。襲いたかったら俺を殺せ。」
俺はゲートを開いてガキを放り投げた。
「良かったの?」
「大丈夫だ。俺は死なないからあいつの復讐が果たされることは無い。それにあいつは昔の俺に似てる。なんとかなるだろ。」
俺がルアにしてもらったようにしてやりたいが俺には難しい。
「さて俺たちも行くぞ。」
俺はゲートを作って3人でくぐる。
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