第022話 何がお望みかな?←
というわけで、実家風のプレハブ小屋は潰しました(シオリのネールで破壊)。
「はっはっは! 芸術は爆発だ! 壊されて形を失うまでが芸術なんだ!」
「前衛芸術かよ」
ツムギの発言に突っ込む僕。ボケ担当が一人増えただけ……。
「とりあえず『城』の概要をみんなに聞いておかないとな……あー、あとギルドに提出しないと、大型の依頼だから手数料がかかるし、建築の人件費……。これ、全部僕の財産から出るの!?」
「仕方ねーだろ」
シオリが焼いた魚にかぶりついて、こちらに言う。
「俺は推しに貢いで慢性的な金欠。リンは蟲の維持費で金欠。オトカはそもそも貯金がない。あとミカエラは食費で金欠。ツムギは酒と損害賠償で金欠……わかるな(威圧)?」
「わかるな(威圧)じゃないって!? マジ!? マジでいってんの!?」
「すべこべ言わないで講座を確認する! さっさとやる!」
「ぱ、パワハラだ……恐喝だ!」
「魔王が四天王にパワハラされるって、それどういうこと?」
「畜生めがッ!」
次の日になったら城は本格的に計画することになった。
うーん。まともに寝られる気がしない頭が痛い胃に穴が開きそう(毎日)。
「そんなあなたに朗報です」
うわッ! びっくりした! 誰?
「私だ、ルーナだ」
「え、なんでルーナさんがここに?」
「いや、空港で騒いだんで強制送還された。汚点だ」
「そう言うことじゃなくて、なんで僕の所に?」
「……ケイ、悪いことは言わない。世界征服なんてやめて、こいつらと離れろろくなことにならないとくにシオリとは」
「あ、うん。すっごくまともなこと言ってるのは分かるんだけど……無理です」
「な、何故だッ! こんなことしても何の意味もないのは分かり切っているだろうが!」
「いやなのおおおおおおおせかいせいふくしたいのおおおおおおおおおパパみたいになりたいのおおおおおおおおおお!」
「ダメだこいつ……早く何とかしないと!」
すると、横から顔を出すシオリ。
「おっすおっすー! 人生つまんなそうなルーナさんwww」
出だしから煽るな。
「くッ! 宿敵シオリいいいいいいいいいいいいいい」
「アヒャ! 少しはまともに過ごせるようになったと思ったら、今度は俺に八つ当たりですかwwwwそりゃあもうご立派なことww。失業中だったね、良かったら魔王城専属メイドとして雇ってあげよっかwwww?」
「きえええええええッ! 許さん!」
体に鱗が生え、翼と尻尾が出現する。
「まってルーナさn」
どかーんばこーんどかーん。
「ぐはぁ……」
なんで僕が巻き添えに。
「いや、真面目に就職先考えたほうがいいよルーナ。メイドの件も忘れないでね! あ、やべぇwwwメイド服姿のルーナイメージしたら腹痛くなってきたwwww」
「クソッ! あ、ケイ。私は冒険者に転職した。とりあえずの稼ぎを得るために踏ん切りをつけたんだ。よってメイド服など着ない!」
……そうか、頑張れ、ルーナ。
と、とにかく僕は布団にもぐった。
「う、うーん。うーん」
僕はうなされていたらしい。
「ほらほら、ケイ! 見るですの! 私専用の軍隊百万人ですわ! これで世界征服も朝飯前ですの! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
「わーい! ケイさんみてくださーい! 蟲たちがこんなに繁殖したんです! ケイさんにも一万匹ほどあげますねー!」
「ケイ! 魔法少女が夢見る妖精の国を作ったんだよ! ここで○○○○(自主規制)ぐへへぐへへケイも一緒に楽しもー! 禁断の悦びを覚えるn」
「おー! ケイ。お前も一杯やらんか? 五〇〇〇坪の宴会場だ! ヤマト連邦の妖怪連中で毎日貸し切りじゃ! はっはっはっは」
「ケイッ! 俺……子供ができたんだ。猫獣人だから一気に四匹ぐらい産む予定で」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
バサッ!
僕は布団を吹っ飛ばす勢いで目を覚ました。
「はぁ……はぁ……はぁ……う、ううう。ひどい夢だった。ストレスの権化だった」
「おっはよ。ケイ」
「ひえええええええええええ妊娠おめでとおおおおおおおお」
「な。何言ってんだ?」
「あ、すまん。夢の話だ」
「……うえぇ、ケイの夢の中で、俺子供産むのかよ、気持ちわる」
そういや、シオリって雄猫なのか雌猫なのかわかってないな。
ミカエラが朝食をがっついている。
相変わらず食費がピンチ。
「とりあえず、ギルドに申請しに行くぞ。ツムギも一緒だ」
「お、おう」
「どうしたんだ? 汗がすごいぞ?」
「いやぁ、ホント酷かった」
「???」
とにかく、建設途中のシンエン王国中央ギルドに向かう。
ひええ、……スゴイ御殿だなぁ……。どこか東の地域の特徴がちりばめられているようで、グローバルなデザインだ。
「おはようございますー、ケイ、シオリ、ツムギ」
「おはようございます。チェリーさん」
「建設は順調ねー? ちょっと途中で柱が崩れたり作業員が三〇名ほど救急搬送されたけど」
「それ順調なんですか!?」
「ダイジョーブダイじょーぶ。給料はちゃんと払ってるから」
「う、うーん……?」
まあ、ダイジョウブなんだろう。
「それで、魔王城建設の件なんですが」
僕が本件を切り出す。
「もちろーん! 大歓迎ですよ! 結構な大型クエストですから、活性化につながりますー!」
「ほ、ほんとかな!? 僕、嬉しい」
世界平和に貢献してるみたいで……いや、世界征服するんだっけか?
ともかく、魔王城建設の長期大型クエストは受理された。人では問題なしと……。
あとは、建設計画と、資金だ……。
to be continued……
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