第20話 なぜ死んではいけないのか?
「なぜ死んではいけないのですか?」
メンタルをこじらせているとこんな問いかけをしたくなります。
それに対しては「家族が悲しむ」だの「命は素晴らしく大切なものだからだ」だの
「とにかく理由なんてないけど死んじゃだめだ」だの「生きていればそのうちいいことがあるから」だのと、芯からずれた答えしか返ってこなくて余計に落ち込むこともあるでしょう。
個人的に、この問いかけに対しメンタルがこじれた人間にも共感できるように書くとすると、
「死んでしまったらやり直しができないから」
と答えておきます。
会社は辞めても次はあります。必ず、必ずあります。
特に日本人は終身雇用のイメージが今も根強く、現代でも転職に否定的な上司は多いので会社を辞めるなどもってのほか。という意見が多いですが、そんなことないです。
会社を辞めてもハローワークや店の外に貼り出されてるバイト募集の告知で再就職できますし、何だったら自分で事業を始めてもいいです。
実際私は3度会社を辞めて3度無職だった時期もありましたし、中には会社をバックレる形で辞めたこともありましたが、それでも普通に再就職出来てこうして生活を送れています。
なので「ここを辞めたらどんなところでもやっていけないぞ!」という脅しは無視して辞めましょう。実際3度会社を辞めて4社目でやっていけてる人間がここにいますからね(給料は低くて実家住まいじゃないとやってられませんが)。
ですが「死」だけは……「死」だけは「巻き戻す」ことも「やり直す」ことも「できない」んですよ。
少なくとも今の医学では「死んでもまた生き返ればいいや」はどんなに大金を積んでも、どんな名医やどんなゴッドハンドの持ち主であろうと、どうしてもできないんです。だから死ぬな、と言えます。
繰り返しになりますが、死んだら取り返しがつかないんですよ。
「死んでもまた生き返ればいいや」だけは少なくとも現代の医学では「絶対に」できないので、死んではいけない。と私は言います。
それに死後の世界がもしもあったとして、その世界が生きていた時よりつらかったらあなたはどうしますか?
死後の世界を想像するのは非科学的かもしれませんが、もし死後の世界が生きている時よりもつらかったらどうします?
「こんなんじゃ生きてた方がまだマシだったよぉ!」と後悔しても後戻りできないじゃないですか。
だってすでに死んでしまった後で、生き返るという選択肢なんて無いのですから。そしたら死ぬのは大損かもしれないじゃないですか。
会社を辞めてもまだやり直しは効きます。借金を抱えても最悪自己破産でもすれば帳消しにはできます。
ですが「死」だけはやり直しが効かないんです。しつこいくらいに繰り返しますが「死んじゃったけどまた生き返ればいいか」だけは少なくとも今の医学では絶対にできないのですから。
それに、死にたいって言ってる人も可能ならば死なずに済ませたいんですよ。でもそれが出来ないから死ななくてはいけない事態になってまして。
教えてGoo:死にたいと言う人を止める人の根拠って何ですか?
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/7694663.html
メンタルをこじらせて一時期は本当に自殺1~2歩手前まで行った後で、何とか死なずに帰ってきた身分だからわかりますが(今でも死ぬ2~3歩前までは行くこともある)
今回の教えてGooのケースのように「死にたい死にたい」と言っている人は
前提条件やしがらみ、そのほかありとあらゆるもの全てを取っ払った後の「純粋な本心」としては「生きたい」のだろうし、そうでなくても「死ぬのは怖い」とまだ思えるでしょう。
嘘だと思う方もいるかもしれません。でもそれは事実です。その証拠として、今すぐこの場でカッターナイフや包丁を首に当てて、切ろうとしてみてください。
怖くてできないでしょ? それ以前にやろうとも思わないはずです。何の抵抗もなくすっぱり切れるはずはないでしょう。というかそんなあっさりと首を切れるのならとっくの昔に死んでいるはずです。
いわゆるメンタルをこじらせてしまった人間は「自分にはカケラたりとも想像もできない発想や方法で死にたくなるのを止めてほしい、肯定してほしい、救ってほしい」っていうのがあるんだと思います。
それも「1分後にはすぐ実現できる」というレベルの即効性のあるものを、です。なので「環境を劇的に変えるのに所要時間は1分もいらない事」となると「死ぬ事」しか思い浮かばない、というわけです。
しかも厄介なことに「自分はゴミクズのカスな寄生虫で今すぐ死ななくては周りの人や日本政府や地球に迷惑をかける。そんな奴に手を差し伸べる人は絶対に下心があるはずだ」
とも「同時に」思っているからその救いの手を拒絶するという、まともな人間からしたら矛盾した行動をとってるわけです。
当の本人からしたら本心が「隠れている」か「見えない、あるいは見ないふりをしてる」ため矛盾してはいないのですが。
メルヘンチックに言えば「自ら錠前の数を徹底的に増やした牢獄にいる私を救ってくれる王子様」を求めているんだと思います。
本当に死にたきゃとっくの昔に死んでいる。一時期よりは減ったものの、日本では今でも毎年2万人程度が自殺しているから、その1人になってるはずです。
「死にたい死にたい」と言ってるのはまだこの世に未練があって「本当の本当の本当の本当のところは死にたくない、生きていたい、迷惑をかけたくない」と思っているのと同時に
「自分みたいなゴミクズのカスは生きているだけで周りの人間に迷惑を無限大にかけ続ける。死ねば1回だけ迷惑をかけるだけでその後は永遠に迷惑をかけずに済む」
という矛盾した(当事者にとってはとてつもなく真剣で大きな悩みでしょうが、多くはただの思い込み)思いに板ばさみになってるから苦しいのであって、そこで苦しんでもいいことはないと思います。
人生はゲームじゃないんだから、人生の難易度を自分で引き上げて苦労したところで良いことはないぞ、とは言っておきます。人生の難易度は低ければ低いほどいい。だって人生はゲームじゃないからね。
個人的には「死ぬのが怖くて消去法で仕方なく生きるのを選択している」のでも十分立派だと思います。
それができずに死んでいく人間は年間3万人はいた一時期よりは減ったものの、いまだに2万人程度いますので彼らの後追いをしないだけで立派なことだと思いますよ私は。
何というか経験済みなのでものすごく分かるんですが、こういう人は「理想の自分」と「現実の自分」とがあまりにも離れすぎていて、
そこに絶望しているんでしょうけど「毎日ちゃんと呼吸出来て偉い」程度に思った方がいいですよ本当に。
実際私も昔は『「理想の自分」になれないから人生に、生きることに大失敗した、死ぬしかない』という思いが一時期は自傷行為をするレベルにまで強かったのでそれはわかります(今は自傷行為はしなくなりましたが)。
でもそこにこだわっても良いことないですよ。だから死ぬな。と言っておきます。
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