第017話 シンエンノミナサーン! カイコクシテクダサーイ!

「ふはははははは、シンエン王国国王! ヤクヅーケ王よ! カイコクするのだああ」

 僕は、王の間にカチコミをかけ、国王がいる議会室に入ることに成功した。リンやオトカ、ミカエラは後から来るらしい。

「そう……か……。開国すれば民は安心して暮らせるのか?」

 ひげを生やしたヤクヅーケ王は、震えながらそう言った。ふふふ( *´艸`)、恐れおののけ(*´ω`*)

「はっはっは、そうだ国王よ! 民には手を出さないでやろう」

「だが断る」

「何ィィィィィィッ!?」

「このヤクヅーケが最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事d」

「おんどりゃああああああああ死ねィッ!」 

 僕は、国王に襲い掛かるが……。


「びえええええん」

「王宮を破壊した罪は重いぞ! ケイ・レモネード!」

 おのれこの国王、兵を忍ばせていたかぐぬぬ。

「貴様、シオリと一緒に入国したようだな!」

「え? 国王がシオリの名前を?」

「当たり前だ、あいつは国家級の犯罪者だ」

「……ホントどうしようもないな。え? じゃあどうして僕の名前を?」

「そこの着物を着た嬢さんから聞いた」

「……」

 そこには、ハイライトの無い眼で笑うリンがいた。

「ごめんなさーい。やっぱり開国は無理ね、これも作戦の内なの」

 こいつううううううううう!

「ケイ、ありがとうですの! 私たちは報奨金を貰って帰国するですわ! シオリと仲良く斬首されるがいいですの!」

 ミカエラッ!?

「け、ケイのことは忘れないよ! たぶん、一か月ぐらいは」

 オトカまで!

「き、貴様らあああああああああ恩をあだで返しやがってええええええ」

「恩って何のことですか? ケイさん、私たちに何か恩って売ってましたっけ」

「あ……」

 そういや、なんもしてない、僕←

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「あーあ、とうとう正気を失ったですの」

 クソッ、ああ、意識が無くなっていく。


「……イ……ケイ」 

 ん? この声は?

「私だ……グレープフルーツだ」

 と、父さん! なんで!? こいつ、直接脳内にッ!?

「今、あの世からお前に語り掛けている」

 そ、そんな父さん!←

「まずは……済まなかった。お前のためと思って、箱入り息子として育てたのだが……まったく危なっかしいこともさせてやれずに、すまんかった。腐らずに世界征服の夢を持ってくれて、父親として感無量だ……」

 ううううううう(涙)。

「今、お前は窮地に陥っている。いくら吸血鬼とはいえ、このままでは専用の処刑方法で処刑されてしまうだろう。しかし、まだあきらめないでくれ、まだ……方法は……あるのだ……」

 父さん!?

「すまん……そろそろ……時間の限界だ……最後に……」

 うん、何!? 起死回生の方法を教えてくれる王道展開!?

「最新刊のヴィラハイの内容教えてくれ」

 このクソ親父がああああああああああああああ! てか、父さんもシオリと同じく私のヴィランハイスクール読んでるの!? え!?

「では……さらばだ……」

 あ、ちょっと!

 チクショウめ←

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 そのころ、シオリは。

「へっへっへっへ」

(ルーナのやつ、汚い言葉をぶつけてやったら病み始めてノックダウンしやがった。アールバも調教(意味深)して元に戻したし……あ、ネールのやつどうしてるだろう。ちゃんとケイの所に行ってるかな?)

 ネールにケイの匂いを覚えさせて、後をつけさせていたのだ。

「いたぞー!」

 兵士が、シオリを見つける。

「よしッ! クリムゾンハンド! 行け!」

 巨大な手のひらを操る少年がゆっくりと魔法陣から出てくる。

「いけええええええ『メインボーイ・ザ・サイコパス』!」

 手のひらが壁ごと兵士たちをなぎ倒した。

「よっしゃ、ナイスゥッ!」


「おいちーですの!」

 急遽、ひそかな祝賀会が行われた。リン、ミカエラ、ルーナは国賓に格上げされたのだ(え? ミカエラの基地爆破の件は? ……帳消しだよ。全部僕のせいにしやがった)。

「いやー、これだけ豪華な料理を食べさせてもらえるなんて、本当にありがとうございますー。ほら、蟲さんたち、美味しく頂きなさい」

「ひゃー、うまい! もちろん『大人な接待』もあるんですk」

 オトカ、お前なんてこと言うんだ。

 ちなみに、僕は大きな鳥かごのようなものに入れられて、隣に放置されている。扱いが雑なことこの上ない。

「皆さんターンと食べてください。今回の二人の捕獲は、英雄モノです」

 ヤクヅーケ国王は、米の酒を煽りながら、笑った。と、そこへ。

 ばあん!


「大変です! 国王様! シオリが! シオリが逃げ出しましたあああああああ!」

「なぬいいい!?」

「現在、担当のルーナ・トワイライトが追っています!」

「シオリはどこへ向かっているゥ!?」

「この王宮です!」

「むむ、迎え撃つ準備をしろ!」

「それが、今日の王宮への襲撃で、装備がまともに揃えられません!」

「ちくしょおおおおおおおお」

 お、シオリがやったか。すると、夜なのに、空に太陽のようなものが上っているのが見えた。

「あ」

 ミカエラが、料理の手を止める。

「シオリが使役してる、『アールバ』の火球ですの」

「これはー……。シオリさんやケイさんの方に付いた方が得策ですねー」

 ミカエラとリンは、急いでかごを解く。

「よし、逃げよ」

 オトカもステッキで変身し、そのまま会場を立ち去った。

「ちょ、ちょっと!? リン! ミカエラ! オトカ!? 助けてくれるんじゃなかったのか!?」

 ふははははははは、ヤクヅーケ国王。僕たちは固い絆(概念)で結ばれているのだああああああああ、そう簡単に寝返るわけが無かろうが!

 うん? なんか外が騒がし……。


 ばああああああああああああああああああああああああああん!


「ひえッ」

 シオリが、ルーナと取っ組み合って、扉から出てきた。ルーナからは鱗が生え、尻尾と羽が生えている。まさかの幻獣人!? 竜人だった!?

「おのれえええええええええええええシオリいいいいいい私の地雷を踏みぬきやがってえええええええええええええ」

「はっはー! 地雷多すぎる奴が悪いんですううううううwwwwwwwざまぁwwww」

 なんか……個人的な内容で、凄く聞きにくい。

「あ、クソじじい」

 国王に向かってそう言うと、シオリはルーナを突き放して、国王の前で膝をかがめた。

「あっし、姓をロータスリーブズ名をシオリ、字を怪猫かいびょうと申しやす」

 なんだこれ(白目)。

「おのれえええええええええ反逆者がああああ」

「けッ、私の推しのグッズをロクに輸入しない国家なんてクソくらえだ」

「ゆ、ゆるさん! 皆の者! かかれ! かかれえええええ!」

 どんばんがちゃどかばきぐしゃあああん!

「「「「「「ぐはぁ」」」」」」

 もうこれ、作者がめんどくさくなってるんじゃねぇの? 描写。いや、もともとこの小説描写なんてなかったな。

「ケイ! さっさとお前も手伝え!」

 牢屋がバキバキと折れる。

「リン! オトカ! ミカエラ! さっさと来やがれィッ!」

 四天王の逆襲ッ! うおおおおおおおおお!


「や、やった! ぐはぁと言わずに済んだ!」

 奇跡だッ!

「さーて、国王さんよォ」

 シオリがヤクヅーケ国王に詰め寄る。

「くッ! 鎖国は終わらん! 先代の国王から二六〇年間守ってきたのだ!」

「あーれれー? これが見えないのかな?」

 これは、写真?

 移っているのは、ヤクヅーケ国王と一人の女性が腕を組んで、ホテルに入っていくところ……あ(察し)。

「助けてください何でもします許して」

「へっへっへっへ、開国してもらおうか(ゲス顔)」

 ホントに悪役の鑑だな……。


 こうして、三日後にシンエン王国は、開国を全国民に言い渡したのであった。

 予定より早く終わったけど、まあ、いいか!←

 シンエン王国編、完ッ!


 to be continued……

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