あとがき

 ……いかがでしたでしょうか。内容が内容なだけにこれを書いている現時点ではあまり受け入れてくれてはくれなかったそうで。



 今作は「悩んでる人への助け船になろう」と思って書きました。


「宇宙戦艦ヤマト」で有名な松本零士まつもとれいじ先生がインキンタムシにかかった際、治療薬のマセトローションに助けられたのを契機に「男おいどん」を描いたように、自分の体験が人の役の立てればと思って書きました。

(実際松本先生の元にはインキンタムシが治って「ようやく苦しみから解放された」とか「彼が明るくなった」というファンレターが届いたそうです)


 個人的には「死にたい」って思うこと自体はそれほど悪ではないんですよ。ある種「SOS」のサインなんです。それを「死にたい」って言おうものならビンタして「アフリカには生きたくても生きれない子供たちがいっぱいいるのにどうしてそんなこと言うんだ!」の合唱をする。


 結局それって自分が死を考えないようにするための自己欺瞞ぎまんあるいは自己洗脳ですよね? 作中ではそれをやんわりとした表現で否定していますが(自画自賛になるが個人的には第2話は上手く書けてて必読かと)この辺は「死にたい」と日ごろ言わない人の想像力の限界かなと思っています。


 ひたすらにダウナーな展開が続くのでこれが投稿される2020年3月下旬の時点ではPVはこれっぽちも伸びませんでしたが。まぁ内容が一般向けでないので仕方ないとは思うが……。

 何せうつで苦しんでる人向け、あるいはその家族向けの代物なので一般的なモノとは言えないでしょうな。




 しかしクリエイター稼業も因果な商売だな。自分の不幸や病すら創作の糧にするんだぜ?

 ジョジョの奇妙な冒険第4部に「岸部露伴きしべろはん」って言う漫画家が出てくるんだが、彼は「ボッコボッコに殴られて連載を休止するほどの大けがをした経験すら創作のネタにする」奴なんだよ。


 クリエイターは程度の大小の差こそあれ、そんな奴ですハイ。




 願わくばうつに苦しんでいる人が、特に「この苦しみはうつじゃない」と思っている人が気づいてもらって、心療内科の門をたたいてくれる人が1人でも増えれば、これを世に発表した甲斐はあるかなと思います。

 最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。




 2020/03/25


 あがつま ゆい

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希死念慮の出る男の手記 あがつま ゆい @agatuma-yui

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