薬剤師が語る、薬、医療、人のドラマ

薬局勤務の薬剤師である唐柴 蓮。彼は日々訪れる患者さんを相手に苦労し、病気や医療制度について思いを巡らせる……。

というわけでこちら、薬剤師さんによる半自伝的(あらすじより)作品となりますが。いつもは患者サイドから感じてる私たちのあれこれが薬剤師にとってどんなものなのか、立場の違いから生まれるズレっぷりは実に興味深いところです。いや、患者の理不尽ってのを思い知りますね、というのはともあれ。

一般人には今ひとつ理解できてない医療というものの効力や問題を、医師と患者とを繋ぐ薬剤師の立場から語ってくださってるわけですが、そこに留まらないのが見どころです。病院や薬局、医療メーカーの形態というものから生じる問題あり、従事する“人”から生じる問題あり、ジェネリックを巡る問題あり……語られるドラマは同時に知識伝授や問題提起でもあって。

読み物として楽しませてくれるだけじゃなく、今一度“薬”を考えるきっかけにもなる良作ですよ。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

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