第27話 無限大 対 1

 失敗「ばかり」というか失敗「だけ」しか出来ずに、生きているだけで周りに永遠に迷惑をかけ続けてしまう。こう思うようになると非常に危険です。

 こういう思考になると死の危険性はグンと上がるからです。


 生きていれば生きている間中常に迷惑をかけ続け、最終的には「無限大」に迷惑をかけてしまうのに対して、死ねば「死ぬ」という「1回だけ」迷惑をかけてしまうけど、それ以降は一切迷惑をかけずに済む。と思うようになると本当に自殺してしまう危険性がグンと高まります。


「無限大に迷惑をかけ続ける生」対「1度だけしか迷惑をかけない死」つまりは「無限大 対 1」という「極めて極端な」図式になり、最終的に「1」を選んで死んでしまう。そんなことになりかねません。


 これは声を大にして言いたいのですが、精神を病むと「思考が極端」になりがちです。1の失敗を100にも1000にも増幅して「自分は生きているだけで失敗を繰り返す、醜い生き物なんだ」という間違った結論に行きがちです。




 ひょっとしたらあなたにとって世界が崩壊するようなショックなことかもしれませんが、正直な話、誰にも迷惑をかけない存在って言うのは神様仏様以外いないと思います。

 人間は人間である以上一国の大統領だろうが、石油王だろうが、人間同士お互いに迷惑をかけあって迷惑の応酬をしながら生きていくしかないと思います。

 何度も言いますが本当に、誰にも迷惑をかけない存在ならその人は神様仏様のはずです。言ってしまえば、人間ではありません。


「他人に迷惑をかけつつ相手からの迷惑は飲み込んでやり過ごすしかない人生」というのがほぼ全ての、これを見ているあなた自身もそうであろう人間の人生です。

 人間というのは生きているだけで他人に迷惑をかける生き物なので、迷惑をかけて当たり前です。それが普通です。


 もちろん「積極的に」迷惑をかけるのは辞めたほうが良いですし「積極的に」迷惑をかけてもいい免罪符にはなりません。

 ですが、それを除いても生きているというだけで他人に迷惑をかけてしまうのが人間という物です。もうこればかりはどうしようもないんですよ。




 メンタルを病むと「他人に迷惑をかける行為そのすべて(正確には「他人に迷惑をかける『と自分が思った』行為そのすべて」)」が「犯罪行為」とか「人として許されざる大罪」に思えてくるのですがそんなことはありません。


 すべては「1の失敗」を「100にも1000にも増幅する思考」が原因であって、迷惑自体は誰でもかけるものです。

 何度も繰り返し繰り返し言いますが、人間というのはただ生きている、それだけで周りの人に迷惑をかける存在なんですよ。

 人間と言うのは生きているだけで周りに無限大に迷惑をかけ続けるのが大前提の生き物であって、それをしないというのは神様仏様のみです。


 なので「無限大に迷惑をかけ続ける生」対「1度だけしか迷惑をかけない死」という対立構図それ自体がおかしいものであり、人間は生きているだけで互いに迷惑をかけあう生き物だという基本中の基本が抜けていると言っても良いです。

 1の失敗を勝手に100にも1000にも増幅しているだけの「滑稽こっけいな芝居」にしかすぎません。




【次回予告】


「あなたは有罪です」と決めつける理由、教えます。


第28話 「自分に罪悪感を感じてしまう」

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