第28話 自分に罪悪感を感じてしまう

 うつを抱えている人は「自分がこの世に、地球上に存在することで他人に迷惑をかけてしまう」という「とてつもなく重い罪悪感」を感じているわけです。

 これはもう自然と、それこそ息を吸って吐くのと同じくらいに自然にそう思っています。


 実はこの「相手に(この場合は自分自身に)罪悪感を持たせる」というのは「他人を洗脳して言うことを聞かせる」手法の一つです。

「あなたのせいで私は傷つきました」と言うことで相手を加害者にして、結果「損害賠償」として相手を自分の思い通りに操る。

 という毒親やいじめを行う相手がよく使う手法です。




 この場合、自分で自分に自己催眠、あるいは自己洗脳をかけて

「自分はクズなんだ。自分の存在は世界規模の損失と言える位のマイナスを、ただそこにいるだけで作り出すクズなんだ」と思わせているのです。

 あるいは「自分がいることで電気ガス水道食料ネット代、空気その他ありとあらゆることが無駄に消耗されるだけなんだ」と思ってしまうのです。


 日本国憲法第25条においては


「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」


 と書いてあります。なので


「何の役に立てなくても生きていていい」のです。

「自分の人生に何の価値も値打ちも無くても死ぬ必要は一切ない」のです。

「あなたが日本人である」ただそれだけで生きていていいのです。


「あなたはただそこにいるだけでも価値がある」でも話をしたように、あなたは「ただ生きている」だけ、ただそれだけでプラスの価値を生み出しているのです。




 ではなぜそんな自己催眠をかけてしまうのか?

 それは「死にたい」と表立って口にすることが出来ないのがまず1つあります。


 当事者にとっては「ささやかなガス抜き」である「死にたい」という言葉を口にしようものなら「何でそんなこと言うんだ!」とぶん殴られて「アフリカには生きたくても生きれない子供たちがたくさんいるのにどうしてそんなこと言うんだ!」と説教されて口を封じられるため、周りの人間に相談しても無駄と判断してしまい、外部との接触が物理的もしくは精神的、あるいはその両方とも断たれて正しい自己認識が出来なくなります。


 それにうつ病特有の自己否定、自己拒絶、罪悪感が組み合わさると負のスパイラルと化してどんどん際限なく下に落ちていき、その行き着く果てが自殺となる可能性すらあります。

 これは冗談でも誇張表現でもなんでもなく、本当にそうなります。


 顔をつき合わせての会話ではない一方的な文章表現ですので伝わらないかもしれませんが、これは冗談でも大げさな話でもなく、本気の話です。

 うつにかかると1つ前の話に出てきた「無限大 対 1」にもあるように「死ねば『死ぬ』という迷惑を1回かけるだけであとは未来永劫一切家族に迷惑をかけずに済む」っていう思考になってしまいます。

 生きることで無限大にかけてしまう迷惑よりも「死ぬ」事の方が迷惑をかけずに済む、あるいは毎日毎日迷惑を積み重ねる位なら死んで2度と迷惑をかけないほうが良い。と本気で思ってしまうようになります。


 ここまでくると本当に重症で即座に入院させないと本当に死んでしまいます!

「死にたい」と言っている人を放置していると本当に、本当に自殺という最悪の結末を迎えることになってしまいます!




 ちなみに家族がいるうちは自殺というのは「100%」間違いで、家族が自殺した「自死遺族」というのは100人いたら100人全員が自殺を防げなかったことを後悔しています。


 もしあなたが自殺をしようとしている場合、特に「役立たずの自分が死ねば家族はみんな幸せになって「よく死んだ! よく死んだ! お国のために、俺たち家族のために、よく死んだ!」と涙を流しながら万歳三唱して喜んでくれる」と思っているのでしたら、それは違います。


 あなたが死ぬことでは「100%」家族は幸せにはならないんです。賭けてもいいです。そう思っているのでしたら変な映画かマンガの見過ぎによる幻覚です。

 なにせ「あのゴミクズのカスが死んで清々した」とか「あのドクズが死んでみんなハッピーでーすミ★」って言う自死遺族はいないのですから。




【次回予告】


メンタルに不調が出る人は不調の原因を「他人のせい」にするくらいがちょうどいいです。


第29話 「他人のせいにする」

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