第023話 要求が重すぎるゥ

 城について勉強している。

 ここ数日ずっとだ。

「あー! ちょうちょですのー!」

 ミカエラは、野原で無邪気に花やちょうちょと戯れる。ああ、可愛いところあるじゃん。

「ひゃっはー!」

 ばああああああん!

「グレネードをくらえですわ! 私の前をひらひらと目障りですの!」

 ……。ああ(白目)。

「おーいミカエラ」

「なんですの? ケイ?」

「そういえば、魔王城に建ててほしいものってあるか?」

「もちろんあるですの!」

 お、おう……。軍隊とか?

「私軍が欲しいですの!」

 やっぱりな。

「ご、ごめん、マジで正夢は首吊る自身があるから無理←」

「えー、嫌ですの! 地下労働でもして稼ぐdeathのー!」

「い、い、いつかやるから、な?」

「むー」

「それの代わりといっちゃあなんだが、何かないか……?」

「それなら、シェフとキッチンが欲しいですの!」

「あ、あー(納得)。そう言えばそんなこと言ってたような」

「世界中から食材を集めて、専属シェフに料理させるですわ!」

「ひ、広さはどれほど?」

「えっへん! それに付いてはもう考えてありますの!」

「おお!」

「食糧庫が、ここ一帯」

「……へ?」

「キッチンはもちろん大型オーブンをたくさん! お店を経営できるくらいにするですの!」

「そんなぁ」

「さあ、ケイ! いますぐ作るですの! もうお腹へこへこですの!」

「……!」

「あー! 待つですのケイ!」

 僕は逃げた(主語と述語のみ)。


「リンさん助けてええええええ!」

「待てやこらああああですわああああ」

 リンさんは、相変わらず周りに蟲を呼び寄せて世話をしていた。

「あら、ケイさんどうしたんです?」

「たすけてくださいこのままだと僕がミカエラに喰われる」

「『食われる』……!? ケイさんミカエラちゃんを誘惑しないでください教育に悪いです」

「いや、あんたの頭の中の方が教育に悪いよ、なんでそうなるの!?」

「まー、それはいいとして、ミカエラちゃん。ケイさんを困らせちゃだめですよ。私たち貧乏なんですから」

「むー……」

 頬を膨らませるミカエラ。

「ち、ちなみにリンさんはどういうのが欲しいんだ? 魔王城」

「そうですねぇ。……植物園が欲しいかも。蟲さんたちの食料になる貴重な植物を育てたいです」

「面積は……ッ!?」

「な、なんでそんなに意気込んで聞くんです? そりゃもちろん、一キロメートル四方ですよ」

「なんでみんな意地悪するの? ねえ、なんで?」

「当たり前です。狭すぎても植物は育ちません!」

「およよよよよ」

「あ、ケイ」

 オトカが、まいっている僕の下に駆け寄る。

「どうしたの? なんか悪いものでも食べた?」

「おええ」

「じゃあ、ケイ。設計図書いたから見て見て!」

 ん? 設計図……?

 オトカって結構しっかりしてるんだな。


「やっぱりさ、城って言っても、そんなにとんがったもの立てるわけにはいかないでしょ?」

「あ、ああ」

「だから、最初は館を作って、増築する形で言った方がいいと思うの」

「お、おお! それいいな!」

「あったりまえでしょ?」

 そして、設計図を見る。

「ふむふむ玄関に、食堂。その他もろもろの娯楽設備に寝室寝室寝室……?」

「ふふ」

「これ……寝室だけで五〇部屋ぐらいあるな?」

「当たり前でしょ、娼〇なんだもの」

「ぶふぉあ!?」

 いや、コーヒー噴き出したし。

「なに驚いてんの?」

「いや、貴方未成年デスヨネ?」

「一度やってみたかったんだ! お花の館の経営ッ!」

「ごめん、本格的に気持ち悪くなってきた……」


 や、やべぇよ、こいつらやべぇよ。

 本格的に城を『僕が』頑張らないといけないぞ!?


 くそッ。

 今日はこれで終わりだああああああああああああああああああああああ。

 (この後、めっちゃ建設計画たてた)

 (シオリ? ツムギ? あいつらが計画たてられるわけねェだろ!)

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