第11話 痛みこそ生きている証
突然ですが「リストカット」というのはご存じでしょうか。
私はやったことはありませんが、やると「スッと心が軽くなる」らしいです(あくまで聞いた話ですが)。
これを見ている人の中にはもしかしたら今現在進行形で「している」人もいるかもしれません。
あれは理解したくてもできない、自分の中でも整理整頓して客観的に表現することもできない、ましてや他人にも共感することなんて夢のまた夢。
という精神的な「痛み」(モヤモヤ)を「自分はもちろん、他人からも誰からでも理解できる」肉体的な「痛み」にすり替えることで何とかこの世にしがみついて生きている、という事になります。
決して軽い気持ちで切ってるわけじゃあないんです。「肉体的苦痛」というのは人類にとって誰もが避けたいものなのに、
その避けたい肉体的苦痛ですら「まだまし」と言えるほどで「切らざるを得ない」「そうせざるを得ない」ほどまでに追い詰められていることが多いです。
良くリストカットは「構ってほしい」とか言われますがそれはごく少数派で、多くの人には当てはまることはないでしょう。
リストカットを良く知らない人たちに言わせてもらいますが、彼らあるいは彼女らは「死ぬ」ためとか「構ってほしい」ために切っているわけでは無いんですよ。
むしろ「生きたい」、それも「強烈なまで」に「狂おしいまで」に「生きたい」んです。
でも心の痛みが生きていくにはあまりに痛すぎてつらすぎるから、今の自分では「自分が生きていける」ための条件を全くもって満たしていないから、
「精神的な痛み」よりも「まだまし」な「肉体の痛み」に切り替えることで何とか生をつなごうとしているんですよ。
目に見えない精神的な痛みよりも目に見える外傷の方がまだましと言える位に追い詰められているんです。
人生がつらくて今すぐ手放したく=死にたくても、それでも生きろ、死ぬな、と本能が叫んでいるから切るわけです。
他にも「
詳しいことはこのサイトに載っているので参考までにご覧ください。
【自傷・自殺がわかる本】なぜ、助けを求めてくれなかったのだろう。
http://news.kodansha.co.jp/5751
リストカットをする、というのは「精神的な痛み」を「肉体的な痛み」にすり替えることで誤魔化し、だましだましに人生を生きていくしかない。というのがあるかもしれません。
幸い私はそのモヤモヤを言語化して外に出す能力を備えているので自傷しなくても持っているのですが、もしこれが無かったら100%切ったりなんてしない。とは言い切れません。
ただ、私の場合は精神的に自分の事を自分で徹底的に追い詰めて、その苦痛をもって「生きている」と実感しているのかもしれません。
あるいは机を思いっきり拳でたたいたり、大声で叫んでのどを傷めたりと、その痛みで生きているのを実感しているのかもしれません。
普通の人なら間違いなく
というのはいくら強調してもしすぎることは無いと言えます。それほどまでに彼ら、あるいは彼女らは追い詰められているんです。
正直、リストカットや抜毛症で悩んでる人って「ええ!? その程度でそこまで悩むの!?」っていう程、世間一般からしたら「大したことじゃない」悩みなんでしょうが、
当事者にとっては「洗濯機の中にぶち込まれてグルグル回ってる状態」なので「他人から救ってもらわないと自分でも何が起こってるのか冷静に判断できない」んですが、
「自分の悩みが『その程度』なのか。と思ってしまうのが怖い」んですよね。あれだけの悩みがこの程度だったら、あそこまで恐怖していたのは何だったんだ!? 何の意味も無かったじゃないか!
って思ってしまうのが本当に怖いんですよね。人生のコスパにおいてこれ以上に無い程の最悪な事だった。って気づきたくないんですよ。
自分の怒り狂える感性にまみれた創作をしている人に向かって、少しは冷静になりましょうよ。って言っても
『嫌だ! 絶対に冷静にならない! 冷静になったら私の感情エネルギーはその程度だという事に気がついて自信がなくなり、
今後作家として活動が出来なくなってしまうから絶対冷静にならない! このままの勢いでいく!』
って言いだすのと似ているかもしれません。この程度で悩んでいた自分がバカすぎて直視できなくなってしまう。そんな感じ。
だから誰にも相談できないし「相談してしまって何てことない悩みだったらそれまでずっと悩んできたことがバカバカしくて生きていけない」ってなるんですよ。
そういう人を助けるというのは「何で助けたんだ?」って恨まれる覚悟が無いと安易に助けるのは辞めた方がいい。
そういう人向けに心療内科医っていうプロがいるんですよ。
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