第30話 ささいな悩み

 メンヘラになるきっかけというのは「ささいな事」が多く、それが雪だるま式に膨らんでメンヘラという身体に現れるほどの心の異常にまでなってしまうことが多いと思います。


 なので他人から見たら「そんなくだらないことを悩んでいるのか!?」と言われるような悩み、みんな持ってますよと言っておきます。



 特に自分自身というのはあなたにとって誰よりも一番近い場所にいるから、誰よりも悪いところが見えてしまうものです。


 よく「恋人同士」の時はうまくいってたのに、いざ結婚したら嫌なところが見えてきて……というのは結婚して「恋人」から「夫婦」という、お互いに距離が近くなって悪いところも見えるようになったからが原因だと思われます。


 逆に距離が遠いと悪い所は見えにくくなります。欧米で日本の忍者や侍がウケるのも彼らの生活から距離が離れているからですし、日本で悪役令嬢みたいな貴族が主人公の物語がウケるのも日本人にとって貴族は縁遠いものだからです。


 それと同じで、野生のクマがいない熊本県におけるクマのイメージは「くまモン」である一方、野生のクマ(それもヒグマという最強クラスのクマ)が住んでいる北海道におけるクマのイメージは「メロン熊」になるのです。




 じゃあ普通の人と言うのはその「ささいな悩み」を一体どうやってその問題を解決しているのか? というと「何も考えていない」んです。それだけです。特に「自分自身の悩み、あるいは自分自身への絶望」とかは一切考えてませんし、一切悩みません。


「ホモサピエンス狂ってんの!?」とお思いかもしれませんが、これが真実らしいです。自分の事について「何も考えてない」らしいのです。「今日は昨日と同じ日、明日は今日と同じ日」が死ぬまで続く、と割と本気で思っているらしいです。

 無意識なのか意図的なのかはわかりませんがそういう悩みの回路を元から遮断しているような感じなんですね。


 メンヘラとしては「死にたくて死にたくて仕方ないけど何とか踏みとどまって消去法で生きることを選択し、毎日をどうにかやっとの思いでやり過ごすように生きている」のでしょうが、恐るべきことに普通の人というのはそうじゃないらしいのです。




 ただ、そうはいってもどうしても考えてしまう、考えなくては落ち着かない、丸ごと捨て去るにはあまりにも大きすぎる。というのが「ささいな悩み」でしょう。

 そんな方々には哲学の観点から「ささいな悩み」に対する処方せんをお出しします。役に立てれば幸いです。


中島義道の人生相談道場”悩ましき哉、人生!”

~私の人生は完全に失敗だった!~

https://toyokeizai.net/articles/-/19088




【次回予告】


これで最後になります。最後に言っておきたいのは「今日も死ねなかった」という「死にぞこない」でいてほしいという事です。


終わりに 「一生死にぞこないでいてください」

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