第019話 新たな目標が無理難題すぎる件

 とにかくッ! シンエン王国の件は万々歳だッッッッッッッ!

 さて、とりあえずこれからどうするか考えないと。

 とにかく、僕自身の鍛練も必要だな。冒険者稼業のパーティーを続けるか。


 それから……ケイの大逆襲が始まるのだッ!


 一日目。

「ぐはぁ」

 二日目。

「ぐへぇ」

 三日目。

「アヒャぁ」

 四日目。

「あべし!」

 五日目。

「ひでぶッ!」

 六日目。

「めめたぁ」

 ちょっと待った……。


 何この噛ませ犬感……。

「いや、いつものことっしょwww」

 シオリ、お前は黙っていろ。

「な、何故だァッ! なぜ僕はザコモンスター一匹にも勝てないんだァッ!」

「そりゃ、実戦経験がものを言うからね。はじめっから言ってること。魔術は規格外に強いけど、それより前に攻撃されて終わってますねぇm9(^Д^)プギャー」

「ちくせう」

 く、くそう。こんなはずじゃ……こんなはずじゃ……。

「そう言えば、四天王、今日久しぶりに集まるよね」

「あ、ああ。なにか、四天王側から話があるんだとか……」

 四天王の方から何かを要求してくるとは珍しい。大抵は、シオリが推しに貢ぐ資金を、僕にたかりに来るのがほとんどだが←

 よし、昼になった。


「こんにちは、久しぶりです。ケイさん」

「ケイ! 相変わらず冴えない顔してますの!」

「うん、今日もいまいちだね!」

 ミカエラ、オトカ。お前らリスペクトというものをだな……。

「今日は、四天王一同から話が合って来たんです」

 リンさんが言う。

 とりあえず、ギルドの一室を借りて、会議を行うことにした。



 なんか……うん、真っ暗闇の中腕を組んで円卓をかこむ……。

 エ〇ァじゃね? 完全にパロディだよね?

 変なBGM流れてきたし。


「ケイ、……いや、『次期魔王』」

 ……何ッ!? 今……今ミカエラが……!

「そうですね。この場合は魔王と呼称したほうがいいでしょう」

 リンさん!

「そうかもね。魔王様」

 オトカッ!

「改めましてどうもwww魔王(笑)」

 シオリィィィィィッ!

「まあ、そう言う冗談は置いておくデスの」

 冗談だったんかーい! 

 一瞬でも認めてくれたと思った僕がバカでした。ハイ。

「で、最近私たちは思ったんですの」

 うん。

「……世界征服。……マジでできるんじゃね? ですわ?」

 お、おう。

「実際、私たちの他にも冒険者が集まれば、世界征服も、あながち夢ではないと思い始めたのです」

 リンさんもか。

「実際、危ない橋を渡ってたら、魔法少女としても成長できるしね。世界征服して好きなように悦ぶのも、いいと思ったんだ」

 『悦ぶ』の具体的な内容は聞かないでおこう。

「んでよ、ケイ。俺たち思ったんだ」

 ……。

「「「「魔王城が欲しい!」」」」

 

 え?



「やっぱりさー、こう、いっつもプレハブ小屋とかに集合しててさ。しかもケイが住んでるところも六畳アパートだし、実際に魔王軍の感じなさ過ぎじゃね? って思ったわけよ」

 確かに。シオリにしてはまともなことを言っている。

「やっぱりお城は欲しいですよねー! 夢なんですー!」

 リンさんも手を合わせて笑顔で言っている。

「世界征服するには、やっぱり拠点が必要ですの! そのためにも『魔王軍専用のお城』を作るんですわ!」

 ミカエラにしては、少女趣味だなぁ。でも、確かに目立った拠点は必要かもしれない。六畳アパートにもうんざりしてたところだ。


「でも、問題はどこにするかだよねー?」

 オトカが、スムージーを飲みながら、困った顔をする。

「シンエン王国でいいんじゃね? 城作って王室に嫌がらせしよーぜ?」

 シオリ……お前……。

「賛成ですの!」

「いいですねー土地もありますし」

 うーん、しかし、リッター王国に大々的に作るというのも非現実的だ。案外いい案なのかも……。

「よし、分かったけど……とりあえず、シンエン王国にもう一度行って、下調べだ」

「もー、ケイは慎重すぎるですの! そんなの勝手に作っちゃえばいいんですの」

「ダメに決まってんだろ!?」

 本当に軍人の娘なんだろうな!? こいつ!?

「でも、ミカエラちゃんの言うとおり、もうほとんど征服したみたいなものですし、実質王室は私たちのいいなりですし」

 リンさんも怖いこと言うよなァ。まあ、間違ってないけど。

「じゃ、じゃあとにかく出発か」

「えー、また行くですのー? いやだですのー! めんどくさいですのー!」

「……ミカエラ、城にコックを雇いたくはないか?」

「何してるですのケイ! 早くいくですの! 専属シェフを国中から雇うですわ!」

 フッ……。チョロい。

「じゃあ、決まりだな」

 シオリが、会議室のドアを開ける。

「とりあえず、次の征服計画は城を作ってから、もしくは作りながらだ」


「じゃあ、チェリーさん。僕たちは」

「あ、それがですねー! 私も行くんですー」

「……え?」

 チェリーさんが渡航?

「えーとですねー。移動命令が出ましてー、シンエン王国が、協会の傘下に入ることになったので、ギルド作りのお手伝いですー」

 ニコニコした顔で言われてもねぇ……。

「そ、それで一緒に来ると……」

 困ったなー……。

「で、お城づくりの件なんですねー?」

「なッ、何故それをッ!?」

「ふふふふ、世界征服のお話は聞いてますよー。リッター王国を侵略するときは、敵同士ですねー」

 この人なんも考えてなさそー(棒)。

「とりあえずー、明日ハルトマン空港で集合ですー。張り切っちゃうぞー☆」

 ……はぁ(ため息をつかずにはいられない)。

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