第24話 死んでも何も残らない

 これを読んでる方の中には、死ねば自分をいじめた相手に復讐が出来る。とか、死をもって世界にメッセージを発せる。とか思っているかもしれません。

 それに対しては「辞めとけ。オメーごときが死んでも何の影響もないから」とだけ言っておきます。

 なぜなら、おそらくあなたよりは国にとって、世界にとってはるかに重要な人物でさえ、死んでも日常はこれっぽちも変わらなかったからです。




 例えばアメリカのリンカーン大統領はある日突然暗殺されてしまったわけですが、それでもアメリカは滅びることはありませんでした。

 お釈迦様やイエス・キリストが死んでも、仏教やキリスト教には何の影響もありませんでした。

 日本人にとって身近な例では安倍元総理がテロの犠牲になりましたけど、日本は平常運転しているでしょ? それと同じで、あなたが死んでも日本は平常運転するんですよ。


 あのリンカーン大統領でさえ、お釈迦様やイエス・キリストでさえ、死んでも何も世の中は変わらなかったんですよ。

 これほど偉大な人物が死んだとしても世界は変わらなかったんですよ。

 だから少なくとも「リンカーン大統領やお釈迦様やイエス・キリスト」以上に偉大ではないあなたが死んだところで、だから何? それがどうかしたの? となるでしょう。




 死ねば自分をいじめた相手に復讐が出来ると思っているかもしれませんが十中八九それは違います。

 彼らは3日も経てばあなたが死んだことなぞこれっぽちも気にせずに、のんきにタピオカでも飲んでると思います。そういうものです。

 もしくはいじめる相手は「お気に入りのオモチャが壊れた。別の新しいオモチャを見つけよう」位にしか思いませんよ。


 もう一度言います。あなたが「死をもって訴えてやる」と意を決して死んでも、その訴えられた相手は「3日後には忘れてのんきにタピオカでも飲んでいる」と思います。




 そりゃああなたが死んだら身内は悲しみますよ。でもそれだけなんですよ。

「身内が悲しむだけ」で周りの人間は「この度はご愁傷さまでした」なんていう上っ面だけのペラい一言を言うだけで死なんて大したことないんですよ。


「死をもって訴える」と聞けば美談かもしれませんが、あなたがリンカーン大統領やイエス・キリストですら敵わないほどの偉大な人物だったとしても、死んでもその影響は微々たるものです。

 死ねば世界中の人間が泣いてくれると思っているかもしれませんが、そんなことないです。あなたが勝手に作った幻想や妄想の類です。もしくはマンガやラノベの見過ぎとかです。


 およそ30年前に昭和天皇が崩御ほうぎょ(要は亡くなったって事)した時も年号が平成に変わりましたが日本は終わらなかったんですよ。




 実際、一説によると現代日本では「1日」に3280人死んでいるそうで、これを単純に365倍すると「1年間」で119万7200人が亡くなっている計算になります。

 さらに言えば3280人÷24時間で「1時間の間に」およそ137人、もっと言えば「約30秒に1人」死んでいる計算になります(こんなの計算すること自体バカげた事かもしれんが)。




 毎年およそ120万人もの人が死んでも日本が滅びることはもちろん、これっぽちも変わることもないんですよ。

 毎年毎年およそ「120万人」もの人間が死んでいるんですよ。それでも日本は変わらないんですよ。

 毎年欠かさずおよそ120万人もの人が死んだらもしかしたら日本は変わるかなー、と思うかもしれません。でもそれは無いんですよ。

 実際あなたが生きているうえで革命とか起きましたか? 起きてないはずです。


 こうしている間にも計算上は大体30秒に1人の間隔で人が死んでいて、これを読んでいる間に何人も人が死んでいるのですがそれでも日本は終わらないし、変わらないんですよ。

 カップ麺食うのを待つ3分間で6人も死んでるんですよ。それでもカップ麺をすすってる日常が壊れることは無いんです。




 なので「自らの生命を投げうってでも訴えたいものがある」と思っているのでしたら「辞めとけ」と言っておきます。

 雑に言えば「お前が、お前ごときが死んでも世界は、日本は変わらない」とだけ言っておきます。

 親類が「この度はご愁傷様でした」って棒読みして、それだけですよ。何も変わりやしません。




 死ぬよりも生きて情報発信を続けるなり、いじめをしている奴を法廷に引きずり出す方がずっと有益です。

 そう。生きて何かをする方が死ぬよりも有益だと思います。


 それに、よくよく考えてみるとなにせ全ての人は忙しくて、他人の事なんてあなたが思ってるのとは比べ物にならない位いい加減で、雑に見ているものです。

 あなたが命を賭けて訴えたとしても、死者の数が+1されるだけで何の得も無いと思います。




 昔の日本人は流行り病や梅毒でドッタンバッタン人が死にまくっていたので「命にそれほど価値は無い」って思ってて、

「死しても残る家や名誉こそ武士の誉れ」っていう武士道はそういう意味で成り立ってたわけなんですよ。


 現代日本では流行り病のコロナウイルスにもワクチンがありますし、梅毒も薬で治療できる時代なので昔の武士道と違って命の価値は高いです。

 なので「命を賭ける」行為は分が悪すぎるギャンブルかと思います。

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