第22話 メンヘラはガス抜きさえ許してくれない
正直、症例が1人だけ=私だけという観測範囲の狭さなんで、万人に当てはまるわけではない。というのをまず大前提の共通意識をして持っていただきたい。
その上で話すと「死んでもいいよ」って言われても「そうかわかりましたグサッブシューギャー」とはならないと思います(表現は酷いが……知能をカケラたりとも感じさせない擬音だ)。
それ以前に、そう「死にたい」とか「死なない」と思う「以前」に「ホッとする」と思うし、生きるか死ぬかはその後の話となるでしょう。
『昨年は交通事故で2600名以上の尊い命が無くなっている! 車を作ってはいけないし、使ってもいけない! 使ったら2600人以上の命が無くなってしまう!
車の写真も世に出回るべきではない! 未来ある子どもたちのために車に興味を持たせてはいけない! 「車」という漢字も使ってはいけない! 子供が興味を持ったらどう責任を取るつもりなんだ!?
ドラマにも小説にもアニメにも、車は登場させてはならない!』
……もっと書けるけどこの辺にしときますか。この『』内の話を聞いて「狂ってる」と思いますよね?
でもこの話の「車」を「死」あるいは「自殺」という単語に変えると、途端に誰もが納得するんですよ。
「自殺」は何があろうが絶対にいけない事。理由なんてどうでもいい、とにかく死んではいけない生きるんだ。
「死」に興味を持たせることすら罪なこと。ましてや「自殺シーン」を描くなんてもってのほか! 子供が興味持って真似でもしたら、一体どう責任を取るつもりなんだ!? ってなりますよね?
そんな人が世の中の大部分を形成しているんだから「あなたはこの世でただ一人しかいないかけがえのない存在だ」なんて言ったところで
「周りの人が悲しむ? どんな命だろうと素晴らしい? 知るかそんなの。俺は死にたいから、死ななくてはいけないから、死ぬだけなんだ」となって本当に助けが必要な人には「絶望的なまで」に届かない。
そう『絶 望 的 な ま で に』届きません。
個人的にこの「周りへの関心が無くなる」ってのはかなりの末期症状で、周りの事を考えられなくなる、あるいは周りの事なんてどうでもいい、と思ってしまうとと本当に危険な状態だと思います。
発覚次第その場で縄で縛ってでも精神科、今でいう心療内科に連行しないと本当に死んでしまいます。
そんな世の中ですから「死」について書かれている、とりわけ「死んでもいいよ」という記事を見ると「ホッとする」んですよ。そう「死にたい」とか「死にたくない」以前に「ホッとする」んですよ。
周りの人間や世の中は「死んではいけません!」と「死にたい」自分を「否定」し続けている中で「死んでもいいよ」と自分を「肯定」してくれる人の存在のありがたさは
病んだ人間にしか分からないはずだし、もし可能ならばすべての人に理解してほしいとは思っていますが、現実的には無理だというのも理解しています。
本当のところは「もし死んでもいいよって言って自殺する人が1人でも出たら
このようにメンヘラというのはささいなガス抜きすら許されないんですよ。なぜなら「普通の人」というのは太陽の光を浴びて「生きたい」と思うのが当たり前なので、
「死にたい」と思ってる人の気持ちなんて一切、これっぽちも分からないから。
「死にたい」なんて言った日には「バチーン!」とビンタされて「アフリカには生きたくても生きれない子供たちが大勢いるのにお前は何を言ってるんだ!?」という
「的外れもいいとこな説教」を食らうのはメンヘラ自身痛いほどわかっています。
そうでなくても「生きていればいつかいい事があるから死ぬな」なんていう「言葉では到底表現しきれないくらい、とてつもなく酷過ぎる」事を平然とした表情で言えるんですよ。
「『いつか』っていつだよ! オレはそれにすがって今まで生きて来たけどいつかなんて全然来ないじゃないか!
いつ来るんだよ令和何年何月何日何時間何分何秒地球が何回回った時に来るんだ言ってみろ!!」ってなります。それくらい追い詰められているんですよね。
なので「いのちの電話に電話してもガス抜きだけで根本的な部分は解決しない」という主張は正論です。ガチでド直球でド正面な正論です。
でもメンヘラはその『ガス抜きすら許されない』というのは覚えておいて損はないと思います。とりあえず「ガス抜きすれば今日は生きられる」という人が大勢いる。
というのはまともな人からしたら「信じられない!!」かもしれませんが事実で、検索すれば大勢出てくるでしょう。
正直な話「いのちの電話に電話しても得られるのはガス抜きだけで問題は解決しない」というのはメンヘラも承知の上なんだと思います。
それはド直球のド正論なんですがその『ガス抜きすら出来ない』人というのがメンヘラなんです。
なので「ガスを抜けば今日は生きられる」という人のためにもそういうケア体制は重要だと思います。
そうでもしないと、救えたはずの命も救えなくなるでしょうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます