第021話 二度目の上陸ゥ!
さて、なんやかんや(話すときりがないので省く)あったわけだが……。
発情したオトカの処理(何とは言わない)をしたり、猫獣人の癖に酒飲んでるシオリの介抱(あれやこれや)をしたり、そのくせ酒豪なツムギが一向に勝手に加わり……。
うん、ろくな旅路じゃなかったことだけは確かだ。さっきのに加えて他の四天王三人だからな。騒ぎが起こって飛行船が墜落しなかったのが不思議だ。
「というか、さっそくシンエン王国行きの直行便がでてるんですね……」
リンさんが、窓際に腰かけて景色を見ている。
そう、今僕たちが乗っているのは、インスパイア帝国経由のシンエン王国直行便だ。国際社会対応早すぎないか……開国宣言されてからもう直行便を出すとか……。
「いやー、この機会にシオリさんには、今度こそ祖国に引きこもってもらいましょうふふふ」
……何も言わんぞ。リンさんけっこう黒かった(白目)。
「だってぇ、ミカエラちゃんの教育に悪いんですもん。あんな大人にはなってほしくありません」
「うん、そこは同意する」
ミカエラ、今のままでも十分ヤバいけど。
すると、奥の個室からでかい笑い声が聞こえた。
「うぇへ、うぇへへへへへへへへあひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
これ、酒というより麻薬飲んでない? ダイジョブ?
「ツムギィィィィィィ、相変わらずひでえ顔してるよなあひゃひゃひゃひゃ」
だめだ。猫に酒飲ませたらいかんのに。
「シオリ……そろそろ着くからほどほどにしt」
「をおおおおおおケイいいいいいいいいだまっとレイッ吐きそう」
さっき吐いたばっかりだろ。
「おえええええええええええええええええええ」
……。
こうして最悪な空中旅行はシンエン王国で終わった。
「うおぷ。キモチワル」
シオリのやつ。
「へっへっへへへへへへへこのまま部屋に連れ込めばうひゃひゃ」
ん? ツムギが危なそうなこと言いだしたけど、ほっといた方がいいか? これ?
「楽しかったですのー!」
「ミカエラちゃん、また冷麺一緒に食べましょうね!」
リンさんとミカエラは、健全だなァ。
「ッ! ツムギさんが、まさかの泥酔〇〇〇(自主規制)!? これは私も足し算して、『ツムギ×(シオリ+私)』にしなければッ! 鬼って、そっちの方はどうなんだろう!? そりゃあ、精力満タンニクショクうへへへへへへ」
オトカって、媚薬なくても十分危ないな。歩く十八禁(一七歳)。
「ところで、なんでツムギはシンエン王国に来たんだ?」
すると、チェリーさんが答えた。
「あらー。そう言えば話してませんでしたー。ツムギさんは、私と同じくシンエン王国のギルド建設に加わっているのー」
なるほど、ツムギも冒険者なのか。
「でもー、ツムギさんって問題児なのねー? 実際には辺境の地に厄介払いされたって感じだけど」
そうだろうね←
「はっはっは! 何が問題児だ! ギルド長に腹が立って目にレモン汁ぶっかけたりしただけだ」
「もー、それだけじゃないでしょー? いろいろとドクズじゃないのー。ギルドの金銀財宝強奪して島に立てこもったり……」
それなんて桃太郎? あ、鬼か(納得)。
「おかげで、『ギルド財宝の奪還クエスト』を立てなきゃいけなかったのよー?」
クエストたてちまってるじゃねえか、モンスター同然じゃん。
「けッ、これでも
「文句言わないのー」
それはそうと、首都の辺境に付いた。
「で、何をするんですか?」
僕は、チェリーさんに聞く。
「うーん。ギルドの建物も出来てないみたいだしー……。クエストも受注しないと……」
チェリーさんが困っている。
「もちろん、ナンバー級やアルファベット級のクエストはすぐ集まるでしょうけど、問題はそれ以上の冒険者向けのクエストね……。冒険者を育てるには、上位のクエストがないと」
「それなら大丈夫ですの!」
ミカエラ!?
「私たち魔王一味がクエストを出すですの!」
「まあ、助かるわーミカエラちゃん」
まさか、そのクエストって……。
「クエスト名は、『魔王城建設』ですの! 報酬は、ケイの全財産ですの!」
なんで、僕の財産なんですかねぇ……。
「それはいいわね! 沢山の冒険者が集まりそう! じゃあ決定!」
「え!? ちょっとまって僕の許可……」
「そんなものないですよミカエラちゃんの案なんですよいいですね」
リンさん怖い……。ハイライトがない眼をしてる……。
こうして、半ば無理やりクエストを通された僕。魔王城建設は僕の財産と引き換えだったのだー。
「おう、それなら俺もやってやってもいいぜ?」
ツムギ! 実はいい奴だった!
「魔王一味についてはシオリから聞いた。世界征服するんだってな? それだったら宝やなんやらも好き放題だろ?」
「あ、うん」
「高級な酒も浴びるように飲めるって話だ。いいじゃねぇか」
「つ、ツムギ……!」
「建設担当は俺でいいな?」
「たしかに……僕たち五人の中に建設ができるものはいない。経験があるなら頼む」
「おう、任しとけ。魔王(笑)」
チクショウ、煽られた。
「じゃあ、善は急げだ」
ツムギは、魔法陣から斧を取り出す。
「とりあえず、材木とコンクリ、それから魔導錬成のレンガだ」
数時間後。
「「「「「どうしてこうなった」」」」」
僕たち五人は唖然とした。
え? 何があったかって?
『山が無くなった』。
いや、山が一個消えたんよ。ほんとよ?
「がっはっはっはっはっはっはっは! とりあえず山一つ消して、全部材木とコンクリレンガにしてやったわい!」
ひええ、これ大丈夫か?
すると、近くの住民たちがなんか来た(語彙力)
「何してくれとんじゃわれェ!」
「うちの土地もあったのにどうしてくれるんだ!」
「散歩コースは!? 登山客は!?」
「ちくしょお! このケイとかいうやつを血祭りにあげろ!」
え? なんで僕? え?
「「「「「「ケイ、頑張って!」」」」」
……みんな、ひどい←
こうして、十字架に吊り下げられたのち、ケイは復活した(どこのキリストだよ)。
「ふう、ひどい目に遭った」
「おかえりー」
シオリは、復活したままお茶を飲んでいた。
「よー」
ツムギがちゃぶ台の前に座る。
「お帰りですのー」
ミカエラがキッチンでつまみ食い。
「十字架の味はどうでしたか?」
リンさんが冷蔵庫をあさる。
「くかー」
オトカはそのまま床で寝ているが……。
「いや!? これってただの家じゃん!? 僕がいた六畳アパートと変わらないんですけど!?」
「何言ってんだ、ケイ。住めば都。ここが俺たちの城だ」
ツムギ!?
「そーそー、お城ってのは心で感じるもんだよ」
シオリ、なんかいいこと言ってんのはわかるけど、これに限っては通用しないぞ?
「いや、なんだよこれ? 実家じゃん! 故郷ですやん! 外観も豆腐だし! 屋根真っ平だし! 二階もなけりゃ部屋分けすらないんですが!?」
「あー、めんどくさかったわー」
「余った材木とコンクリどうすんの!?」
「もう一度山に戻せばいいじゃねぇか」
「できるわけないだろ、てか作り直しだろこれ!?」
うーん。建築業者呼ぼ。
to be continued……
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