第39話武器
「ねぇ、ダンジョンってどうやって入るの?」
「あぁ〜ダンジョンに入るには冒険者ランクがDランク以上じゃないと、入れないんだよ。」
ダンジョンの1層にはFランクでも倒せる魔物はいる。スライムとかな。だが、ダンジョンは何がおこるか分からない。その対応力と実力を身につけるためにダンジョンの外で、魔物を倒すことしか出来ない。
実際に俺がダンジョンのトラップにかかって30層まで飛んだしな。こういうと実感がこもってわかりやすい気がするな。
でもDランク以上になるには最速でも半年はかかると言われている。俺はそんなに待つほど暇ではない。
「でも、唯一例外があるんだよ。」
「例外?」
「勇者…御使いだ。」
俺たちは冒険者じゃなかったのにダンジョンに入ることができた。それは何故か?
簡単だ。国が許可したからだ。
そもそもの話、ダンジョンを実質管理しているのは冒険者ギルドなんだが、本当は国がダンジョンを所持して管理している。それを冒険者ギルドに託しているのだ。
まぁ、簡単に言うと国が一言言うと、誰でもダンジョンに入れるのだ。
ラギルダンジョンの時もクソ帝国が一言言いやがったのだ。
なら、今回もそれと同じ方法で行く。それなら好きな時にダンジョンに行けるからな。
「でも…それってあの城に入るってこと?」
ルアが王都にある城を指でさしながらそう言う。
「あぁ。もちろんだが?」
「え?どうやって?」
「まぁ、俺たちなら強行突破しても全然いいんだが…。」
「ダメ!エマちゃんがいるからダメ!」
「……わかってる。」
一応その方向で行こうかな?って、本気で考えていたんだがな。ルアにそう言われたら別案だ。
「一応作戦はある。まぁ、王国とは親しく行きたい。帝国と勇者と戦そ……いや、いつか悪魔と相手をするなら王国と敵対する余裕がないからな!」
俺が生きていることは必ず帝国にはバレる。派手に行動するつもりだし。あいつらなら俺が生きてると知ったらもう1回殺しにくるだろう。弱いという理由だけで俺を殺そうとする見下げ果てたヤツらだからな。王国を巻き込んだ戦争まで起こすかもしれん。
そうなったら俺も戦そ…じゃなくて嫌がらせをしようと思う。俺から仕掛けたものでは無いから、復讐じゃないし。それならルアも許してくれるに違いない。
戦争もとい嫌がらせと言っても俺がコソッと帝都に行って俺の暗殺関係者全員を1発ずつ本気でぶん殴ったら終わりにする気だけどな。いや…それは生温いか…。
まぁ、帝国が何かした時に考えればいい。俺たちに被害が来るなら容赦なくぶっ潰すだけだ。
それに帝国にはまだ用事がある。帝国のダンジョンでルアがいたのだ。ならば帝国にはルアの情報があるかもしれない。戦争になったらその情報だけは帝国で調べるつもりだ。
そんなことを考えているとルアがジト目で俺を見てくる。
「ま、まぁ、王様に会う方法は後だ。それより依頼を受けよう。そこで武器の試そうぜ。」
ダンジョンに行くのに試し斬りをしたい。特に鎖の方。空間魔法と相性がいいと思ってるのは俺の直感だからな。実際に試してみないと分からない。
話を逸らしたかったわけじゃない。決してな。
「こんにちはエフィーさん!」
「こんにちは、タイチさん、ルアさん」
「約束通り来たぞ。それより前に言ってた依頼はあるか?」
昨日、予め欲しい依頼を頼んでおいた。
「はい!こちらになります!」
依頼内容はマリヤ平野にいるスライムの討伐。マリヤ平野は王都のすぐ近くにある。
「でもいいんですか?報酬金少ないですけど…。」
「別に大丈夫だ。それじゃあ行ってくる。」
今回の目的は武器を試しに使ってみたいだけだから。
マリヤ平野まではもちろん走っていく。王都は家の屋根を走りながら行った。不法侵入だって?そんなもん知るか。
すぐに平野まで着いた。
「おぉ〜、わんさかいるな。」
「大漁だねー」
「それじゃあ、順番にやるか。今日は武器の試しだってこと忘れるなよー!」
つまり魔法で攻撃するな、ということだ。
「了解!それじゃあ私から行くね!」
ルアはメルカローズを手にして一瞬でスライムを倒した。速さもほとんど落ちてない。剣に限っては実戦に適した使い方だった。
俺でも少し見えないレベルだ。
「それじゃあ次は俺だな。」
俺はとりあえず6本の鎖でスライムを倒すことにした。
空間操作で鎖をコントロールする。これなら鎖の柔軟性や万能性を生かせると思ったのだ。多分6本程度なら操作出来ると思ったのだが…
「アハハハっ!」
「クッッソ……」
結果としては出来なかった。攻撃しようと鎖を6本同時に操りと何故か絡まったり、変な方向に行ってしまった。理由は簡単。作用させるベクトルを俺が思った鎖とは違う鎖に作用させてしまったことで全く違う方向に進んでしまった。
挙句の果てには、俺の方にも鎖が来て俺に鎖が絡みつく事態に…。その隙にスライムに攻撃された…。なんて屈辱!魔法で攻撃しないとルアに言った手前空間魔法でスライムの動きを止めることが出来ない。
それを見てルアは大爆笑だ。
「ダンジョンのボスにも勝てるのに…スライムに…ハハ…攻撃されてる(笑)」
とてつもなく悔しい。猛特訓して、6本操れるようになった時にはスライムなんてみじん切りにしてやる!実際に時空属性で俺と同じことしてみろよ!絶対に無理だからな!
結果として現状3本までなら普通に空間操作で操れた。刀に関してはクサナギもシロガネも問題なく使えた。二刀流も何とかいけそうだ。しばらくは一刀流でいくけど。八つ当たりではないが、スライムをみじん切りにしてやった。
「依頼の完了を確認しました。ところで…ルアさん?なぜそんなに笑っているのですか?」
ルアは俺がスライムに攻撃されてから今までずっと笑っている。実に楽しそうでいい笑顔だ。癒される。…笑われているのが俺でなければの話だが。
「それがね…フフ…タイチがスライムに……ハハ……攻撃されたの……」
「へぇーそうなんですね。まぁ、初心者にはよくある出来事ですよ(笑)。Cランクの冒険者を蹴飛ばしたからって油断してはいけないってことですね(笑)」
エフィーさんにも馬鹿にされた。
いつか鎖6本使って曲芸でも披露してやる…!!
……なんかそれは違うな。
「それで、どうやって王様に会うつもりなの?」
朝食を食べながらルアが質問してきた。
「簡単だぞ?俺たちが
王都で暴れればいい。」
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