概要
201×年、27才の薬剤師、唐柴 蓮(トウシバ レン)が立ち向かった、「薬」「患者」「医療制度」がそれぞれにかかえる問題点と、それにまつわる人々のエピソードからなる「半自伝的」フィクション小説。
最近なにかと露出が増えた職業「薬剤師」になりたい人は是非ご一読。
これを読めば君もきっと、薬剤師になりたくなくなる?
本作は「第6回角川キャラクター小説大賞」一次選考通過作「薬屋稼業」を一部改訂したものです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!「シオカラ節 web小説大賞」受賞作品
・良かった点
町のドラッグストアに勤める薬剤師の日常話。
私自身縁遠い業界なのもあって、日頃お世話になってる薬局の裏側を覗けるのは非常に興味深かった。
何か大変な事件が起きたりする訳ではないが、日常でたまに聞くようなお薬関係のワードも交えながら、専門知識も踏まえて従事者の苦労話を展開してゆく様子には、思わず頭の下がる思いだった。
薬剤師さんもサラリーマンということで、クレームなんかのくだりは共感出来る部分も多かった。
・気になる点
薬局勤めの薬剤師のよもやま話という内容であったが、肝心の内容が聞き分けのない顧客への愚痴っぽいクレーム対応の悲哀ばかりだったのにはちょっと辟易するところ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自分の未来のためになる、薬剤師お仕事ストーリー
作者さんの経験に基づく、薬剤師お仕事ストーリーです。
医療制度やジェネリックのあれこれ、薬剤師さんのお仕事とその苦労――現場にいなければなかなか知ることのできないあれこれが軽快な語り口で書かれていて、最後まで楽しく読むことができました。
作中にはクレーマーやモンスターペイシェント、薬剤師に理解のない職場のスタッフなど、とにかく〝嫌な奴〟がたくさん出てきます。
その嫌な奴の描写が本当にリアルです。作者さんは日々こんな思いをしてお仕事をされているのでしょうか。頭が下がります。
医療に対する理解とリスペクトがなければ、誰でも知らずのうちにモンスターになってしまう可能性があります。
何より、薬を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!マイナスイメージしかない我々が、社会にできる抵抗
私自身も薬剤師で、この作品の意図するところが非常に分かりやすいと思います。
横柄な患者は多く、しかしそれに耐えなければ、商売として成り立たない。
そう、薬局は医療機関でもあるが、利益も考えなければいけないからだ。患者の利益……ここでは、彼らの「時間を害さないこと」を利益と定義すると、何も考えず、処方された薬を出すだけでwin-winなのだ。でもそうしないのは何故か。患者にとって、薬剤師から得られる利益とは何なのか。
それを、この作品を通して皆様に伝われば良いなと思い、評価させていただきました。応援しております。
とある病院薬剤師より、期待と羨望をこめて。 - ★★★ Excellent!!!薬剤師が語る、薬、医療、人のドラマ
薬局勤務の薬剤師である唐柴 蓮。彼は日々訪れる患者さんを相手に苦労し、病気や医療制度について思いを巡らせる……。
というわけでこちら、薬剤師さんによる半自伝的(あらすじより)作品となりますが。いつもは患者サイドから感じてる私たちのあれこれが薬剤師にとってどんなものなのか、立場の違いから生まれるズレっぷりは実に興味深いところです。いや、患者の理不尽ってのを思い知りますね、というのはともあれ。
一般人には今ひとつ理解できてない医療というものの効力や問題を、医師と患者とを繋ぐ薬剤師の立場から語ってくださってるわけですが、そこに留まらないのが見どころです。病院や薬局、医療メーカーの形態というもの…続きを読む