第19話堕天使
ラギルダンジョン???層
あいつらに裏切られてから何十日が経過したのか分からない。ここは、太陽の光はないし俺自身の体内時計も既に狂っている。
寝ていても魔物が近づいてくるのが分かるとすぐに起きなければならないから、ゆっくりとした睡眠も取る事が出来ない。
クマの魔物を倒してから何十という魔物と戦った。1VS1ならおれの能力を駆使すれば勝つことは難しくない。だから、常に個別で魔物を倒していた。
連戦になった時は辛かった。魔力がほとんどなかったから身体能力強化に魔力を使い、傷を負いながらも何とか勝った。
逃げることは俺の主義というかこの世界の真理に反すると思ってしなかった。
俺の体に変化が起こってから20層ぐらい降りたと思うが、未だに終わりが見えない。それに伴い、魔物が強くなるが倒すことは出来ている。今の俺のステータスがこれだ。
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司馬太一
年齢 17歳
性別 男
レベル 48
職業 無
属性 時空
筋力 5980
魔法耐性 4100
物理耐性 4250
敏捷 8000
魔力 10000/70000
体力 3250/8050
スキル
言語理解 鑑定 時空属性適正上昇 物理耐性上昇 全属性耐性上昇 物理攻撃上昇 限界突破
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魔力だけ伸びが凄まじいことになっている。異常だろうな。この世界で魔力7万って。だが、俺から言わして見れば少ないが。
そもそもこの緊迫した状況において魔力が7万も余っているなんて状況は無い。しかもおれの魔法は魔力消費が早い。魔力と体力は自然と回復するが、1時間に1回は魔物に遭遇してる。これでは回復する魔力量より、消費する魔力量の方が多い。
その他のステータスもすごいことになっている。団長たちでもレベル60で2000を超えるステータスはなかったと思うぞ。
これもこの世界に来た補正か、あの時の激痛の影響かもな。でも案外勇者もこのぐらいのレベルになれば、魔力を除けば俺と同じかそれ以上のステータスになりそうだがな。
あれから色々なことがわかった。
1 レベルの上がりが予想より低い。
ここの魔物はすごく強い。それをおれは何十体とか何百とか殺しているが、あまりレベルが上がらない。これでも十分に上がっていると思うが、30層からの勇者のレベルの上がり方を見ると、もっと高いレベルになってもおかしくないと思うんだけどな…。
ユニーク属性の影響かもしれない。
2 時空魔法に関して
空間魔法はよく戦闘に使うので理解した。
時間魔法だが、これが意外と戦闘の役に立つ。
俺の時間を加速させると、周りが遅く見えて、俺の動きが早くなる。身体能力強化の上位互換だな。だけど、力が上がったりはしない。
周囲の時間を遅らせると周りの動きが遅くなる。魔物も動揺していて簡単に殺せた。状態異常系のデバフ魔法に似ているのかもな。
時間の巻き戻しを剣にかけると刃こぼれが、激しかったのがこのダンジョンに入った時のように戻っていた。ただ巻き戻す時間が長いほど魔力を使った。
これらの魔法は強力だが、もちろんデメリットがある。そう、魔力消費が激しすぎるのだ。ちょっと使うだけですごく消費する。だからこれは奥の手として取っておくことにしてる。
今のところはこれぐらいだな。
俺の魔法って強力だが殺傷力に欠ける。それに近接戦闘で有利だから、トドメは剣が多い。
厄介だったのは魔法を使ってくる魔物だな。シールドを駆使して近距離まで近づかないと殺せないから。
そんなことを思い出していると、前からイノシシの魔物がいた。警戒していると後ろからも同じ魔物の気配がした。
挟まれたようだ。別に逃げるつもりは無いが。
詠唱を唱え、タイミングを見計らう。同時に魔物が俺に突っ込んできた。速い!だが、今の俺なら!
「空間操作!」
俺はイノシシの魔物の進行方向のベクトルを曲げてお互いが追突するようにした!魔物の動きが止まる。その瞬間を見逃さず、
「マジック!」
マジックで一体の魔物を地面から出現した魔力の棘で貫通させて、動きが取れないようにしてからもう一体の魔物を殺す!
「「グゥモオオォ!!」」
そんな声が聞こえるが無視してマジックでダメージを負っている魔物を殺す!
「ふぅ」
特に疲れた訳では無いが、仕事終わりみたいなため息がでる。
「それにしても、運がいいな。もう食料がなかったからここで肉がゲット出来たのは幸運だ。」
いつも通り肉と魔石と皮を採取する。最近は骨も回収していた。武器に使えるかな?と思っているからだ。
ここ最近は独り言がすごく増えた。これは仕方ない。ずっと独りだとこうなってしまつのは必然だ。決して!寂しいとかではない!
それから1時間ぐらい歩いただろうか…。異変を感じた。俺自身に起きたのではなく、俺の魔法「空間操作」の範囲10メートルに異変を感じたのだ。
しかし、周りを見渡しても何も無い。ならどういう事なのか??
慎重に周りを観察してようやくわかった。ここの空間の一部に歪みが生じているのだ。
[空間操作]は発動範囲内なら何があるとか、相手の行動とかが見ていなくてもより鮮明にわかるのだ。それに反応して空間の歪みを発見したのだろう。
こんなもの時空属性というユニーク属性じゃなければ気づかなかったぞ。目で見ても全くわからない。
さて、これをどうしたもんか。恐らくこれを空間魔法で広げて中に入ることはできる。だけどその先はどうなっているのか全く分からない。だが、何かはあると思う。その何かは分からないがな。
どうするか…。無駄な魔力は使いたくないんだがな。
さすがの俺も好奇心に勝つことは出来ず、開けることにした。
「ハァァァアーー!!!」
かなりの魔力を使い、大人1人が通れるぐらいの大きさになった。
「ぜぇ、ぜぇ」
やばい、魔力があと1000ぐらいしかない。ピンチだな。
そう思いながらも作った穴を通った。
そうしてそこで目にしたのは…
左右から伸びている鎖でグルグルに巻かれて宙吊り状態の金髪の女だった。
そんなことより俺の目に入ったのは
「つ…翼?」
そう、その女の背中から大きな翼が生えていたのだ。しかも特徴的なのが、右の翼は白いのに左の翼は真っ黒だった。これではまるで…
「堕天…使……」
神話に出てくるような堕天使の姿をした女がおれの前にいた─
後書き
メインヒロイン登場です。次回は住野さん回に戻ります。
少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は星とレビューをください!
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